第27話(2)
潮
〔桜の蕾が芽吹き始めた、暖かな光降り注ぐ希望の春。花々が咲き誇る準備を始めていくように、蕾という一つの段階を終えた若き才能たちがこれまでの軌跡を想い集う節目の瞬間が訪れました〕
蛍
〔は…!この流れはまさか〕
おその
〔お〕
〔強烈な既視感〕
潮
〔我らが柏手 周も、3年間学業に励み、自身に必要なスキルを得ながら臨む未来を着実に描き、今日という卒業の日を迎えます〕
あまねん
〔わ~!おそのの時のやつだ~!うれしい!〕
おその
〔文言ちょっとだけちゃんと変えてて偉いじゃん〕
潮
〔春からは3年間の学びを生かしながら、翻訳家として様々な仕事に携わった経験を自身の夢の先へと繋いでいくことでしょう〕
〔我々もその成長を友人として見届け、そしてこれからも変わらず、はなやぎのメンバーとして同じ時を過ごし続ける中で〕
〔今日という日はその区切りとして、ひとまず、卒業を迎える柏手 周へ、お祝いの場を設けたいと思っております〕
おその
〔あ?!待て!そのルビ振り私の時には無かったぞ!〕
〔贔屓!贔屓!〕
潮
〔そこの君、静かにしたまえ〕
〔えー ご家族の方から、是非にと許可を頂いております〕
〔卒業の余韻に浸ったその後、本日18時より、はなやぎ館の中庭にて「あまねん卒業おめでとう~串焼きパーティ編~」が始まります〕
〔どうかお祝いされる気満々でご参加くださいますよう〕
かのあるふぁ
〔やったーーーー!!!串カツパーティ編に続いて串焼きパーティ編きちゃーーーー!!!!〕
〔次は萌りんの卒園式かな!?一体何編かな?!わくわく!〕
潮
〔最後に、柏手周の今後益々のご多幸をお祈り申し上げ、お祝いの言葉と致します。本日はご卒業、おめでとうございました〕
あまねん
〔まだだけどね?!まだだけど、ありがとう~!〕
セリー
〔88888888888〕
かのあるふぁ
〔888888888888〕
おその
〔言うてほぼわいの時のコピペみたいなもんやけど感動したわ〕
〔88888888888〕
蛍
〔良い式だったなぁ〕
〔88888888888888888〕
潮
〔あの、お祝いの言葉として送ってるからコピペみたいなもん発言やめて?〕
〔気持ちだけは全身全霊で送ってるから普通にやめて?〕
かのあるふぁ
〔そうだよおその!!事実陳列罪だよ!!〕
潮
〔お前もやめとけ?〕
あまねん
〔えっ!?普通に嬉しくてぐすぐす泣いてたんだけど!〕
〔かっ…感動してたのに!ひどいよ皆!〕
かのあるふぁ
〔あっ…ごめん…〕
おその
〔あっ…何かごめん…〕
あまねん
〔ちょっと!何かごめんは本当にやめて?!〕
〔ひとまず…皆ありがと~!張り切って卒業式参加したら、すぐはなやぎに飛んでいくからね~!〕
〔皆に祝ってもらっちゃったらホントに、卒業式より泣いちゃう自信がある…どうしよう…〕
〔串焼きパーティ楽しみすぎる!セリー、先にメニュー聞いてもいい?〕
セリー
〔合点ですよ周ちゃん〕
〔今回のパーティも全面的に主役の好きなものを作る予定で〕
〔まずメインの串焼きは牛肉、豚肉、鶏肉、海老やまぐろなどの魚介類や貝類は勿論として〕
〔メッセに書いてあった通りの、牛肉とズッキーニの串焼き、お肉にお餅巻いた串など、色々用意しております〕
あまねん
〔わ~!やった~!〕
セリー
〔それでもって、スープも副菜も全部あまねんの好物で揃えてます〕
〔鶏と蕪の薬膳スープ、枝豆の冷製ポタージュ〕
〔ほうれん草の胡麻和え、蕪の酢の物、人参とアスパラの肉巻き、ローストビーフ、アラビアータ〕
〔あとは適当にサラダも作りますので、各自好きなものを食べてね〕
あまねん
〔ええ~…!今まで食べて美味しいって言ったやつ…きちんと覚えてくれてて好き…〕
〔卒業式の雰囲気も相まって、今もうめっちゃ泣いてる…〕
〔好物ばっかりで嬉しすぎるよ!ありがとセリー!〕
セリー
〔お祝いできて心から嬉しい〕
蛍
〔はぁ しかし幼馴染だったあまねんが大学卒業て〕
〔ワイも何か、勝手に感慨深いわ〕
セリー
〔ほんとに 感慨深くて私まで泣けてきちゃう〕
〔張り切って色々準備するからね〕
潮
〔いやはや あの時調理室で出会った学生服の女の子が…大学を卒業です、か〕
〔そんなにも時を重ねて一緒にいるってことやなぁ〕
かのあるふぁ
〔おめでとう!!おめでとうあまねん!!〕
おその
〔おめでとうやでほんまに〕
あまねん
