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不愉快

 ヒナリをなかなか越えられないレイは自らの弱さに憤っていた。


「何故!ヒナリを越えられない?!このままでは僕は……」


 レイはそう呟きながら中庭でヒナリを待っていた。



「あのー遅くなってすみません!兵士達の訓練が長引いてしまって……」


「構わない。ヒナリ・ソレイユ!今日こそ君を超える!!」


「は、はい!」


「今日は3回勝負!2勝した方が勝ちだ!」


「はい!」


 2人はいつも通り木刀を構える。2人は一瞬にして間合いを取り合う。鍔迫り合う木刀と木刀。2人の力は拮抗していた。最初にかったのはヒナリだった。2戦目、王子が巻き返す。そして3戦目、


「僕は君を超える!!」


「望むところです!」


 木刀と木刀はお互いにせめぎあう。2人は受けて流して攻めて、そしてまた攻める。その結果は呆気なく決まった。レイの攻撃を受け流したヒナリはそのまま回転して切り伏せた。


「がはっ!」


 王子へと深く切り込みすぎる。

「大丈夫ですか!?」


 そう言ってヒナリは手を差し伸べた。


「ああ」


 ヒナリの手をとったレイは無愛想にそのままさっていこうとする。


「レイ様!今度また勝負しましょうね!!」


 その言葉にレイはアイコンタクトをした。


(何故、僕は勝てないんだ!勝たなきゃ、勝てなきゃ、僕はそのうち……)


「ヒナリ・ソレイユ。何故、君は、強いんだ……」


 ☆☆☆☆☆☆


 休日になった。ヒナリは実家へ帰ろうとしていると王子に出会う。


「どこかいくのか?」


「はい!実家に帰らないといけないので…」


「では、僕もつきあおう。」


「へ?」


 と、言うことで王子とお忍びで共に実家へと帰る。実家では歓迎された。


「王子様が来られるとは思いませんでした!どうぞごゆっくり!」


 祖父は大喜びだ。ヒナリは給料の1部を祖父へと渡す。そして持って帰ってきた食べ物を貧しい子供達へと配り出した。


「彼女はいつも休日はああして貧しい子供達に尽くしているのか?」


「はい。我が孫ながら誇らしいものです。」


「ほう。」


 彼女の強さはやはり優しさにあるのかとレイは納得していた。


 お城へと帰る時のことである。路地を歩いていると、ナイフを持った男に王子が襲われた。


 ヒナリはギリギリの所でナイフを蹴り飛ばす事に成功していた。ヒナリは男を捕まえた。


「おうっ……坊ちゃま!お怪我はありませんか?!」


「ああ、平気だ。」


「良かった。」


 しかし、そう話している間に男は更に隠し持っていたナイフをヒナリへと刺そうとする。


「くっ!」


 その動きを見ていたレイは相手の腕をはねた。



「なっ?!」


 ヒナリは青い顔をした。男は痛みに呻いていた。男は警察へと引渡された。


 なんでも王子の暗殺を企てていたらしい。ヒナリの機転でその暗殺は防がれたわけなのだが……。


「王子にお怪我がなくてなによりです!」


「ヒナリ、君には助けて貰ってびかりだ。」


「いや、そんなことは……」


 照れくさそうなヒナリに王子は言い放った。


「不愉快だよ」


「え?」


「誰も助けてくれなんて言ってない。」


「ご、ごめんなさい。」


「助ける必要なんてなかったんだ。」


「どうしてそんな……」


「僕は身代わりに過ぎないからね。」


 そう言って王城へと1人帰って行った。ヒナリはそれを追うことしか出来なかった。

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