表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/99

シーン2:リリアの点検(異常の“自覚”)

リリアが点検台に立つ。


背は高くない。

動作も控えめで、周囲に溶け込むように歩いてきた少女だ。

教官の指示に従い、魔導銃を構え、防護服の固定を確認する。


「魔力を流してください」


その声に、リリアは小さく頷く。


魔力が流れ、解析術式が起動する。

ガラスの向こうに、光の数値列が浮かび上がった。


量、出力、制御係数。

どれも基準値内。

赤い警告表示はひとつもない。


教官は特に反応を示さない。

周囲の生徒も、ちらりと見るだけだ。


だが、リリアの中では、別の反応が起きていた。


――引っ張られている。


はっきりした言葉にはならない。

けれど、魔力を流すたびに、装備の内側から微妙な抵抗を感じる。

自分の魔力が、装備に合わせて押し曲げられているような感触。


ログは、わずかに揺れている。

数値としては誤差。

装備側の補正が、即座にそれを均している。


だから、問題にはならない。


けれど――。


もう一度、魔力を流す。

今度は意識的に、呼吸を整えてから。


それでも、ズレる。

ほんの一瞬。

装備が遅れて追いかけ、また均す。


(……変だ)


理由は分からない。

理屈も説明できない。


数値は正常。

教官も何も言わない。


このまま黙っていれば、点検は終わる。

「問題なし」で済む。


リリアは一瞬、口を閉じかける。


自分の感覚を、信用していいのか分からない。

ここで何か言えば、空気が止まることも分かっている。


それでも。


胸の奥に残る違和感が、無視できなかった。


「……これ」


声が、思ったより静かに出た。


「これ、大丈夫なんでしょうか」


解析室の空気が、ほんのわずかに揺れる。


まだ、誰も否定も肯定もしていない。

安全宣言も、問題なしの判断も出ていない。


ただ一つ。


点検台の上の当事者が、

制度より先に疑問を口にした。


それが、この場で初めての出来事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