第8話 ゴーレム戦隊
事情を話すと、シロはふんすと鼻息荒く袖をまくった。
「私に任せてください」
「お、落ち着いて。何かして欲しいって訳じゃない。話を聞いてくれるだけでも助かるから」
「では、私の話も聞いてくれますか?」
「もちろん」
シロは心を落ち着かせた。
「もうすぐ成人ですから、頃合いでしょう。私は、あなたに外の世界を見に行ってほしい。塔の中で一生を過ごすなんて健全とは思えません。外での経験は、きっとあなたの糧になります」
予想外の話だ。これまで外に行ってみようか考えたこともあるが、ここの居心地が良くてその気は薄れていた。
「シロは?」
「ここに残って、ダドゥ様の研究を調べてみます。ゴーレムの力を借りればなんとかなると思います」
俺のゴーレムなら俺と同じように何の制限もなく塔で行動できる。でも、シロやサンゴは違う。お互いに会話を交わすことさえ許されていない。
「シロを一人にしたくない」
シロは、わざとらしく誇らしい顔をした。
「心配ありません。寂しいけれど、信じていますから。きっと豪華なお土産を持ち帰ってきてくれると」
チラッと俺の反応を見ている。開いた口が塞がらないとはこのことだ。たぶんシロは冗談を言ったんだろう。
「だったら行くしかないか。お土産、任せといて」
「楽しみです」
二人で笑い合った。
その日から準備に時間を費やした。
特に苦労したのは、新型のゴーレムの製作だ。外に行くならより強いゴーレムがそばにいてほしい。幸い塔にモンスターの素材は保管してあった。
ゴーレムにスライムというモンスターの素材を混ぜると、水の補給の頻度が格段に減った。
ドラゴンというモンスターの素材を混ぜると、素のゴーレムとは比較にならないほど力が増した。
こうしてできたゴーレムは四体。外見は他のゴーレムと変わらないずんぐりむっくりだが、それぞれ別の色で模様を描いてみた。名付けて、緑色はグリーン、赤色はレッド、青色はブルー、黄色はイエローだ。彼らに旅についてきてもらう。
ゴーレムにも個性がある。グリーンは俺にいろいろとお節介を焼いてくれる。レッドとブルーは遊ぶのが好きだ。イエローはいつもじっとしていて、ちょっと何を考えているのかわからない。
「みんな、よろしく」
仲良く手を上げて答えたゴーレムたちは、円陣を組んだ。今にも「ファイト、オー!」というかけ声が聞こえてきそうだ。頼もしい。






