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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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24/99

シーン5:事後評価(教官の判断)

模擬戦終了後、

第三演習区画に併設された管制室で、

教官たちによる簡易的な確認が行われた。


形式ばった会議ではない。

だが、

ディアナが敗北した以上、

何も確認しないという選択肢はなかった。


魔導端末に、

戦闘データが展開される。


命中率。

移動距離。

反応速度。

判断遅延。


数値は、

整っていた。


極端な低下はない。

致命的なミスもない。


射撃は正確。

移動は合理的。

判断も遅れていない。


ただ――

一つだけ、

決定的に欠けているものがある。


決定打。


勝敗を分ける行動が、

一切記録されていない。


誰かを仕留める。

戦局を動かす。

流れを引き寄せる。


そうした行為が、

最初から最後まで、

存在しなかった。


主任教官、

マルクス・ヘルマンが、

端末から目を上げる。


表情に、

怒りはない。


失望も、

困惑も、

強くは出ていない。


「……不調だな」


短い一言だった。


断定でもなく、

追及でもない。


教官たちは、

それ以上踏み込まない。


叱責はない。

理由の追及もない。

追加訓練の指示も出ない。


処理方針は、

ただ一つ。


経過観察。


その判断が下された瞬間、

場の空気がわずかに緩む。


問題ではない。

異常でもない。


そう、

扱われた。


だが、

そのこと自体が、

最も異常だった。


最強が負けた。

しかも、理由が説明できない。


それでも、

誰も踏み込まない。


ディアナは、

危険ではないと判断されたのではない。


ただ、

今は見る必要がない

そう分類されたに過ぎない。


その静かな処理が、

後になって、

取り返しのつかない意味を持つことを、

この時点で知る者はいなかった。

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