とある手記から(技術)
私の所持していた武器の話をしよう。
過去に語ったあの武器。そっとかざすだけで逃げられたあの武器だ。
あの武器の名前、それは「綿密細胞破壊装置」とでも言おうか。
そもそもこの武器が生まれるに至ったのは日本の科学技術が特に秀でていたからかな。
細胞の中にある一つの物質。それは空気中にもふわふわ浮いている物質でね。「リスピリン」というものだ。
それは細胞の中に潜んでいて、常に細胞の活動のストッパーとなる存在だった。
それを利用すると身体がかなり健康的になるという発表をしたのが、日本だった。
当初、それを活発化させるには放射線――レントゲンよりも少し強めなもの――を浴びせる事が最重要事項で、体への影響も心配された。でもほんの少しだから、リスピリンが活発化した時にその影響は全部戻ってくると分かったんだ。
でもね。
日本はこれを急遽中止した。
なぜかって?これは政府や軍人だけの秘密なんだけど……まぁ、今の私の立場ではそんな事も言ってられないね……。
このリスピリン。放射線を当てた途端に暴走を始めてね。細胞ごと爆発して……その人はバラバラだ。
だから日本はこの技術の危険性を重々承知していた。
これが、この「綿密細胞破壊装置」の秘密さ。
この中には凝縮された放射能が入っている。レールガンと同じ要領だ。
こいつを人に向けるとどうなるか――分かるね?
だから私と対峙したあの兵士が逃げたのも分かるだろう?
この銃は第三次世界大戦が終わったと同時に撤廃されたよ。あまりにも人命を軽く見すぎているとね。
……そんな事言ったら戦争はなんなんだ。と言いたくなったけど。
まあ、私はこれを後の時代に伝えなければならない。
こんなこともあろうかと複製を作っておいたのさ。だから国に返却したのは偽物。
本物は私の机の中にしまっておこう。
私の記憶と共に、ね。