なーろっぱ世界の短編 婚約破棄とか聖女とかドアマットとか転生とか
サバサバ女は偽サバを容赦しない ~婚約者の男友達みたいな人は、ほんとうに男(自称)だったらしいです~
騎士科にいる婚約者のジョンソンが、なぜかランチに女を連れて来た。
「マグノリアちゃん。わたし、ジェミー・バレンタイン。彼とは騎士科の同期なの」
「……わたくしは、名前で呼んでいいなどとひとことも言ってないのですが」
婚約者がデレデレした顔で、
「固い事いうなよ。こいつは男友達みたいなものだからさ」
「そーよ。わたし、サバサバしてるんで、そういうの気にしないの。これでもう友達ね!」
「あの……本人の性格と関係なく、女は女ではないですか」
ジェミーと称する女は、どう見ても、サイズが小さめな制服で、ラインを強調した胸を、これみよがしに婚約者へ押し付けて。
「ジョン。この子って理屈っぽいね。かたこらない?」
「こるこる。がっちがち。そうなんだよ。こいつ、うるさいんだ」
女のシャツのボタンの上ふたつが、わざとらしく外されていて。
胸の谷間が覗いています。
「うるさいって……当然のことだと思いますが。婚約者と女の距離が異様に近かったら」
「やーね。友達関係に誤解して嫉妬するなんて、だから女っていやなのよね」
ふたりの椅子は、いつのまにか接するばかりになって。
太ももと太ももをくっつけあっています。
「そうだぞ。お前もこれくらいわりきれよ」
騎士科の生徒は帯剣を許されています。
わたくしの婚約者は大柄で、いかにも強そうですし。
この女も当然、帯剣しています。
周りの人も助けてくれません。
「わぁ! 騎士科のランチより全然豪華!」
「あそこは、体鍛えるのが第一だから、メニューもアレなんだよな」
「あ、これ、あっちにはない! わぁパフェなんかもある!」
どう見ても距離が近いです。
でも、騎士科の乱暴で粗暴な環境だとこういうものなのでしょうか。
婚約者は、まともな人だと思っていたのに。
でも、騎士科ではあれば普通なんでしょうか……。
ふたりは、わたくしを無視するように、わきあいあいと食事をとりながら。
騎士科の女子がいかに陰湿で、そして粗暴な彼女らに、騎士科の男子がいかに手を焼いているかを大声でしゃべり。
笑い喋りながら、ふたりで騎士科へ帰っていきました。
「はぁぁ……」
そんなことが何度か続き。
いくら相手がノーキン侯爵令息で、わたくしがマットウ子爵令嬢でも、この婚約をどうにかしたいと思うようになり。
父もわたくしの話を聞いて激怒し、ノーキン侯爵家に抗議してくれましたが。
『若い頃はよくあることだ。婚約者なのだから、それくらい見守ってやれ』
と高圧的に言われてしまったそうです。
しかも父が改めて調べてくれた結果。
ジョンソンは、騎士科での成績も下から数えた方が早いことが判明。
きっと、ノーキン侯爵は、ジョンソンの不始末の尻ぬぐいや、領政までわたくしに押し付けるつもりなのです……。
それでも両親は、婚約を解消することはできる、と言ってくれました。
うれしかったです。
でも、子爵家と言っても中堅、向こうは侯爵家の中でも3つの指に入る家。
巨額の違約金を払わされた上に敵視されたら、我が家の未来は暗いでしょう。
わたくしのために、家を潰すわけにも参りません。
もう、あのふたりの顔を見るのさえイヤになって。
将来に絶望しか感じなくなりはじめたころ。
いつものように、わたくしが暗い顔で婚約者と自称男友達みたいな女と同席してると。
「オマエらこんなとこでなにしてるんだ?」
騎士科の別の女子が、食堂へやってきました。
「え」
「あ……」
なぜかふたりとも気まずそうです。
ジェミーなんか、パフェを食べようとした手が止まっています。
