だいにわ
白い雲が浮かぶ青い空。
よく晴れた明るい日は、花から生まれた人たちが元気になる。
寮、と呼ばれる、僕たちが与えられた個室の集合体である大きな建物から、一人の少女が姿を現した。
昨日の琥珀ほどではないけれど、小柄な体。
淡い青色の髪と黄色の瞳は、太陽の光を浴びてキラキラと輝くようだった。
「おはよう、アイオライト。いいお天気ね。」
「おはよう、勿忘草。うん、今日も暑くなりそうだ。」
勿忘草、草とつくことからもわかる通り、もとは植物だ。
人のような身を得た今、植物であっても暑さで枯れることもなければ、日光に弱い宝石が喜んで日光浴をしていることもある。
とはいえ、それでも夏の暑さのはうんざりだ。
日光を好むらしい彼女にしても暑さは好きではないようで、困るね、と苦笑する。
「今日は何があるっけ?」
「ええと……」
学園はその名の通り、学びの園だ。
設立された当初は違ったのかもしれないけれど、今ではそれこそ人の作った学校そのものだ。
別に人生がかかっているわけではないし、出席するも無視して遊ぶも個人の自由だけど。
それでも、今学園にいる僕たちの多くは、真面目に出席して真面目に授業を受けている。
ひとえに、暇だから……だと、思う。
それに、一人は淋しい。
他の人たちが同じ話題を共有している中ついていけないのだって、嫌だ。
それからやっぱり、やってみると案外勉強も楽しいものだっていうのも大きいと思う。
強制ではないからかもしれないけど。
寮が併設されている学園は結構な規模で……まぁ他に何らかの施設を作るような生き物もいなくて土地が使いたい放題だったかららしいけど……その中には多くの設備が整っている。
座学を行う教室はもちろん、料理ができる部屋、裁縫ができる部屋、絵を描ける部屋、楽器が演奏できる部屋……。
他にも数え切れないくらい、昨日僕がいた図書室もその一つだ。
それらの部屋は授業の一環……実習室以外にも活躍の場が存在する。
部活動。
趣味の集まり。
繰り返すけど、暇だから。
僕らは人よりずいぶん寿命が長いらしい。
有り余る時間に飽かせて何やかんやと面白そうなものに手を出して、次第に好みのものを見つけ出す。
どうせなら一人でするより、同じものを好きな人と一緒にする方が楽しい。
そんな経緯を経て部活動は出来上がり、いつしか数を増やしていた。
かくいう僕は、まだどこの部活にも所属していないけれど。
『この本は、ぼくたちの秘密だよ。』
一日考えて、そのヒントは部活動にあると僕は思う。
ぼくたち、という言葉を文字通りとらえるなら、あのときあの場にいた人……つまり僕と琥珀、という意味になる。
けれど、昨日初めて話しかけた相手との間に秘密なんてあるわけないし、そもそも僕の秘密であればわざわざ聞くまでもない。
次に考えられるのが、琥珀が所属している何らかの集団を指しているということ。
この学園にクラスわけはない。
琥珀が何かの集団に属せるとするなら、部活動である可能性がもっとも高いだろう。
そうとわかれば、あとは琥珀がなんの部活に入っているかを探し当てればいい話で。
「勿忘草。今日、部活を見に行ってもいいかな。」