シーン4:敗北の確定
制限時間を告げる合図が、
演習区画に響いた。
乾いた音。
それだけで、
戦場のすべてが停止する。
生徒たちは、
一瞬、動けなかった。
視線が、
掲示されるポイント表示に集まる。
――敗北。
数値は明確だった。
ポイント差により、
ディアナ側のチームが負けている。
誰も声を上げない。
ざわめきも、
落胆も、
すぐには起こらなかった。
戦場は、
不自然なほど静まり返る。
やがて、
遅れて歓声が上がった。
勝者側の生徒たちが、
互いに顔を見合わせ、
ようやく勝利を実感する。
その中心にいるはずの
アーデルハイトは、
素直に喜べなかった。
勝った。
それは事実だ。
だが、
なぜ勝てたのかが分からない。
自分たちの動きは堅実だった。
判断も間違っていない。
それでも――
いつものような達成感がない。
最強を倒した感触が、
どこにも残っていない。
視線が、
自然とディアナに向かう。
彼女は、
そこに立っていた。
銃を下ろし、
姿勢を崩さず、
いつもと変わらない顔で。
悔しさは見えない。
苛立ちもない。
言い訳もない。
勝敗に対する感情が、
まるごと欠落しているかのようだった。
その無反応が、
周囲に別の違和感を生む。
――負けたのに、何も感じていない。
その事実の方が、
結果以上に不可解だった。
敗北は、
数値で確定した。
だが、
納得できる者は、
誰一人としていなかった。




