再び巻き起こる
ゴードンと出会った後、まず俺たちのクエストを終わらせた。
「これで最後か。」
慣れた手つきでさっさと倒していく。ゴードンが来てからものの5分で残りの3体を狩りきった。
「とりあえず、今日のとこは帰るぞ。今日はおごってやる。」
そういって、ずかずか戻っていった。俺たちは顔を見合わせ、笑いあうとゴードンに走ってついていった。
明日からはクエスト受注所に集合だ。飯を食べ、家に着き寝る前にそうつぶやく。
後日、全員が集まった。
「よし、今日は採集のクエストだ。一番簡単で。何かのついでにもできる。覚えておけ。」
クエストボードの前で、話を聞いていた。
「どこでとれるか覚えておけば、今後に役に立つ。今回は3つだ。」
そういうと、3枚手に取り受注してきた。どれも村人からのクエストだ。
村人に話を聞き、クエストに向かう。村人からのクエストは本当に困っている人からの援助の申し出だ。病気の薬草、資材が足りないなどさまざまだ。
力のない者たちを助けるもの。それもシーカーと学んだ。
ゴードンとのクエストは毎日続いていった。クエストをして、おごってもらい、そして鍛錬にもいそしんだ。ついには、ケイが正式にシーカーとなったが、俺たちについてきた。まだまだ、この四人のパーティーは続いていく。
「ケイのシーカー訓練生卒業を記念に、狩りのクエストに行こうと思う。今回はラッシュボアだ。ハビバボアより少し凶暴だが。今ならいけるはずだ。」
少し不安はある。しかし、今まで鍛錬は積んできた。ゴードンにいつまでもお世話になるわけにはいかない。
「やりましょう。」
「やろうぜ。」
二人は不安を押し切り覚悟を決めていた。俺も覚悟を決めなければならないようだ。
「よし、やろう。」
「がははは。その意気だ。誰も不安にならないやつはいねえ。今回ので死ぬかもしれねぇんだ。だから、毎回覚悟決めていけ。絶対に帰ってくるってな。」
「「「はい。」」」
俺は思い出していた。あの日帰ってこなかった師匠のことを。
国からのクエストであるためそのまま外へ向かった。少し遠くの荒野にいるラッシュボアの残滅。5体狩ることが今回の目的だ。
「行くぞ。」
順調に狩っていった。ハビバボアに苦戦していた時とは全く違う手ごたえがした。
効いている。そんな感覚がはしっていた。
五体目を狩り終わった。たった、30分で終わるとは。想像以上に早い結果だった。
「ははっ。」
俺とケイは笑いあって手を合わせた。ナナも小さくガッツポーズをとっていた。ゴードンといえば、そんな俺たちをわが子のように見守っていた。
しかし、モンスターは喜びに浸る時間をくれなかった。
急に辺りが暗くなった。
「む、なんだ。雲か。」
「今日は雲一つない快晴のはずだぞ。」
本日は快晴だ。太陽が隠れるなどそうそうない。そんな疑問をゴードンの声が振り切った。
「全員町へ走れ。」
危機を感じさせる声に従いケイをつかみ走った。直後後ろから突風のような風に押され、そこから数メートル吹き飛ばされた。
「ぐぁっ。」
地面に叩きつけられ。後ろを見ていた。
「あいつは何なんだ。」
今まで見たこともない大きさ、人ひとり簡単にのみ込むことができそうな口。そして、いかにも獰猛そうな禍々しい黒を基調とした見た目。
「ゴードンこいつは。」
「こいつは、ブイオドラゴン。周りに闇を持たらす。空の雲もそのせいだ。」
空を見上げると漆黒の雲に覆われていた。
「早く逃げろ。俺も後で追いかける。」
「でも。」
「はやく。でないと、お前たちを守れっていう最初で最後の友の願いが叶えられなくなっちまう。俺の願いもな。」
笑いかけたその顔には覚悟が見えた。ゴードンでも防げるのは数分と感じた。
「お前ら早く逃げるぞ。」
「で、でも・・・。」
「はやく。」
ゴードンを助けると言い出すのを遮り、言い放った。ゴードンの覚悟のため。無駄にはしないため。
おれたちは走り出した。俺はケイをつかみ。ナナは魔法をかけながら。俺たちの出せる最速で。
去り際にゴードンの背中を見た。その背中は大きく、威圧を感じさせた。
俺たちは町に入った。逃げ切った。だが、ゴードンと会うことはずっとなかった。走っている間何度振り向いたことか、何度足を止めかけたか。助けたかった、どうせならともにいたかった。二人とも同じだろう。城門で3人の悲しみの叫び声が響いていた。
俺は町のほうへ向いた。