烏
朝、職場に向かって歩いていると、キーンという音がして、呪詛をかけてきている相手の顔が脳裏に浮かんだ。
すると前方の斜め上あたりの空間が、歪んだ。
それは、ちょうどデジタル映像にブロック型のノイズが入って、停止しながらチカチカとゆらめきながらモザイクが入った状態の空間になっていた。日常の景色に一部だけそれが浮かんでいた。
あれ?っと思った時、後ろから殺気のような圧を感じ、背中がゾワゾワとして、羽ばたきの音がして、その風圧を感じて、頭だけ振り向いた。
...!
カラスが真後ろ、あと数メートルまで低空飛行で、ス〜ッと迫って来ていた。
うわぁ〜襲われる!
と一瞬恐怖を感じるも、大きく怒りが湧いてきて、建物に入る直前だった事もあり身体ごと振り返り、怒りの気合いで気を張り、カラスにそれを振り向きざまにぶつけた。
カラスはあと1メートルほどのところまで迫っていたが、怯み、建物の入り口にあったキャノピー(ひさし)に留まった。
そのまま入り口で睨み合ったが、しばらくするとカラスはもじもじと首を背け足踏みをはじめた。
こちらは、フン!と鼻息あらく建物に入るも、しばらく「カラスのくせに生意気な!」と怒り満杯だった。
少し冷静になって考えると、カラスが云々、というよりもっと悪い事を仕掛けられていた。
脳裏に相手の顔が浮かんだ時に、呪詛の投網がターゲット(当方)に投げかけられ、こちらは引っ掛かった。
そして、それに反応するように、近くにいたカラスが操られたのだと思った。
なぜ遠いところから呪う事ができるのか。
たぶん想念が(目に見えないながらも物理学的に)物質化して空間を移動、ターゲットのもとに来るから。
映像がなぜ、テレビに映るのか、ラジオが何故、遠くに届くのか、みたいな感覚。
そして今回はその上に動物の使役、つまり意識の乗っ取りで攻撃をしかけた、という事。
そういえば、大津の三井寺には、嫌がらせをしてきた相手に、動物(鼠)を操って仕返しした僧侶の逸話がある。
これって実話だなぁとつくづく思う。
術者はそんな事、可能だ。現代だけど、同じ事、されたしね。昔話で片付けちゃいけない。
それから、悪い想念(気・呪詛)が来る時、キーンという耳鳴りのような音を伴っていると思う。
この時は、まず最初にキーンという音をきっかけに、相手の顔を視、その相手の想念が超えてきた異次元空間の入口を視て、動物までが操られ攻撃して来た、という滅多に無い状況だった。
でも毎回、視たり、気づくわけじゃないからね。
以来、キーンという耳鳴りのような音には、常日頃、気をつけて、気張りをしている。
皆さんもお気をつけあれ。キーンの音は呪詛かもしれないよ。