表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバゲー令嬢ディアナ ――勝たない悪役令嬢の生存戦争  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/99

第一章 「最強であることの危険」シーン1:学園の朝

ヴァルツァーク学園の朝は、静かな緊張から始まる。


正門前には、すでに多くの生徒が集まっていた。

制服の腰には魔導銃。

肩には訓練用のケース。

それらを携える姿が、日常として溶け込んでいる。


登校と同時に行われるのは、簡易的な魔力検査だ。

門の脇に設置された魔導具に手をかざし、

数値を確認しながら上級生たちが雑談を交わす。


「昨日の調整、少しズレてたな」

「大会前だから、無理はするなよ」


内容は穏やかだが、

話題は自然と戦績や実技に流れていく。

ここではそれが、普通の会話だった。


中庭に入ると、

正面の掲示板に人だかりができている。


戦績ランキング。

個人、班、総合評価。

最新の更新が表示され、

誰が上がった、誰が落ちたと小声が飛び交う。


その空気が――

一瞬で、切り替わった。


ディアナが門をくぐった瞬間だった。


会話が、途切れる。

完全な沈黙ではない。

だが、確実に音量が落ちる。


視線が集まる。

好奇でも、敵意でもない。

評価と警戒が混じった、重たい視線。


誰も、近づかない。


すれ違いざまに、

「おはようございます、ディアナ様」

そう声をかけられることはある。


だが、どれも形式的で、

それ以上の言葉は続かない。


返事をしても、

会話にはならない。


ディアナは、足を止めない。


(ああ、これだ)


胸の奥で、静かに思う。


これは見覚えのある位置だ。

かつて、モニター越しに眺めていた――

孤高の最強の立ち位置。


誰よりも評価され、

誰よりも距離を取られる場所。


居心地が悪い、という感情は湧かなかった。

それよりも、

別の感覚が、はっきりと浮かび上がる。


――危険だ。


ここでは、

この位置に立ち続けた者から、

消えていく。


ディアナは、

何気ない歩調のまま中庭を進みながら、

改めて理解していた。


最強であることは、

守られている証ではない。


狙われる理由そのものなのだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