〔うっ…!皆やめてよ~!卒業式まだなのにもう涙でメイクぼろぼろだよ~!〕
〔おそのが前の串カツパーティの時に「早く卒業しなきゃ」って言ってたけど、今その気持ち分かりすぎてる…!〕
〔楽しみにしてます!みんなありがと~!〕
潮
〔こちらこそやで〕
〔というわけで、本日18時 はなやぎ館にてお待ちしております〕
〔卒業式楽しんで〕
あまねん
〔うん!またあとで!〕
「うおーーー圧巻の串焼きメニュー」
ーーーはなやぎ館の中庭にて。
串焼きパーティの準備がされたログテーブルは煌びやかな食材たちで彩られ、今か今かと開始の時間を待っているようだった。
牛肉とズッキーニ、鶏肉と白ねぎ、豚バラのレタス巻き、まぐろとアボカド、ほたてとアスパラ、海老とれんこん。
お餅巻いた牛串なども用意されており、隣にずらりと並べられた野菜籠や食材の入ったクーラーボックスには「組み合わせご自由に」と可愛らしい字で書かれた紙が添えられていた。
その周囲にも台がいくつか用意されており、上にはスープの大鍋、副菜やサラダがビュッフェ方式で置かれている。
「うほー。他のメニューも美味そうすぎてやばい」
「大体メッセした通りのメニュー並べてるかな。サラダは水菜のサラダとかかぼちゃサラダとか、周が好きそうなもの色々作ってみた」
「おいおい…マジで一人でレストランしてますやん」
「喜ぶ顔が見れると思ったら、楽しい準備だったよ。皆も手伝ってくれたし」
「はいはーーーい!!!めっちゃ手伝ったよーーー!!!」
「かのあには、野菜なしのメニューを自分で作ってもらいました」
「自分用の焼き鳥とか牛串とか豚バラ串めっちゃ作った!!」
「あれ?もしかして、自分の用意しただけで手伝ったってバカでかい声で報告してる奴いる?」
「がんばった!!!」
「そっか…」
「周は基本的に野菜の入ってるメニューが好きで、今回そういうのがメインだからさ。別でわざわざかのあのを作るの面倒かったから、自分でやってくれて本当助かった」
「ってセリーは言ってる!!助かったって言ってる!!」
「そっか…」
お皿やお箸などまでパタパタ用意するセリーについて、潮も手伝いをしながら動く。
飾り付けも充分に済まされた会場はお祝いムード万全で、あとは主役を待つのみ。
ーーーそうして日も落ち、準備していた色付きのライトが辺りを賑やかに照らし始めた頃。
18時ぴったりの時刻に、1台の車がはなやぎへとやってきた。
前以て待っていた蛍が駐車場へと誘導した後、主役が中庭へと歩いてくる。
「お、主役のお出ましですぞ」
嬉しそうな周を中心に、周の両親や姉、蛍が仲睦まじく囲って会場へと向かう。
微笑ましい光景の中、パーティを眺めて目をきらきらと輝かせた周が開口一番大きな声で言った。
「皆~!素敵な飾り付けと料理をありがとう!柏手周、本日…卒業しました~!」
「「「「「あまねん、おめでとー!!」」」」」
用意していたクラッカーを打ち鳴らし、代表しておそのから花束が贈られる。
「同じ学生組だったあまねんの卒業、喜ばしいですな。卒業おめでとう」
「お互い卒業したね…!はなやぎでこれからも一緒にいられるのが嬉しい!ありがと~!」
抱き合って喜び合う2人を、周の両親と姉が涙ぐんで見守る。
そんな3人に、潮は深々と頭を下げた。
「本日は周ちゃんのご卒業、誠におめでとうございます。今日という御目出度い日をご一緒にお祝いさせて頂けること、感謝します」
「こちらこそ。娘の為にこんな素敵なお祝いを用意してくださって、本当にありがとう」
「お祝いの席を用意してくれて、ありがとう!こちらも家族で参加させてもらえて幸せだよ!」
ハンカチで涙を拭いながら御礼を言われ、潮は首を振って再び低頭する。
それから全員で会場の真ん中に移動した後、周が両親と姉に手のひらを向けて続けた。
「お付き合い長いけど、家族と会うのは初めての人もいるかな?と思うので…じゃぁ、ママから!」
「こんばんは、いつも周がお世話になってます。母の姜です。この度は娘の為にたくさんのものを用意してくださって、ありがとうございます。少し抜けているところもある娘ですが、今後ともどうぞ宜しくお願いします」
「じゃぁ、次はパパ!」
「こんばんは!いつも周がお世話になってます、パパの隼太です!ここに通うのがずっとずっと楽しそうで、周にとって温かいと思える場所が在って本当に良かったと常々感じてました。いつもありがとう!
