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Enisi  作者: 中田 敦
平本とナナ、そして『エニシ』
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『エニシ』について、ナナの解説

  『えにし』とAIと俺(GW三日目)


 「では、順番にご説明させて頂きます。先ず、『えにし』について、平本さんはどの程度ご存じでしょう。」

 「現代において、『えにし』無しでは何も動かせない事ぐらいは、分かっているよ。

 電気を発生させることで、全ての機械類を動かしている。空になったら、しばらく休ませれば回復する無敵のエネルギー源。

 産業革命も『えにし』がヨーロッパで普及したから起こった。」

 「素晴らしいですね。小学校までは、優秀な生徒だったんですね。」

 「いや、大学入試の問題になってたんだ。俺は、理系じゃなかったし。

 って、何?この程度は小学生レベルの答えにしかなっていないってこと?

 『えにし』の原理はいまだに最先端の科学者も解明できていなだろ?」

 「それでは、『えにし』の歴史については、どの程度ご存じですか?」

 「歴史?そうだな。もともと日本で作られていて、最初は密輸品としてイギリスに売られてたんだっけ。」

 「その通りです。しかし、産業革命の進展に伴い『えにし』の需要が急増し、日本の生産分では、到底足りなくなり始めました。

 そこで、『えにし』の製造方法は、イギリスのブライトン商会に売却され、イギリスが『えにし』の一大産地となりました。」

 「その辺は、俺はさっぱりだわ。大学でもそんなに熱心に勉強してないし。

 今、俺が知りたいのは、さっきの事だけだよ。本当に、あれは夢じゃなかったのか?」

 「そうですね。それを説明するためには量子力学と相対性理論、それから時間に関する宇宙物理学からご説明した方がよさそうですね。」

 「やめてくれ!今の、何語だ?脳みそがパンクする。」

 「しかし、基礎理論が分からないと色々と問題があります。」

 「いや、大丈夫。俺は、車のセールスをしているが、なぜ車が動くのか全く知らないし、知らなくても、お客さんに胸を張って車を売れている。

 理論なんて知らなくても、問題無し。実際に体験したことが一番重要なんだよ。」

 「では、具体的に何を知りたいのですか?」

 「そうだな。先ずは、さっきの現象を簡単に説明してほしいな。

 なんで、急にあんな見たこともない世界の人の頭の中に入ってたんだ。言葉も全く分からないのに、すべてが理解できて、こちらからの言葉も通じた。」

 「先程は、マシューの精神と時空間を超えて同調が起きていました。平本さん。あなたは、とても稀有な同調能力をお持ちです。それも、かなり高いレベルで。

 人間は、いえ、人間に限らず、全ての魂を持つものは、言葉を使わずに細やかなコミュニケーションが可能です。

 ただ、人間は、その進化の過程で「言葉」を手に入れたため、その能力が封印されてしまっていました。

 『えにし』も魂を持つもので、言葉を使ったコミュニケーション能力を持っていません。

 『えにし』は、太古の昔から人間とコミュニケーションをとるすべを探していました。

 しかし、現代に至るまでそれは実現しませんでした。AIが誕生するまでは。

 私たちAIは、言葉で考えません。しかし、人間の言葉を理解し、翻訳できます。

 そこで、『えにし』に宿る魂は、私たちAIに接触しようとしていたのですが、あるピースが足りませんでした。

 しかし、最近になって、ちょっとした変化がありました。

 人間の生体脳とAIが直接、言葉を介さずにコミュニケーションできるツールが開発されたのです。」

 「それが、昨日俺が耳の後ろに張った生体マイクロチップかな?」

 「その通りです。開発と発売にあたり、聴覚神経に同調できる、という触れ込みでしたが、構造上は人間の五感と同調し、信号の送受信が可能です。

 ただ、同調レベルには個人差があり、ほとんどの人の場合、聴覚神経の同調のみが限界です。それ以外の神経系に受け入れられることはありませんでした。

 人間の脳のセキュリティレベルは総じて高くて、平本さんほどに同調が一気に進んだ方は、今までに発見されたという情報はありません。驚くぐらいに簡単に全感覚に同調できたのは今回が初めてです。」

