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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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Ⅱ.伝説の奇ゲー

モニターの中では、今日も意味の分からない世界が展開されていた。


舞台は、貴族学園。

名門家の子弟だけが集められ、

魔法と銃の双方を用いた「戦術訓練」が正規科目として存在する。


建前はサバゲー。

弾は魔力で制御され、

致死性は抑えられている――はずだった。


だが、このゲームでは、

なぜか実弾事故が起きる。


しかも一度や二度ではない。

大会、演習、模擬戦。

重要イベントのたびに、誰かが死ぬ。


理由の説明はない。

修正パッチも来ない。

それを「世界観」として押し通すのが、

『サバゲー令嬢』というゲームだった。


バランスは最初から狂っている。


敵は硬い。

味方は紙装甲。

戦術を練っても、運でひっくり返る。

逆に、無策でも突破できる場面がある。


その歪みの頂点にいるのが――

悪役令嬢、ディアナ・ヴァルツァーク。


魔力量は学園随一。

装備適性は全武器S。

AIの行動パターンは、明らかに他キャラと別枠。


一人で戦線を押し上げ、

一人で敵部隊を壊滅させ、

一人でシナリオを破壊しかねない性能。


それなのに。


彼女は、必ず死ぬ。


イベント分岐は存在しない。

好感度も関係ない。

どんなに完璧な立ち回りをしても、

大会終盤、必ず「事故」が起きる。


画面の前で、洋子は鼻で息を吐いた。


「このキャラ、強すぎでしょ……

 なのに、なんで死ぬの」


独り言だった。

誰に聞かせるわけでもない。


答えは分かっている。


ゲームだから。

シナリオだから。

そう決まっているからだ。


ディアナは、

強すぎる悪役令嬢であり、

物語を成立させるために殺される存在だった。


その理不尽さを、

洋子はもう何周も見届けている。


そしてその夜もまた、

同じ結末へ向かう画面を、

無感情に眺め続けていた。

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