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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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シーン5:ヒロイン・リリア登場

ルッツの隣に、

いつの間にか一人の少女が立っていた。


前に出るわけでもなく、

かといって引いているわけでもない。


控えめな位置。

だが、そこにいるだけで、

場の空気がわずかに変わる。


硬さが抜ける。

声のトーンが一段落ちる。

人の動きが、柔らかくなる。


少女――リリア。


淡い色の制服。

伏せがちな視線。

小さく結ばれた口元。


何かを主張することはない。

だが、誰かが困っていれば、

自然と隣に立っている。


ルッツが話している間、

彼女は口を挟まない。


それでも、

相談していた生徒が言葉に詰まると、

誰よりも早く気づき、

静かに補足する。


「……たぶん、

 不安だったんだと思います」


断定ではない。

責めもしない。


けれど、

その一言で場が収まる。


周囲の生徒たちは、

無意識のうちに彼女を支える。


誰かが椅子を引き、

誰かが話題を繋ぎ、

誰かが視線を和らげる。


――守られる側。


ディアナは、

それを見た瞬間に理解した。


(ああ、これがヒロインか)


原作知識が、

遅滞なく呼び起こされる。


正面突破。

仲間を信じる。

疑わない。


状況が悪くても、

人を信じる選択をやめない。


戦場で、

最も美しく、

最も危険な資質。


(この子は、疑わない)


リリアの表情には、

警戒も、猜疑もない。


善意を前提に世界を見ている。

だから、誰かが悪意を持ったとき、

気づくのが遅れる。


(疑わないから、死ぬ)


ディアナは、

淡々と結論づける。


ヒロインは、

間違った行動は取らない。


だが、

正しい行動だけを取り続ける。


この世界では、

それが死亡条件だ。


ルッツの隣で、

リリアは小さく微笑んでいる。


その笑顔を見ながら、

ディアナは視線を逸らした。


――近づかない。


そう決めるには、

十分すぎる理由だった。

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