穴を埋める
俺はペットを飼おうと思った。
大した理由はない。ただの思いつきだ。
強いて言えば、退屈だから、といったところか。
とにかく、何を飼うか決めようか。
ペットショップで熱帯魚と、必要な物一式を買ってきた。
犬猫は世話が大変そうだし、金も熱帯魚の数倍は掛かる。なので、熱帯魚を数匹となったわけだ。
飼ってみると、意外と可愛い。愛着も湧いてくる。
ところがある日、熱帯魚は全滅した。
一生懸命世話をしていただけに、ショックだった。
心にぽっかり、穴が空いたようだ。
そんな俺を見て同情したのか、会社の同僚がハムスターをくれると言った。
ペットで空いた穴は、ペットでしか埋められないと言うのだ。
俺は有難くハムスターを貰い、また、一生懸命世話をした。
なのにある日、ハムスターも死んでしまった。
俺の心の穴は、前よりもっと大きくなってしまった。
次は何を飼おう。猫? それとも犬?
しかし……それらが死んでしまったら、どうするのだ。
犬猫より大きい穴なんて、そうそう埋められるものでは……。
──そうだ!
俺はあることを思いつき、実行に移した。
「よう。ハムスター、死んじゃったんだって? 弱い個体だったのかな。すまなかった」
昼休み、ハムスターをくれた同僚が話しかけてきた。
いやこちらこそ、と言って謝る。
俺があっさりしてるように見えたのか、思ったより元気そうだな、と言ってきた。
まあ、そう見えるか。
だがペットの穴はペットで埋められると、そう教えてくれたのは彼なのだ。
俺が元気そうに見えるとしたら、その教えに従い、探してるからだ。
新たなペットを。
しかももうすぐ、見つかりそうなのだ。
「ところでその、開いてるパソコン、何のページだ? 婚活……相談……?」




