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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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シーン5:条件違反の成立 ― 制度上、最も危険な行為 ―

ディアナが口を閉じた瞬間、

その場には何も起きていない。


警報は鳴らない。

教官は現れない。

ログにも、異常値は一切残らない。


それでも――

制度上、最も危険な行為は、すでに成立していた。


何が違反なのか。


それは、規定では定義されていない。


ディアナが行ったのは、


・非公式情報の共有

・個別判断の誘導

・危険構造の言語化


いずれも、明文化された禁止事項ではない。

誰も「してはならない」とは書いていない。


だが同時に、

誰も「してよい」とも書いていない。


制度は、こうした行為を前提に設計されていない。


装備は数値を管理する。

訓練は行動を評価する。

判断は記録に残る。


だが、今ディアナが渡したものは、


数値にならない。

行動にもならない。

記録もされない。


それは「知識」ですらない。


世界の癖。

制度の穴。

事故が“なぜ起きるか”という、説明可能だが管理不能な構造。


そして何より――

それを受け取ったのが、生徒であるという事実。


この瞬間から、リリアは変わる。


まだ行動は変わらない。

配置も、装備も、数値も同じだ。


だが、判断の前提が壊れた。


これまでは、


「安全と判断されたから、大丈夫」


だった。


これからは、


「安全と判断されても、危険かもしれない」


になる。


この差は、制度にとって致命的だ。


なぜなら、制度は

“判断を委ねない者”を想定していない。


考えない者。

従う者。

平均に寄せられる者。


それらを守るように作られている。


だが、


考えてしまった者。

疑ってしまった者。

自分の判断を持ってしまった者は――


守れない。


しかも、この違反は検出不能だ。


記録に残らない。

第三者が検証できない。

再現性もない。


誰かが問題視しようとしても、こう言われる。


「何を言ったのか、証拠はあるのか」


ない。

なにも残っていない。


だからこそ、最悪だ。


ディアナは理解している。


今、自分は規定を破っていない。

処分も、注意も、警告も発生しない。


だが同時に、


管理不能な変数を、

最も壊れやすい場所に投入した。


それが何を意味するかを、

彼女は誰よりも知っている。


制度は、違反者を処理できる。


だが、

制度を理解した者は、処理できない。


この瞬間、

ディアナは「問題」になった。


まだ表には出ない。

まだ名指しもされない。


だが確実に、

排除対象として再評価される条件が、静かに揃った。


誰も気づかない場所で、

誰も止められない形で。


最悪の種類の介入が、

何事もなかった顔で成立していた。

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