この方、同じ騎士科の女子でもぜんぜん違います。
背が高くて、すらっとしていて、肩までしかないショートも、その鋭い美貌にお似合いで。
そのしなやかな体つきと身のこなしを見るだけで、素人のわたくしでも鍛えているのが判ります。
もちろん、シャツのボタンを外してなんかいません。
「最近、騎士科の食堂で見ないと思ったら、こんなとこにいたのか」
「あ、あんたこそ何しに来たのよ!」
「ああ。婚約者に用事があったんでね。で、そういうお前は? なんで婚約者同士のランチに割り込んでるんだ?」
彼女の声は、よくとおるいい声でした。
食堂中の視線が、なにごとかと集まってきています。
こんなに大きな声で喋るなんて……この人もガサツなのでしょうか……。
ジェミーは、
「い、いいでしょう! わたしはこいつの友達なんだから」
そう言うと、ジョンソンに抱き着きました。
「そ、そうだ。俺は俺の婚約者と友達になってもらおうと。こいつ暗いからさ」
「ねーわたしたち友達だよね」
上目づかいで媚びるように言われたので、
「……いいえ。わたくしたちは友達ではありません」
「またまたぁ照れちゃって」
「全く、こいつってば頑ななんだよな。ジェミーの好意がちっともわからない」
騎士科の女生徒はあっさり、
「いや、当然だろ」
「え」
「な」
「だって、明らかに名前呼びも許可してないし。そもそも、婚約者とベタベタしてる異性とどう友達になれと?」
「オレはベタベタなんかしてない! これは単なる親密さの表現だ!」
「そうよ! わたしは」
「あーお前らのいうところの男友達ってやつね」
「そうだ!」
「そうよ! わ、わかってるならいいのよ」
わたくしは、新たな闖入者に少し警戒しながら
「あの……騎士科の令嬢方はその、みんな……こんな感じなのでしょうか」
「ああ。こいつは別。だって、こいつ。男だもん」
「な」
「え、この人、男だったんですか!?」
どう見ても女ですけど。
というか、わざとらしいくらいに女です。
いわゆる女のイヤなところを煮詰めたような人です。
「貴族の令嬢で、ちょっとまともな教育と、普通の知能がついてたら、異性相手に、婚約者があろうがなかろうが、こんなにベタベタしないだろ? だからこいつは男」
「言われてみればそうですね……」
なるほど。
男(?)だったんですね。
「ち、ちがう! なにを言っているんだよ! 彼女はあくまで男友達みたいなもんで!」
「そういうノーキン侯爵令息は、友達とそんなベタベタしてたっけ? さりげなく尻触ったりしてたっけ? 胸押し付けたり押し付けられたりしてニヤニヤしてたっけ? あ。だから友達少ないんだな」
わたくしは、思わず婚約者を、虫けらを見るような目で見てしまいました。
想像するだに気持ち悪いです。
「しっ、してない! お、男同士でそんなことするはずないだろ!」
「じゃあ、どうしてそいつにはしてるんだ? 男同士なんだろ?」
「そ、それは……」
彼はさんざん、男友達みたいなもんだから、と言っていたのです。
今さら、女だから、というわけにはいきませんよね。
「確かにそうですわね。相手の方が女性であると判っているなら、そうするのは礼儀知らずですし。相手が男性だからなら、殿方誰にでもそうするはずですし」
「まぁ、男同士で愛し合わずにいられない、という人もいるから、そういう生まれ持っての星の定めならいいが」
「う……」
ジョンソンは、真っ赤になって、口ごもったと思うと、突然立ち上がり
「うるさいんだよいちいち! 女の癖に!」
そう切れると、自分の帯剣の柄に手を――
「遅い」
「ひっ」
いつのまに握ったのか、騎士科の女性のもったフォークの切っ先が、ジョンソンの鼻先に突き付けられていました。