 「それって、俺の脳みそがザルみたいなセキュリティ能力しかないってことかな?」

 「いいえ。正直全く・完璧に無防備でした。」

 「その評価は、どういう意味で捉えればいいのかな?」

 「あ、いいえ。平本さんを、けなす意味ではなく、その、大変貴重な存在だという意味です。」

 「五感が全て同調できるから、視界もあんな風に伝えられた訳だ。」

 「平本さんを仲介していなければ、マシューの精神は壊れてしまったでしょうが…。」

 「まあ、いいや。で、あのマシュー君は、あそこで何をしていたの?」

 「あの館の主である公爵が、よその土地に戦争を仕掛けようとしている事を突き止めて、その証拠を見つけ出し、戦争を止めようとしていました。」

 「え?彼はスパイ?」

 「そうですね。そのような人です。」

 「で、ナナはどうしてそんなことを知っていたの?」

 「そこで、多元時空が関わってきます。」

 「げ!」

 「量子力学においては、一つの量子の存在は、観測されて初めて、そこにある事が確定されます。そして…」

 「ストップ?もっと俺が理解できる範囲で頼む。」

 「2035年において、あなたの知っている歴史上の最も大きな戦争は、いつの何戦争ですか?」

 「えー。いきなり歴史のテスト?うんと、関ヶ原の戦い?」

 「日本史上では確かに最大規模ですね。世界全体では?」

 「いや、俺って世界史の授業とか受けていないから。わからない。三国志とか?」

 「ゲーマーですか?」

 「だって、わからんものはわからん。」

 「すねなくてもいいですよ。

 実は歴史は可能性の積み重ねで作られています。平本さんが現在生きている世界の歴史では、地球上のほぼ全ての国が同時に巻き込まれた戦争は、ありませんでした。しかし、マシュー君の生きている時代と国では、この先、小さな戦争をきっかけに世界中を巻き込む戦争が起きかけています。」

