ああ最高だ
後日の道場には見慣れない光景があった。
「えっ、えっと。すいません間違えました。」
「いやあってますよ。」
「何があった。」
目の前にある道場は荒らされ、いろいろなところに穴が開き、奥のほうで人が倒れている。俺はこんなところは知らないし、来たこともない。
「掃除をしたらこうなりました。」
「いやならないでしょ。する前よりひどくなってますが。」
「あうう。すいません。」
とりあえず倒れえている人を起こすとしよう。
げしっげしっ。
「く、くう。・・・はっ。お、俺じゃない。俺じゃないぞ。」
「はあ。わかってますから。」
「頼む。信じてくれ。」
「いや分かったから。」
「な、な、な。」
「うるさい!」
気づくとそこにはまだ、倒れた人がいた。まあ、起こさなくていいか。
「さてナナ。いくぞ。」
「えっ。どこにですか。」
「ランニングついでに、直してもらう交渉に行く。」
「まってくださぁぁぁい。」
俺はそのままさっさと歩いていった。
「ちょ・・・・て・・・さ・。」
「えっと。ごめん。いつもの半分くらいの早さなんだけど。まだ早かったみたいだね。」
「ふぇぇぇぇぇ。まだ半分なんですか。」
「うん。師匠はもっと早いんだけどね。半分でもついてこれるのは十分すごいことだよ。」
「うぅぅぅ。慰めは結構です。」
「そのうちできるようになるって。努力すれば強くなれっるって。」
「そ、そうですか。むむむ、・・・よし、私頑張ります。そして、シンに追いついて見せます。」
そこには以前の魔法がうまく使えないナナの顔はなかった。
それから毎日鍛錬していった。お互いの修練所に行った後、ランニングとしてダッシュで帰り、座学、基礎、組手など一日も欠かさず行っていった。
ナナの成長速度は驚くべきものだった。一か月もたたないうちに俺と肩を並べ始めていた。
「むううう。またダメでした。」
「まだまだ負けるわけにはいかんのでな。」
30分以内に俺の後ろに置いてある石をとるという簡単なゲームだ。ルールなしのなんでもありのゲーム。毎日これを繰り返している。
「今日こそとってみせます。もう一度です。」
「ほう。よし。いつでも来い。」
これを毎日繰り返し、また、長い月日がたったころナナはついに
「とりました。やりました。っついにやりましたよ。師匠が出かけてるのが惜しいですね。」
「くぁぁぁぁぁぁ。」
「ついにシンが悔しがる姿が見れましたよ。ふふふん。」
ナナは鼻を高くして言っていた。とてもむかつく。
「く。調子に乗るなよ。次は負けん。」
「なら、もう一度やりますか。」
「よし、やろうか。来いって・・ナナ、どうした。」
「あのー。お客様みたいですね。」
「ああっ。いってくるよ。」
駆け足で門のほうへ向かっていった。
「どういったご用件でしょうか。」
「こちらにお住まいになっていた方をご存知ですか。」
見れば国の役人のようだ。
「はい。師匠です。」
「では、ご報告をいたします。本日の昼、クエスト中に死亡を確認。モンスターの大群より最後まで、仲間を守りぬいたとされています。」
「な、な・・・・・。」
俺は絶句した。
「お仲間の方に、ここで修業をしている者たちにと、渡された手紙があるそうです。お受け取りください。では。」
俺の手にしっかり渡ったことを確認し、役人は去っていった。俺はただ、呆然としていた。
その場に立ち尽くしていた俺を見たナナが駆け寄ってきた。
「シン。何だったんですか。」
「ナナ。」
そのまま、視界が暗くなった。
「シン。・・・・・・シン。」
「くっ。あああ、師匠。」
「すまないな。ナナも強くなってきているというのに、死んじまっちゃあ何も教えれえれねえや。ほんとばかだな」
「ああ。ほんとだよ。まだ俺もあんたとの勝負に勝ててねえってのに。」
「はははは。まだまだ俺からしたらお前はひよっこだよ。でもな、シン。これから、お前はもっと強くなる、ナナと一緒にな。あいつが来た時からいや、出あった時からだろうな。お前は変わり続けてるよ。そして、強くなってる。たくさんの出会いが待っているだろう。友や強敵いろんな出会いが、お前を強くする。変えていく。ナナがそうであったようにな。」
「ああ。」
「ふっ。素直だな。っと、そろそろ限界のようだな。俺はかっこよくいれたのかな。」
「ああ。あんたは・・最高にかっこいいよ。だから超える。俺はあんたを。だからちゃんと天から見とけ、あんたよりかっこよく生きてやるからな。」
「ああ、楽しみにしてる。じゃあな。」
「じゃあな。」