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サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


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13/99

シーン2:過去の戦績の再確認

中庭の掲示板には、

いつもより人が集まっていた。


戦績更新の日だ。


羊皮紙風の表示板に、

魔力で刻まれた文字が浮かび上がっている。

個人戦、団体戦、総合評価。

順位の横には、簡潔な戦闘記録が添えられていた。


その最上段にある名前を、

ディアナはわざわざ確認するまでもない。


――ディアナ・ヴァルツァーク。


変わっていない。

落ちることも、並ばれることもなく、

ただ一人、突出したまま。


「また単独行動だってさ」


誰かの小声が、背後から聞こえる。


「団体戦なのに?」

「そう。開始直後に前に出て、

 敵部隊、全滅」


記録には、淡々とした文字が並ぶ。


【作戦開始三分二十秒/敵戦力壊滅】


「三分で終わらせるとか……」

「戦術も何もないよな」


別の場所では、

教官たちが低い声で話していた。


「配置を変えても意味がない」

「彼女が動いた時点で、戦場が終わる」

「今回は介入を見送った。

 指導にならない」


それは、評価であり、

同時に諦めの言葉だった。


生徒たちの噂も、

自然と同じ方向に収束する。


「化け物だよ」

「味方にいても怖い」

「ディアナがいると、

 戦場の意味がなくなる」


誰も声を荒げてはいない。

誰も悪意を向けてはいない。


ただ、事実を述べているだけだ。


ディアナは、掲示板の前を通り過ぎる。

足は止めない。

視線も、必要以上に向けない。


(全部、知ってる)


ゲームの中で、

何度も見たログ。

何度も再生した結果。


これらは、

強さの証明であると同時に、

死亡フラグの積み重ねだ。


強すぎる。

早すぎる。

他者の選択肢を奪いすぎる。


称賛は、

この世界では免罪符にならない。


むしろ逆だ。


突出した力は、

「排除しても物語が崩れない存在」

として、処理対象になる。


ディアナは理解していた。


この学園で、

この評価を受け続ける限り、

自分は必ず、

“事故”の中心に立つ。


最強であることは、

守られている証ではない。


排除する理由が、すでに揃っているということだった。

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