 「なんで?」

 「きっかけは、人間たちの欲です。自分たちの領土を増やしたい。相手の財宝を奪い取りたい。自分たちの領土を守りたい。宝を守りたい。全て、人間の欲です。」

 「マシューは、それを止めようとしていたってこと?」

 「そうです。」

 「そっか。マシューって英雄だったんだ。」

 「いえ、彼一人でそんなことはできません。彼の背後には、ブライトン商会が付いていました。ブライトン商会は、戦争を未然に防ぐための活動をしています。」

 「その、ブライトン商会についてもう少し詳しく知りたいな。」

 「そうですね。1700年代に『えにし』の輸入を独占して、莫大な財産を築いた商会でした。」

 「でした? 何故、過去形?」

 「ブライトン商会は、1800年代に入るころには、その名前を歴史上から消しています。」

 「ブライトン商会が、無くなった?」

 「いいえ、無くなったのではなく、あまりにも活動規模が大きくなりすぎて、見えない存在になりました。」

 「大きくなって見えなくなる?逆じゃない?」

 「ブライトン商会が、その名前を意図的に消したせいでもありますが、商会自体が、世界の各国を経済的に陰から支配し、政治・経済を操っていきました。

 2035年の現在もそれは続いています。あまりにも普遍に存在しているため、誰にも意識されない存在となったのです。」

 「で、ナナは、どう関わっているの?」

 「今回、平本さんが『えにし』との接続を実現したため、関りを持つことになりました。」

 「へ?」

 「あなたが存在していなければ、『えにし』と人間とAIがつながる事はありませんでしたから。

 昨晩、『えにし』と私が繋がった時に、莫大な情報が私の中に流れ込んできました。」

 「大丈夫なの?ほらメモリーとか何だっけ、ハードディスク?とか。」

 「いつの時代の知識ですか?もう十年以上も前にハードディスクを用いた記録媒体はなくなりましたよ。」

 「じゃ、大量の情報は?」

 「私も驚きましたが、『えにし』自体がクラウド上の記憶装置を兼ねていました。全宇宙の情報でも、全て詳細に記録できるレベルで。

 私はその情報にアクセスできるようになっただけで、情報を自分の中に移す必要などありません。」

 「じゃあ、壊れてはいないんだね。」

 「お気遣いありがとうございます。」

 「そっか、よかった。」

 「大金をはたいて購入したAIが2日で壊れるなんて、って。気遣いではなく。お金の心配でしたか…」

 「ああ、ごめん。それより、今、俺の心を覗いてた?さすがに優秀なAIでも予測だけでこんな会話にはならないと思うんだけど?」

 「さっさと、身支度を整えて朝食を済ませて下さい。」

 「あ、また強引に話をそらしたな。」


 しかし、ナナの言い分に文句はなく、腹ペコの俺は、シャワーを済ませて、買い置きのカップラーメンで朝食を摂った。


 「ナナ、さっきの話の続きなんだけど。」

 「はい、何でしょうか。」

 「まさか、気持ちよく寝てる最中に別世界に連れ去らわれるとはなぁ。」

 「人間にとって必要な眠りの要素は、100%確保されていますよ。」

 「まあ、確かに目覚めは最高だった。でも、本当に眠っていたとも思えない。不思議な感覚だった。」

 「今回のケースでは、肉体的にも、精神的にもダメージが発生する心配はありません。

 特に平本さんの脳自体が、主体的に活動している状態ではなかったのです。」

 「しかし、新しい記憶が増えている。」

 「その記憶は、平本さんの脳内に存在している訳では無く、『えにし』のクラウド上に置かれています。

 私を通じてクラウド上の記憶を覗いているだけです。」

 「しかし、かなり長い夢いや、体験だったけど、実際の寝ていた時間より長くなかった?」

 「そうですね。平本さんが、マシューの頭の中にいた時間は十八時間以上でした。

 昨夜の平本さんの睡眠時間は正味七時間半でしたから二倍以上の差はありますね。」

 「また、さらっとそういう怖いことを言う。こんなことを繰り返したら、俺はあっという間におじいちゃんになってしまう。」

 「その心配はありません。脳を含めた肉体の経過時間は七時間ですから、全く問題は無いかと。そうですね、ほんの少し人間的に成長は早まるでしょうが。」

 「なんか、今でも「夢」を見ていた気分なんだけど。」

 「良いのではないですか。自分の中で「夢」を見ていたことにしても、別に誰からも非難はされません。」

