なんなんだここは
俺は起き上がった。そこは、布団の中のようだった。
「シンーーー。」
「うわっぷ。」
ナナが飛び込んできた。
「このまま、シンも・・シンもしんじゃうんじゃないかとおもってぇぇぇ。」
「大丈夫。俺はお前を置いて死んだりしないよ。まだ、負けっぱなしだしな。」
「はい。私も負けない努力をします。師匠。」
「えっ。」
ただただ、驚いた。
「前師匠亡き今、シンが師匠になるんじゃないでしょうか。」
「うーむ。そうだけど。それは駄目だ。慣れないし、ナナと同等じゃあ師匠としてな。」
「そうですか。じゃあ、なしということで行きましょう。では、そろそろ師匠の手紙を読みませんか。」
「ああっ。そうだな。」
その場で一度座り直し、気持ちを落ち着け、手紙を開けた。ナナは隣に座り、手紙をのぞき込んでいる。
手紙の内容はこうだった
『シン、ナナお前たちは強くなった。これを預けても全く問題はないだろう
俺のいつも座っている後ろの部屋に入ってくれ ナナは右側 シンは左側に行ってくれ』
以上だった。
俺とナナは、顔を見合わせていた。
「とりあえず、行ってみるか。」
俺たちは、いわれた場所へ向かった。
「あ、開けるぞ。」
「はい。」
思いっきり戸を開けた、そこには
「な、何もない。」
「ほんとですね。ただ、この家で一番きれいみたいです。」
戸の先は畳が敷かれている以外、何もない。壁がまでの障害物はなかった。
「なんなんだここは。」
「はい。でもかすかに魔力が感じられます。罠が仕掛けられているかもしれません。」
ナナが言い終わった瞬間、足元がなくなった。
「へっ。」「えっ。」
「うわああああ。」「きゃああああ。」
そのまま下へと落下していき、地面に足がついた。
「くおっ。」
「ひぇえっ。」
「ナナ大丈夫か。」
「大丈夫です。にしても、どうやって戻りましょう。」
俺たちが落とされた場所はどうやら、細長い通路のT字交差点のようだ。
「戻るって言っても無理だろうしな。とりあえず先に進もうと思うがどっちに進もうか。」
「そんなの考えるまでもありません。シン右に私は左に行きます。師匠が行けって言ってたですから。」
「それもそうか。頼れるものはそれしかないしな。一人でもお互い大丈夫だろ。」
「その先に師匠が進めというなら行くしかありません。それに、決められた人しか進めないようになってるみたいですし。」
試しに俺が左に進んでみるとその場ではじき飛ばされた。そして、どうやら古い術式で解くのは無理だそうだ。
「じゃあ、またあとでな。」
「はい。けがを気を付けましょう。」
お互いに言葉を交わしそれぞれの方向へ進んでいった。