12/18
蛍と絵本
私がそう告げると蛍は目に涙を浮かべた。
「えっ?えっ?」
私は慌てて蛍に手を伸ばす。
「ご、ごめ、清の言葉が・・・嬉しくて・・・。そっか・・・出会えて良かったって・・・思ってくれるのか・・・」
私はポケットの中からハンカチを出し、蛍の目元を拭いた。
「うん、私はそう思うよ。だから、蛍。泣かないで。」
蛍はありがとうと弱々しく呟き、私をそっと抱きしめた。
っ!!!
驚いて体も心臓も跳ね上がったけど、どこか縋り付くような彼の抱擁を拒むことなどできなかった。