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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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17/99

シーン6:三者の並び

中庭の中央。

偶然にしては出来すぎた位置に、

三人が並んでいた。


ディアナは少し離れた場所に立っている。

誰とも肩を並べない。

自然と空白が生まれ、

その空白ごと彼女の存在が際立つ。


最強。

孤立。


それが、彼女の立ち位置だった。


ルッツは人の中心にいる。

声が届く距離。

視線が集まる位置。


理想。

象徴。


彼が立つ場所は、

常に“場の中央”になる。


そして、その半歩後ろ。

わずかに寄り添うように立つリリア。


正しさ。

光。


彼女は前に出ない。

だが、誰よりもよく見える。


三人が、同じ空間に存在している。


ディアナの視界の中で、

その構図が完成した瞬間、

確信が落ちてくる。


(揃った)


ゲームでは、

この並びが成立した時点で、

もう結果は決まっていた。


大会。

実弾事故。

死亡イベント。


偶然ではない。

分岐でもない。


仕様だ。


そして――

ディアナは理解している。


自分は、

被害者側ではない。


原因側だ。


最強であること。

勝ち続けること。

戦場を単純化すること。


それらすべてが、

「事故処理」の理由になる。


視線を集める者は、

制御対象になる。


正しい者は、

前に出る。


強い者は、

それを守ろうとする。


結果、

弾は飛ぶ。


(この三人が揃うと、死ぬ)


ディアナは、

淡々と結論づける。


それは恐怖ではない。

確認作業だ。


そして、思考は次の段階に移る。


――戦術的思考。


自分は最強だ。

それは変えられない。


最強は、目立つ。

目立つ者は、観測される。


観測された者は、

「問題」として処理される。


王子も、ヒロインも、

すでに目立っている。


彼らと関われば、

自分の存在感はさらに増幅する。


死亡確率は、

単純に加算される。


ならば、

やるべきことは一つしかない。


(勝利条件から降りる)


勝たなければ、

中心に立たない。


中心に立たなければ、

物語は進まない。


進まなければ、

イベントは発火しない。


ディアナは、

ゆっくりと息を吐く。


(戦場の主役にならない)


(誰も守らない)


(誰も導かない)


それは、

臆病な選択ではない。


この世界で、

生き残るための

最も合理的な判断だ。


中庭の喧騒の中、

ディアナは一歩、

静かに下がった。


誰にも気づかれない距離。


そこが、

彼女の新しい立ち位置だった。

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