「剣を抜いてたら、お前は騎士科にいられないどころか、退学だぞ」
婚約者は、助けを求めるように辺りを見回し。
周囲の冷たい視線に改めて気付くと。
凍り付いたように動かなくなり、ぐったりと椅子に座り込んでしまいました。
ジェミーが切れたように、
「そ、そういうところが嫌いなのよ女は! すぐそうやって上から目線で!」
「ほう。なるほど。改善すべき点があるなら改善しようじゃないか」
「そうやって人を容赦なく傷つける陰口たたいて、わたしのことみんなでハブにして!」
「本人の前で堂々と、見たまんまを話してるだけだが? それを陰口というのか?」
「本人の前で話してても陰口なのよ!」
新説です。
いえ珍説でしょうか。
「ふむ。なるほど。でも、ここで騎士科の女たちの悪口をたたいているのは陰口って言わないのか?」
「な、なんで知ってるのよ!?」
あ。認めてます。陰口だとわかっていたようです。
「あのな。お前以外の騎士科の女子には、騎士科以外にも友達がいっぱいいるんだよ。つまり、自分がくっちゃべってるのは陰口って自覚あったわけだ」
「それは。ちが、ちがう事実で」
「本人が聞こえないところで、ぺらぺらイヤなところを喋るのは陰口と言うと思うがな」
わたくしはうなずき。
「わたくしの辞書にも、そう載ってます」
「陰口叩くのは、お前の定義だと女なんだろ? 男になったり女になったり忙しいな」
「こ、これは、わ、わたし、お、男だから女じゃないから陰口じゃないの!」
「うん。なるほど。納得だ。やっぱりお前は男なんだな」
「え」
「なんせ、女は陰湿で陰口ばっかりたたくそうだからな。で、お前はしない。似たことでもちがう。つまり男だからだいいんだ、そういうわけだな」
「そ、そうよ! わ、わたしのは陰口じゃないの!」
「そして、男だから、他人の婚約者でも、男同士のつきあいだからベタベタしててもいい。男だから胸や太ももを押し付けたり、人前で抱き着いたりしてもいい、というわけか」
「そ、そうよ!」
「なるほど。ノーキン侯爵令息も、こいつが男だから、婚約者の前で距離が近い、ということでいいのかな?」
「え、あ、あ、あ、ああ」
「でも、ノーキン侯爵令息。ここで騎士科の連中の陰口叩いてるのは、男らしくないんじゃないか。女みたいだな」
「そ、それは、その」
「ああ、ノーキン侯爵令息ではなく、ノーキン侯爵令嬢だったのか」
婚約者は、口をぱくぱくとして、何か言おうとしているようですが、何も言えません。
周囲の視線が気になるようです。
この騎士科の女性に、婚約者は知性でも腕でも勝てません。
何かしたら、もっとブザマをさらすだけでしょう。
今さらわかりました。
どうして騎士科の女性が、よくとおる大声で喋っているのか。
周りの注目を集めるためだったのです。
だけど、ジェミーは気づかないようで、
「お、男だって陰口くらいたたくのよ! お、男は陰口叩いてもいいのよ女はだめだけど!」
「そ、そうだ。彼女の悪口をねちねちとえんえんとしゃべって! だから女は!」
騎士科の女性は、ジョンソンを蔑みに満ちた目で見降ろし、
いきなり、わたくしたち4人しか聞こえない声量で。
「お前の女って言うのは、やらせてくれる女のことなのか?」
「な」
わたくしも思わず、目を見開いてしまいました。
「お前ら、男子シャワー室でさかってるのばれてるから。女生徒はみんな知ってる」
「え」
「でもまぁ、ジェミーも男だから、男同士がシャワー室にいてもなんの不思議もないな。そうでなかったら学園で不純異性交遊で退学だな」
「あ、あたしはおん――」
「なら退学だ。しかも、ノーキン侯爵家はマットウ子爵家に物凄い違約金だか慰謝料だかを払う羽目になるだろうなぁ」
わたくしはうなずいた。
