表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私に用件ですか  作者: 海田 洸
7/27

どうぞよろしく

そのまま、道場のほうまで逃げていった。修練の時間まであまり時間がないため、ナナの意思はあまり問わなかった。後で、送ることにしよう。

道場の近くのベンチにナナを座るようにおろした。気の抜けた顔をしていた。

「ナナ」

声をかけた。

「もうおろしたぞ」

全く反応しない。

「起きろ」

少し頬を叩いてやった。

「へぶっ」

「気が付いたか」

気が付いたナナは、辺りを見渡した。まったく知らない風景に驚きの表情が浮かんでいた。

しかし、俺に気づくと少しほっとしつつも、顔を赤らめていた。

時間に余裕はないので、こちらから問うとしよう。

「なんの用だったの」

「はう。あ、あのですね・・・」

「うん」

「シンについていかせてください」

「へっ」

いきなりのことだった。

「えっと、つまり。俺がいいと言ったら、これからナナは俺の後ろについてくることになると」

「はい」

力強く言い切った。

「むう」

断りづらい。けど、どうなるかわからないしな。

「うーん。とりあえずついてきて」

「は、はい」

なにもいわずについてきてくれたナナを連れてきたのは、道場である。

「ここは俺の通ってる道場だ。そして、俺の住んでいる場所でもある」

「へえ、ここに住んでるんですね」

簡単に紹介したところで入っていくことにした。

「訓練生シン。ただいま戻りました」

返事はない。ナナは隣でおどおどしている。

すると奥から悲鳴が聞こえてきた。

「うぎゃー。まあ落ち着きたまえ。話せばわかる。そのまま。動くなよ。よーしよし。」

「何してるんですか。」

「うわっ。てあっ。」

いきなり殴りかかられた。

「危なっ。」

よけたのち、腹パンを入れた。

「ぐふう。」

そのまま放置して、騒ぎの原因、ミークラビットを外へ逃がした。おとなしく何もしてこないのだが、この通れている奴はすごく怖がっている。

「おい、起きろ。もういないから。」

足で軽めに蹴っ飛ばしながら、いった。

「う・・・うう。はっ。おいシン毎回毎回ひどくないか。」

起きてすぐに怒ってきた。これを俗にいう、逆切れだろう。

「あんたが殴りかかってくるからでしょ。正当防衛だ。」

「く。なんか横腹も痛いんだが。」

「床に打ち付けたときでしょ。」

「そ、っそうか。なんか蹴られた感じがするんだが。」

とりあえず、話題を変えよう。

「入門者、連れてきた。」

そういい、ナナを前に出した。

「へぇぇ」「えぇぇ」

二人そろって驚いていた。聞こえてないのかな。もう一度。

「入門者を、連れてきた」

まだぽかんとしている。ではもう一度大きな声で。

「にゅうも」

「聞こえてますよ」「聞こえとるわ」

「なら返事してくださいよ」

「いきなりすぎて何のことか。とりあえず落ち着いて話そう。お茶でいいかい。」

「はい」

俺たちは茶の間へ向かい、そこで事情を話した。

「・・・ということです。理解しましたか。」

「うむ。入門するはずのその子が全く理解してなさそうだけど。」

「あたりまえじゃないですか。さっき師匠と同じタイミングで知ったんですから。」

「いきなりだったの。」

「はい。もう少しでいいから入門者ほしいって言ってたじゃないですか。」

「言ったけど。言ったけども。本人の意思はどうなの。」

師はナナに聞いた。

「ひゃい。自分は学ぶ側にありますので教えていただけるのならば、入門させていただきたいと考えています。」

「「そうなの。」」

今度はこちらが驚く番だった。

「えっ。こんなぼろぼろのとこだよ。奇妙なおっさんと俺しかいないとこだよ。 魔法のことなんてこれっぽちも教えられないよ。それでもいいの。」

「おい、お前俺はおっさんという年じゃないぞ。まだ、29だぞ。それ以外は認めざる負えないが。」

「ほら、こんなとこだぞ。それでも入るのか。」

「はい。それでシンに一歩でも近づけるのであれば、よろこんで。」

即答され、俺も師匠も断れなかった。

これでナナの入門が決まり、俺の一風変わった生活が始まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