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私に用件ですか  作者: 海田 洸
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再挑戦

俺たちは修練所から帰った後、毎日練習した。慣れないウェポン。新たな要素を取り込まなければならない。一分一秒も惜しく感じた。それも、卒業試験まであと一か月だからだ。今は訓練生として一定の支給を受けているが、卒業後は自分の腕と足で稼がなければならない。そうなれば練習などする暇がなくなっていくと感じたからだ。

練習を繰り返すうちに一か月など簡単に過ぎてしまった。卒業試験は実践の能力が備わっているかで判断される。そのための、試験内容は。

「私と戦って判断します。」

そこにいたのは、サンライト先生だった。試験内容は事前に知らされない。そのため、周りからはどよめきが起こった。毎年違うため、去年の内容を聞いても意味がない。

「二人一組で行うものとする。同じ科の中で組んでもいい。組んだものから行う、組めたものは下におりてこい。」

試験会場は闘技場。普段は使われておらず。年一回の武道祭などで使われているのみだ。ちなみに武道祭はギルド同士で戦いあったり、個人で戦ったりと、シーカーたちが自分たちの強さを見せあう場所だ。賞金が大量にもらえ、参加だけでももらえる。お得な祭りだ。

闘技場で行われる戦闘は上から見ることができた。しかし、まったく参考にならなかった。ほとんど一瞬で終わらせていく先生は何を基準として見ているのかわからない。結果はその場で発表され、合格しているものはごくわずかだ。試験に合格しなかった者たちは、もう一度やり直すかあるいは、あきらめるかだ。

そうこうしているうちに周りには人がいなくなっていた。周囲を見渡すと同じように一人いた。ナナだった。

「残りの二人。早く降りてきなさい。」

ナナと顔を見合わせて、そのあと降りて行った。

「やはり、あなたたちは浮いていますからね。こうなると思っていました。」

「まあ。うすうす感じてました。」

「こうなったのはあの時以来ですね。」

ナナのさすあの時というのは、合同訓練の時だろう。あの時は誰にも勝てなかった。しかし、それからナナは成長した。俺も少しはしているはずだ。勝てるはずだ。

「さぁ、準備してください。」

「いつでもどうぞ。」

俺は一番慣れている大剣を、ナナは杖を構えて準備万端だった。

「違いますよ。今回は仕事ができるかどうかの卒業試験です。仕事で使うウェポンを出しなさい。」

先生の言うとおり俺たちはこれらを仕事で使うつもりはなかった。だから先生の言うウェポンは

「鎧と弓のことですね。」

「その通りです。あなたたちの成長を見せてください。」

「わかりました。いいな、ナナ。」

「はい。」

ナナに了承を得て、俺は大剣を預け、ナナは杖を預けて弓と矢を用意した。

「お待たせしました。お願いします。」

俺たちは構えた。すると、試験を終えたものたちから声が聞こえた。

「なんなんだそのウェポンは。」「職業間違えたんじゃね。」「どうやって戦うんだよ。」

周りで嘲笑が起きた。しかし、そんな中

「では、始めますよ。」

語らずともわかっている。戦いの中で黙らせろということだ。

「「お願いします。」」

始まりの鐘がなった。

「えっ。」

一瞬あと目の前に人影が現れた。とっさに俺はガードした。

ガキッ

腕が痺れた。剣が腕に当たったようだ。

「くっ。」

「さあさあ、どうしましたか。戦いは始まってますよ。」

周りの嘲笑はやんでいた。それは今の一瞬の出来事のせいである。

サンライトは今まで力を押さえていた。今のような動きは一度もしていない。それはすべてのものに越えられない壁を見せつけたようだった。

「わかってますよ。」

次は俺たちが攻めた。ナナの援護を受けながら攻撃を続けている。しかし、一発も当たっていない。師匠との組手を思い出す。結局師匠に一回も当てられなかったっけ。

しかしそれから成長した。状況だって違う。師匠が安心できるよう。師匠のように誰かを守れるよう。成長した。

「今、師匠を越えるときだ。」

叫びながら地面を思いっきり叩きつけた。まわりに衝撃波が流れ、辺りがくぼんだ。

「そんな攻撃当たりませんよ。」

上に跳んで避けられた。

「そんなの、当たり前じゃないですか。」

わかっていた、避けられること。そして、上に跳ぶことも。

「一本の矢が放たれる。あとに続け千本の矢。サウザンドアロー。」

ナナは詠唱に続き矢を放った。ナナのまわりに魔方陣が描かれ、千の矢が続いていった。

「確かに空中なら避けられませんが。我を守れ魔法の盾。ハードプロテクション。」

剣を持たないもう片方の手を前に出した。千の矢は当たる前に消えていった。サンライトは魔法剣士、剣を持ちながらも魔法が使える。

「まだ、もう一発。」

矢に気がとられているうちに上に跳んだ。そこから、かかと落としを狙った。

「くらえっ。」

サンライトにめがけた一撃。

「くっ。」

サンライトは前に向けていた盾を、上に向けた。

「やらせない。」

衝突した。

「くあっ。」

押し返されそうだ。

「このまま押しきる。」

意地と意地のぶつかりあいだった。これがあたれば勝てるだろう、しかし弾かれればこれ以上打つ手は俺たちにはない。なんとしても当てなければならない。

「はぁぁぁぁぁぁ。」「たぁぁぁぁぁぁ。」

ヒビが入るような感覚があった。このままいける。

そしてついに時は来た。衝突していた壁はなくなりそのままサンライトへむかっていった。

いった。このまま。しかし、もう一度何かに衝突した。

剣だった。お互い弾かれサンライトは地面に叩きつけられ、俺は弾き飛ばされた。

「くそ。後少しだった。」

「詰めが甘かったですね。けれど。」

サンライトは剣を構えた。が、剣はそのまま砕け散った。

「私に魔法を使わせ、剣を破壊してしまうほどの力評価に値します。あなた方は合格とします。また、あなた方と戦えることを楽しみにしています。次はもっと楽しませてください。」

「「はいっ。」」

こうして俺たちは卒業し、新たなシーカーとしてなを刻んだ。






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