26/99
シーン7:暗殺側の観測(静かな了承)
学園の外。
結界の外縁に設けられた、
非公式の観測拠点。
そこでは、
生徒の姿も、
学園の喧騒も存在しない。
あるのは、
淡々と流れる数値と、
無機質な記録だけだ。
魔導監視データが、
静かに解析されていく。
戦闘介入率。
戦局影響度。
注目度推移。
その中で、
一つの変化が明確に示されていた。
――ディアナ・ヴァルツァーク。
影響度、低下。
突出値が消え、
分布は平均に近づいている。
観測者は、
その結果を確認し、
特別な感想を持たない。
続いて、
別の項目を見る。
王子、ルッツ・ライヤード。
ヒロイン、リリア・コンツェル。
行動傾向、変化なし。
前に出る。
守る。
信じる。
予定通りだ。
しばしの沈黙の後、
結論が共有される。
「計画変更は不要」
理由は、
単純だった。
突出した存在は、
事故を歪める。
予測不能な介入は、
再現性を下げる。
だが今、
そのノイズが減った。
最強が沈黙することで、
事故は“事故”として成立しやすくなる。
偶然に見える必然。
処理として理想的な形。
ディアナの行動は、
彼女自身を守るためのものだった。
だが皮肉なことに、
それは暗殺側にとっても、
都合が良い。
観測者は、
淡々と記録を閉じる。
この世界は、
何も変わっていない。
――少なくとも、
彼らの視点から見れば。