そして、今日という日を周の為に祝ってくれて心から感謝してます!」
「最後に、お姉ちゃん!」
「妹がいつもお世話になってます、姉の司です。母たちから続いて再三になりますが、周に安心できる場所を与えてくださったこと、心より感謝してます。そしてこの度はお祝いの席をしてくださり、本当にありがとうございます」
頭を下げた3人に倣い、全員で頭を下げる。
そして、代表して潮が口を開いた。
「お祝いの場をとお話させて頂いた際、是非当日にと快く受けてくださって有難うございます。大切な周ちゃんのお祝いの日を彩ることができて友人として幸せに思っています。
この先も周ちゃんに此処が好きだと思ってもらえるような場所で在りたいです。日頃の感謝も込めてお祝いの場を作っておりますので、是非心ゆくまで楽しんで行かれてください」
「潮ぉ~…!」
それを聞き、我慢できないと言ったように涙を流しながら潮へ両手を広げた周。
普段なら「はいはい」と受け流すところだが、潮はそっと両手を広げ返して熱く抱擁を交わした。
「卒業おめでとう」
子どものように泣きじゃくる周の背中を優しく撫でて、そのままメインテーブルへと移動する。
感動で水気を帯びた空気を一新するように、蛍が一つ手を叩いてみせた。
「さ!早速セリー渾身のお祝いメニューを見て貰おうよ」
「はーい!主役並びにご家族様御一行、テーブル席にご案内でーーーす!!」
かのあの掛け声で、和やかなBGMから一転、ノリの良いBGMに切り替わる。
花咲くような笑顔になった周を一度抱きしめた後、芹が改めて料理の紹介を始めた。
「本日はご卒業、誠におめでとうございます。腕によりをかけて調理させて頂きました。
まずは串焼きから、周ちゃんの希望である牛肉とズッキーニの串焼き、お肉にお餅を巻いた串を始め色々な具材を用意しておりますので、お好きなものを焼いてお召し上がりください」
「すっ…すごすぎるよセリー!!」
「副菜については、鶏と蕪の薬膳スープ、枝豆の冷製ポタージュ、ほうれん草の胡麻和え、蕪の酢の物、人参とアスパラの肉巻き、ローストビーフ、アラビアータ。サラダは水菜のサラダやかぼちゃのサラダなど諸々用意してます。
尚、お野菜は全て栄さんから提供して頂いたものを使用してます」
「やった~!栄さんの美味しいお野菜を使って、セリーが作ってくれた美味しい食事…それを大好きな家族と、大好きな友達と一緒に食べられて…私、ホント幸せ…」
また泣き始めてしまった周を、かのあと蛍がそっと抱きしめる。
それを見つめて微笑みながら、おそのが気恥ずかしそうに声を上げる。
「えーと、デザートは僭越ながら、私の方から和菓子を幾つか用意してます。端の方に簡易ショーケースを置いてますんで、良かったら召し上がってください」
「わ~!おそのの和菓子まであるなんて…!しかも桜餅だ~!嬉しい!」
「桜餅と、紅白最中、桜餡のどら焼き、あと今後試作的に始める予定のミニ鯛焼きも用意してますー」
「えええ~!!それはやばいよおその!鯛焼き!?」
「そうそう。桜の焼き印つけてね。生地は餅米使って作ってます。味はつぶあん、白あん、チョコと…しょっぱいものもあったらいいかと思って、じゃがそぼろ入れたり、てりたま入れたりもしてますんで。感想頂けたら幸いでっす」
ショーケースに並べられた和菓子の数々と、保温器に入れられたミニ鯛焼き。
感嘆しながらそれらを見つめて、周は改めて皆に御礼を口にした。
「此処で過ごした思い出と、これからも此処で過ごせる幸せ。大事に抱きしめて、次の目標に進んでいきます!今日の卒業という節目をお祝いしてくれて、ありがとう。皆、これからもよろしくね…!」
「こちらこそなんよ。これからもよろしく」
メインテーブルに集まって、寄り添う6人。
同じ時を過ごした洋館が、彼女たちを優しく見守っていた。
「ーーーさぁ、お祝いのパーティを始めよう。お酒は各自好きなものを注いで。まずは乾杯からだね」