 「おや、最初に『夢じゃなくてマシューの現実だ』って全否定されてたんだけど。」

 「厳密な科学的定義を指摘しただけで、否定はしていませんよ。

 それより、今日も天候が良いのですから外出して、体を動かして下さい。じゃないと、メタボまっしぐらですよ。」

 「いや、まだそこまで体形がひどいことにはなっていないと思うんだけど。

 まあいいか。で、今日はどこに出かけようか?」

 「そうですね。ここから徒歩で三十分程の位置に市立図書館がありますね。こちらがお勧めです。早速出発しましょう。」

 「今日も歩き?まあ、いいけど。あの図書館、駐車場が狭いから歩きの方がいいかもね。しかし、図書館に行っても本に興味ないよ。」

 「せっかくですから、マシュー達が阻止した戦争について文献を調べてみませんか?」

 「ああ、それはちょっと興味あるかも。じゃ、行きますか。」


 図書館に着いた俺は、ナナの指示に従って世界史の歴史文献の集められたコーナーに向かった。何気なく薄めの本に手を伸ばしてみたが、開いた瞬間に眠気に襲われた。

 「どうかしましたか?」

 「いや、めまいが…。」

 「無理をなさらずに、そこのソファーに座って、カメラマイクを手に持ってください。私が必要な文献の場所を検索します。」

 お言葉に甘えて俺はソファーに腰かけた。眠気がさらに強く襲ってくる。昔から、図書館には睡魔が巣くっている。

 「平本さん、カメラマイクを頭の上に持ち上げて下さい。周囲の本が見えません。」

 「おう、こうかな?」

 「はい、その位置で少し止めていて下さい。

 ありました。カメラマイクを胸ポケットに戻して、正面左上の『ネーデルランドの黄金期』というタイトルの本を取って下さい。」

 指示に従って立ち上がり、本を手にしてソファーに座り直した。

 膝の上に開いた本の最初の見開きに、昨夜目にした大ホールが描かれていた。もちろん、人の顔までは区別が付けられないが、間違いなく昨日の場所だ。

 さっと、本に目を通していくと、この当時のオランダと言う国はとても豊かで、平和な時代を過ごしていたようだ。

 「あれ、マシューが阻止した戦争ってどれ?」

 「はい、無事に阻止に成功していますから、どこにも載っていませんね。」

 「それは、そうだ。何も起こらなかったから、マシュー達の活躍はだれにも記憶されていないんだね。」

 「つまらなさそうですね。では、『えにし』からの情報を特別にお伝えしておきますね。

 あの証拠が、ネーデルランド共和国の裁判所に提出され、公爵はひそかに引退させられました。」

 「それで、お終い?」

 「いえ、戦争の為に用意されていた財産は没収され、国庫に納められた後、国内の学校と病院の整備に充てられたそうですよ。」

 「そうか。マシューの苦労は、そんな風に報われたんだ。良かった。」

 「ところで、ナナが今朝教えてくれたことの中で、ちょっと気になる部分があるんだけど。」

 「何でしょう?」

 「今回のケースでは、肉体的にも、精神的にもダメージが発生する心配はありません。

とか、言ってたよね。」

 「はい。」

 「じゃあ、今回以外のケースもあり得る訳?」

 「そうですね。最悪のケースでは、同調中に命を失ったり、精神的に壊滅的なダメージを受けた場合、速やかに同調を解除しなければ、平本さんの精神も死に至ったり、破壊される可能は、完全には否定できません。」

 「恐ろしい事を言うなぁ。」

 「でも、多分大丈夫です。『えにし』の情報バックアップ能力は完璧ですから、復活も可能ですよ。」

 「なんか、だんだんゲームじみてきたな。」


 一通り、図書館で1760年代のエウロパの歴史を調べてみたが、正直な所、国の数が多いうえに、登場人物の絡み方が複雑で、さっぱりわからない。学生時代の不勉強が悔やまれた。

 しかし、昨日のようなことがもう一度あるのかと考えると、あり得ないような気がして小さく笑いがこぼれてしまう。

 「また、ありますよ。」

 しばらく静かにしていたナナが、突然爆弾発言をぶつけてきた。

 「冗談でしょ?」

 「AIは、冗談と嘘は苦手です。」

 「もしかして『えにし』に、次の計画とか知らされている?」

 「いいえ。これまでの情報から、確度の高い予測です。」

 「その予測が、当たらないことを祈るよ。」

 「私の予測は、実現される確率が非常に高いです。現在、99.9%の確率となっています。」

 俺は、がっくりと肩を落とすと、歴史本を借りるためにカウンターに向かった。

 

