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親父のくせに  作者: 佐野隆之
第三章 1225
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第19話 声明

 タワーズ火災事件(後に名古屋テロ事件と改名)を実施した彼らによる犯行声明が発火開始後30分、日本時間19時30分にネット上に公開された。

 それは世界中の侵入が容易な個人サーバーを経由して、40あまりの言語を使い音声と文により様々な情報端末に向けて世界同時配信された。

 その声は時には男。時には女。時には子供。そして時には老人とデジタル作成音を使った奇怪なものであった。



 私たちは貴方たちの鏡である。よく見よ、その姿。その身に纏った物は何だ? その手にしている物は何だ? 私達は貴方たちがそれを手放し脱ぎ捨てるまで私たちも手放さない。

 よく考えよ、貴方たちが多くか弱き命をどれだけ奪い去ったことを。

 よく考えよ、貴方たちの欲望を満たすために死に追いやられた者のことを。

 よく考えよ、母なるこの地球を(むしば)む自分たちの行いを。


 私たちは貴方たちの所持する、護ることを方便に我々を脅迫し続ける兵器を保有保持し続けるならばそれと同等のもの生産し続け人類の永久戦争という歴史を遺すことになるであろう。


 私たちは国境無き地球人である。

 故に私たちの同胞はこの地球上至るところに存在している。

 例え同胞の一人だろうと百人だろうと捕らえるなり殺したとしてもそれはマッチを擦り新たな蝋燭に灯を点した程度のことだけである。

 

 人が生きる道、手法の選択は自由でありその選択こそ人の権利である。私たちの選択は貴方たちの武器の放棄を目的の脅迫行為であると明言する。

 私たちも貴方たちと同等の殺傷技術を保持し我々の身を守る。貴方たちが手放すまで堪えず。それが真の平等である。


 弾丸一つの威力に対する効果はいかほどだろうか?

 

 ロケット弾一つの威力はいかほどだろうか?

 

 戦闘機一機の威力は?

 

 原子力空母の威力は?

 

 そして未だに核を保有保持することで利己的自己保身主義を貫き恐怖の価値観を高みに上げ我々に脅しかける貴方たち。

 それから私たちは身を守るために私たちも同等の殺傷能力のある物を所持するのは当然の権利である。これは人対人の中にある平等な権利である。

 しかし私たちは自分たちの死を恐れての保身行動ではない。私たちは貴方たちより遥かに高貴に生きている。

 ほんの一握りの傲慢さに支配される世界は不要である。

 

 国境無き地球人はどこにでもいる。私達は領土も人種も区切りのないただの地球人の集まりである。



 彼らの行った行為は十分に効果を発揮した結果を残したようだ。その後の日本では街中を迷彩服を纏い自動小銃を手にした自衛隊員が闊歩し、一般市民は日常的に不安に心縛られ生活し、そして好戦家たちを興奮させ彼らの行為を露骨な挑発と捉えて世界中が簡単にのったのだ。犯人捜しのための戦争ビジネス活性化に。


 なおそれから約14時間後、アメリカ時間19時丁度にはブルックリン橋が突如崩落するという事態が発生していた。これも彼らの仕掛けである。

 そして翌年の旧正月には中国の北京、韓国のソウルで日本と同等の作戦を実施。続いて3月から4月にかけてロシアのモスクワ、フランスのリヨン、イタリアではミラノ、イギリスはバーミンガム、そしてオーストラリアのメルボルンと最終的には国連加盟国の約半数の国にてアトランダムな都市にて作戦を実施させ成功を収めた。その結果、本格的な世界規模の無数の見えない敵、対テロ型冷戦構造国家のスタイルが2060年より世界で始まることとなった。

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