「そうですわね。もし、この方が女性でしたら。そういうことになりますわね。そうしたら、ノーキン侯爵令息様は廃嫡ですね」
わたくしは気づきました。
この騎士科の女性が、その証拠を握っているなら。
わたくしが、ここでこのバカどもに婚約破棄を叩きつけてやったら向こうは呑まざるをえない――
騎士科の女性は、わたくしだけに見えるように、後ろ手でバっテン印を示してきました。
そして、男か女かよくわからないジェミーに向かって、にやり、と笑い、
「だけど、お前は男なんだろ? 何度も自分でそう言ったよな?」
「あ、あたしは――」
「ええ、わたくしも聞きましたわ。そもそも、男だからわたくしの婚約者とくっついていても許されるのでしょう?」
そして、騎士科の女は、小声でつけくわえた。
「慰謝料」
ジェミーは、キレたように叫んだ。
「そ、そうよ! わたしは男よ! いいでしょうそれで!」
「騎士科のジェミー・バレンタインは男だってことだな?」
「そうよ! だからあたしだけは男とくっついててもいいのよ!」
騎士科の女性は、にやっと笑って、
「この自称男、婚約者がいるか、ちょっと見てくれがいいハリボテとしか友達にならないんだぜ。不思議だよなー」
「い、いいのよ、あ、あたしは男なんだから!」
「なるほど」
「そ、そうだぞ! お、オレ達は男同士だからな!」
「き、気分悪いわ! か、帰りましょう!」
「そ、そうだな! 命拾いしたなお前ら!」
ふたりは逃げるように食堂を出ていきました。
騎士科の女性は、吐き捨てるように
「ださ」
「ださ?」
彼女は、逃げ出したジェミーが座っていた席につくと、
「かっこうわるいってことさ。あ。さっきは察してくれてありがとな」
「……そちらこそ、どこまで察してたんですか」
「立ち上がりかけたろ。なんか決定的なことを言うつもりだな、と」
わたくしは声を潜めて。
「……婚約破棄をしてやろうかと」
「ああ。なら、よかった。やめて正解」
「……なぜ、ですか」
「あいつらがシャワールームでしてるのは事実だ。騎士科の女子が何度も音を聞いてる。だが証拠はない」
「……なるほど」
決定的な証拠がない。
だとすれば、今日のこの場で彼らが示したろくでもない態度だけでは、結婚破棄を成立させるには足りないかもしれません。
先方の侯爵家は、またも。
『若い頃はよくあることだ。婚約者なのだから、それくらい見守ってやれ』
という理屈にもならない理屈で押し通してくるでしょう。
騎士科の女性は、ジェミーが口をつけなかったパフェを、図々しく食べながら、
「まぁ、そう落ち込むな。あ。食べたかったか?」
「あのひとが頼んだものなんて食べたくありません。それに別段、落ち込んでなんかいません」
「じゃあ遠慮なく。パフェに罪はないからな……うまっ」
わたくしの気も知らない様子で、ゆっくりとパフェを味わうと、平然と完食し。
「じゃ、また」
と言って立ち上がりました。
「また?」
「どうせ奴らは、またやらかすさ。今度は決定的な奴をな」
※ ※ ※
そのあと。
あの自称男(女)はぱったりと来なくなりました。婚約者もです。
そして、この件はたちまち学園中に広がり。
そのことも影響したのか。
一ヶ月も経たないうちに、わたくしの婚約は、向こうの有責であっさりと解消されました。
妙に多額の違約金まで払ってもらいました。
婚約者はなぜか退学し、後継者を外され、領地へ押し込められたそうです。
※ ※ ※
その半月後、あの騎士科の女性が来ました。
「あの」
「マットウ子爵令嬢、お久しぶり。何か用事?」
「……わたくしの元婚約者のこと、何かご存じではないでしょうか?」
「ああ。男と体の関係があったのが見つかって、騎士科を退学になった」
「え」
男と? え、ええっ。ええええ!?