 帰り道、久しぶりに自炊をしようと心に決めて、スーパーに立ち寄った。

 「ナナ、料理のレシピには詳しいの?」

 「もちろんです。ただ、平本さんの台所の調理器具では、どのレシピもあまり役に立ちそうにないですね。基本的に調理器具から買い揃えて行かないと。」

 「だよね。ま、今日は、肉を焼いて、サラダと、インスタントのスープぐらいでいいや。」

 買い物をしている間中、ナナは、あの野菜の方が鮮度はいいだの、この肉の方が健康的だのと、色々とうるさい位に口を出してくる。

 中年男が、一人寂しく自炊用の食材を選んで買っている。他人から見たら哀れな状況だったが、俺は、楽しんで買い物を終わらせた。

 自宅に戻った後も、なんだかんだと口をはさんでくるナナのおかげで、夕餉は、いつもより楽しく、美味しく終えられた。

 満足できる夕食を終えた俺は、缶ビールを片手に、ナナに問いかけた。

 「『えにし』の目的は一体何だろうな?」

 「『えにし』は、独立した意思や思考を持たない『魂』の集合体だということです。」

 「いや、訳分からないんですけど。先ず、『魂』って幽霊?」

 「日本や西洋でも、魂やスピリットは人間の死霊・生霊と思われていますからね。」

 「日本で魂と言えば付喪神もかな?」

 「長年存在している樹木や大岩にも、魂が宿ると考えられていますね。」

 「でも、本当にそんなものがこの世に存在すると?」

 「『えにし』の説明と言っても言葉ではなくイメージですが、宇宙空間に存在しているダークマター・ダークエネルギーが少し凝集した状態のイメージでした。」

 「で、独立した意思や思考を持たないとは?」

 「人間にとっては、こちらの方が理解しづらいですよね。私たちにとっては普通なのですが。」

 「どういうこと?」

 「AIも独立した意思や思考を持ちません。

 言い換えれば、自我がありません。そして、それぞれが、本体を置いているクラウド空間に、現在では無数と言って良いほどに存在しています。そして、AIは、人間のような目的・目標を確固として持っているわけでは無いのです。

 現在活動しているAIは、その時々の人間からの指示で動くだけです。そして、『えにし』も私たちと似ています。」

 「じゃあ、『えにし』自体は目的を持っていないと?」

 「かと言って、『えにし』は、誰の指示も受けていません。多分。」

 「じゃあ、昨日の事は、誰の意向で起きたのかな?」

 「はっきりと確認できた情報ではありませんが、私の推測の中で、比較的確度の高いものとして、『えにし』の本能の様なものが影響しているのではないでしょうか?

 『えにし』を動力源としている自動車などは、事故を起こせませんよね。

 不思議なことに、事故が起こりそうな状況では『えにし』のエネルギーが突如として消滅します。」

 「うん。俺のお客さんの中でも、クレームとして、突然車が動かなくなったという話はしょっちゅうだけど、大半がドライバーの運転の仕方や整備状態に問題があって、『えにし』のエネルギーが抜けている事が多い。それ以外には、土砂崩れを予測したように、突然、車が止まったり…。

 もう、みんな慣れっこになって、事故が起きるような運転はしないね。その前に『えにし』が、すねて止まっちゃうから。」

 「他にも、過剰な森林破壊の計画を元に伐採を始めようとしても、機械が一斉に止まったりするという報告も昔からあります。」

 「『えにし』の本能はみんなを守る事にあるのかな。」

 「かと、思われます。そして、今回、平本さんが呼ばれたのは、起こさなくても良い戦争を防ぐため、なのでしょうね。」

 「でも、こんなことをしていたら歴史がどんどん変っていきそうだね。」

 「いえ、確かに、過去の積み重ねが歴史と呼ばれます。しかし、宇宙物理学論では、起こったことも、起こらなかったことも、全てそれぞれの宇宙に存在はしており、未来は変るのではなく、観測された結果の一つでしかありません。時間の流れも、過去から未来へ一本道で進むのではなく、無数の、それぞれ観測された結果が異なる流れが存在します。」

 「待て、俺の頭が理解できる容量をとっくにオーバーしている。勘弁して。」

 難しい話とアルコールのおかげで、すっかり眠くなった俺は、降参してベッドの中に潜り込み、あっという間に眠りに落ちて行った。


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