蛍と真夏日
次の日も彼は川のほとりにいた。
今日は今年一番の暑さだとニュースで言っていたなぁと暑さに茹りながら思い出していた。
蛍は私を見つけると駆け寄って来た。
「清、おはよう。今日は何して遊ぼうか?」
彼に尻尾が生えていたならば、きっとすごい勢いで振っていることだろう。こんなに暑いのに蛍は元気だなぁ。
私はそんなことを考え、自然と笑みをこぼしてしまった。
「ん?なんで笑ってる?」
にやにやする私を見て蛍は少し不機嫌そうに顔を歪めた。
「なんでもないよ。それより、今日は暑いね。」
私の言葉に蛍は頷き、空を見上げた。
「そうだね。」
私も蛍と同じように空を見上げた。
太陽が眩しくて目を細める。
「清、今日は暑いから水遊びしない?」
「うん、いいね!!」
私たちはいそいそと裸足になり、水に足をつけた。
「つ、冷たい」
ひんやりと冷たくて気持ちいい。
「清、足元滑るから気をつけてね。」
蛍は私を気遣うように手を差し伸べた。
私は少し戸惑いながらその手に自分の手を重ねる。
川の水は透明で、泳ぐ魚の姿も見えた。
綺麗
私が転ばないか心配そうに見つめる蛍。
私はそんな蛍を見てうずうずしていた。
こ、これはやるしかない。
「えいっ!!」
「ぶっ!!」
蛍の顔面めがけて水をかける。
不意をつかれた蛍はそのままバランスを崩し、尻餅をついてしまった。
バッシャンと派手な音を立てて水しぶきが舞う
「あ、ご、ごめ」
想像していた以上の蛍の反応に私は少し申し訳なくなってしまった。
「へぇ、清。僕は君を心配していたのに、君はこんなことするんだ。へぇ~」
水を滴らせ、顔をあげた蛍の瞳は笑っていなかった。
「ちょ、ちょっと待って!!話せば分かる!!」
「清、覚悟しろ~!!」
蛍はそう言って、私の顔面に向かって水をかけてきた。
「うわっ!!」
ぽたぽたと水が滴る。
「蛍~!!やったなぁー!!」
私は仕返しの仕返しに蛍に思いっきり水を掛けた。