「男といっても、生き物としては女だけどな」
「……?」
「マットウ子爵令嬢の元婚約者の自称男友達、覚えてる?」
「あ、はい」
あまり思い出したくありませんが。
「あの時、あいつは、自分は男だって言ったろ。しかも食堂中の学生の前で堂々と。だから本人の言う通り、男扱いしてやったんだよ」
「どうやって」
「騎士科には、練習で二人一組になる時は、女同士で組むっていう不文律があるんだ」
「……ああ、なるほど。でも、あの人は男だから……」
女子は誰もあの人と組まない。
男と組むしかない。
騎士科の女は肩をすくめた
「そうすると不思議なもんで。男って、女を合法的にいたぶれるとなると、そうしたがるやつらっているんだよな」
「うわ……」
「あいつ、そういうヤツらとばっかり組むはめになってさ。しかも腕はからきしだったからな」
想像すると、ちょっと気の毒にすらなりました。
「気の毒がることないぜ。前からあいつだけは練習で狙ってる男と組んで、きゃっきゃうふふしてたし。女と組んでボコボコにされると、『あの女って野蛮よね! あたしに嫉妬してるんだわ! 女ってやーねー』ってほざいてたからな」
気の毒さが消滅しましたわ。
「貴女はあの人と……?」
「ボコボコにしたよ。何か言ってきた奴らもボコボコにした。そういう手合いって大抵よわっちいからな」
どうも、元々この人は、アレの天敵だったみたいですね。
「わたくしの元婚約者はあの人を……」
「ノーキン侯爵令息は、あいつと組もうとしたよ。でも、あの男も弱いからさ。ガタイのいい男に凄まれると、すごすごと」
「……ダサいですね。こ、これで使い方あってるでしょうか?」
「バッチリ。んで、マットウ子爵令嬢の元婚約者以外も近づかなくなって」
「あの人、そんな風に扱われるのに、耐えられる人間じゃないと思うんですが」
「いい加減、女だって認めたら、って言ってやったら。あいつ逆切れして、女性用シャワー室を使わない宣言しやがった」
「ええっ。そんなことしたら……」
男性用シャワー室。
男の中に女がひとり。
しかも限りなく裸。
……。
「それでなるようになった。男子学生が3人。自称男子がひとり、退学に」
「ああ……男同士でも退学ですね。それはいったいいつの話ですか?」
「半月前」
謎は全てとけました。
騎士科でそんなことを起こしたら、そりゃ退学になりますわね。
余りの不祥事に、騎士科と学園当局が細部を隠そうとしているのもわかりますわね。
妙に多額の違約金をよこして来たのは、口止め料もあったのでしょう。
「でも、それって……ちょっと陰湿じゃないですか?」
「そうか? 自分が女だって認めて、それに合わせた行動をとればよかっただけさ。婚約者のいる男に過度に近づかない。男とベタベタしない。そんな高い要求じゃないだろ?」
「まぁ……そうですね」
「あの後だって、こっちは何度も訊いたんだ。『お前は男じゃなくて、男が好きなだけの寝取り狙い女なんだろ? 同性に嫌われるタイプのタチの悪い女なんだろ?』って」
事実ですけど! 正真正銘の客観的な事実ですけど!
「……言い方ですわ。普通に『女なんだろう』って訊けば」
「最初は訊いたよ。まぁ、あいつが男とベタベタしてた時にだけどな。『男友達同士だからしょーがないなぁ。男友達ならって。そうでなかったら……』ってな」
「いや、それ、十分陰湿ですわ……あの方、絶対に、自分は女だって言えなくなってたでしょう」
あの人は、男と女を使い分けて、おいしいとこどりをしてるだけの女だったのです。
深い考えもなかったのでしょう。
「だろうな、でも」
「でも?」
「あいついわく、女って言うのは、陰湿で陰険だそうだからな、その通りにしてやっただけさ」
そういうと彼女は、からり、と笑った。
たくさんの作品の中から、本作をお読みいただきありがとうございました。
最後までお付き合いいただけたこと、とても嬉しく思います。
少しでも心に残るものがあったり、何かを感じていただけたなら、
評価や感想をいただけるととても励みになります。
別の物語も書いておりますので、もしよろしければ、そちらも覗いてみてください。




