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大阪アンダーグラウンド00年  作者: 北島倶楽部
2/3

先輩

「ヤバイ」

思わず声が出た。

俺は自分の運の悪さを呪った。

「潤、最悪やん・・・」

隣の幹生がやっと俺の耳に届く程度の音量で俺に気持ちを届けた。よーするに俺と同じ気持ちだということ。

パーーーーーーーー

パー-------

クラクションの音が鳴り響きながら、地元住之江区の住之江駅前の細い道路に似つかわしくないバキバキのベンツが一方通行を逆行しながら走ってくる。

極力、俺たちは存在感を消すべく空気になる努力を試みるが、そもそも幹夫は金髪のモヒカンで俺は地元では浮いてしまうニルヴァーナのカートコバーンに憧れたグランジスタイルでいる為に、どーしても目についてしまう。

「乗らんかい」

バク君。言わずと知れた住之江最凶の7つ上の先輩。

バク君は中二の時にその当時住之江区最強と言われたバク君の2個上の先輩からおちょくられたという理由でいきなり腹を刺してから、少年院、少刑、刑務所と施設生活を繰り返し2年以上シャバにいる事がまずない年中無休でヤバイ人。

そして、シャバにいる時間の中では色んな意味で当然に暴れまくってる。

色んな意味で当然に・・・。

空気感、目つき、こけた頬・・・。

一撃でシャブをキメてられる事を悟った。

そして当然逃げれない事も悟った。

こないだ、一個上の糞ポン中のマーポンがシナモンキメてる時にバク君との約束をちぎってしまった結果、バールで団地のマーポンの家の扉こじ開けられてそのバールで50発ぐらい殴られてるのを目にしてる。

覚悟を決めざるを得ない状況のため、覚悟を決めて車中に乗り込んだ瞬間に秒速で凍りついた・・・。

あろうことか、ガムテープでグルグロ巻きにされた全身刺青の男が転がっていた。

よく見ると、それはバク君の一個上の現役のヤクザの山下君。

ちなみにバク君は一応カタギ。

最悪の状況・・・。

でも、ど、どーしようもない。

これが、秩序の無い不秩序の上に成り立つ地元のルール。

車は急発進した。バク君の左手に握られてる包丁に赤い糊的なのが付着してるのが眼に入ったが見ないように努力した。

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