ガーデンテーブルに並べられたお酒の数々から好きなものを選び、各々グラスを手に取って注いでいった。
それを持って円になると、潮から乾杯の音頭が取られる。
「では、改めて。あまねん、卒業おめでとう!乾杯!」
「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」
ご機嫌なBGMにリズムを乗せながら、色鮮やかなライトで照らされて。
乾杯で始まった宴に、周はこれ以上ないほどの満面の笑みを見せた。
「じゃぁ、串焼きさせてもらっちゃおっかな~!まずは牛肉とズッキーニの串から!」
「じゃんじゃん乗せちゃおうぜー」
「ほたてとアスパラの串美味しそう」
「豚バラのレタス巻きうんまそー」
各々好きなものを網に乗せている間に、副菜をお皿によそっていく。
お酒が進む中、焼き上がった串を頬張ると、全員が感嘆の声を上げて喜んだ。
「うっまーーー!!!」
「うまい!!」
「味変でたれが必要な人こっちに有りますんで、選んでくださいね」
「わ!最高すぎるそれは!」
陶器に入れられた数種のたれをそれぞれの具材に合わせてかけると、また違った味わいが口の中に広がった。
「セリー、串焼きも副菜も全部美味しい!!」
「それは良かった。周の喜ぶ顔が見れて嬉しい」
「芹ちゃんの料理がおいしいとは日頃から聞いていたけど、本当に美味しいね!いやぁ、感心しちゃうなぁ!」
「周はいつもこんなに美味しいものをご馳走になってたのね…。いつもありがとうございます、芹ちゃん」
「いえいえ、こちらこそ周ちゃんにはいつも美味しいものをご馳走になってます。ありがとうございます」
ーーそんな話をしながら盛り上がっていると、はなやぎ館の駐車場に一台の車が到着した。
「誰だろう?」と不思議がる周に微笑みを浮かべながら、案内の為に潮が駐車場へと向かう。
程なくして駐車場の奥からやってきたのは、栄だった。
「え~~!栄さん…!?」
シャツとスラックス姿で現れた栄は、その手に綺麗な花束を抱えていた。
潮の誘導のもと栄が会場に到着すると、パーティのBGMが雰囲気のある優しいBGMへと切り替わる。
「ーーー周ちゃん」
「はい…!」
全員が暖かい笑みを浮かべて見守る中、栄は耳を真っ赤にして口を開く。
「君が忙しい中でも毎日勉学に励んで、自分の夢を叶える為に取り組んでいたことを知っています。進路に苦心している姿も、傍で見て来ました。今日という節目の日は、たくさん頑張った自分自身を愛してあげられる日でありますように」
「……栄さん…」
「卒業おめでとう」
花束を受け取って涙する周に、愛おしい眼差しを向ける栄。
それから、一つ咳払いをした後。
栄はゆっくりと続けた。
「ーーー君を傍で見守ってきた日々は、僕にとってきらきら輝いて眩しいものでした。あの時小梅さんの直売所で出会ってなかったら送ることのできなかった尊い日々を、僕に与えてくれてありがとう」
これまでにない真剣な声音に、周も涙を拭いて真摯に向き合う。
言葉を待つ周の手の中で、夜風に揺れる花束から芳しい香りがふわりと舞った。
「自分でもすっかり年を取って、もう27になっちゃったなぁとも思うんですが…そんな僕にも関わらず、君は嫌な顔一つせず一緒にいてくれました。僕の農家カフェについても積極的に手伝ってくれて、案を出してくれて…君と一緒に考えられる全てのことが、僕にとって特別で素晴らしいものばかりでした」
「…、」
「この関係を崩したくないと思う気持ちと、宙ぶらりんになっているのではないかという気持ちがずっとせめぎあっていました」
周だけでなく、周囲も固唾を呑んで見守る中で。
栄は確実に言葉を紡いでいく。
「いつかこの先で、気持ちが離れることがあっても。別々に生きる道を進もうとも。長い人生の中であなたと過ごした今という時間は、僕にいつの日も感謝を忘れない心を思い出させてくれるでしょう」
「……」
「だからどうか、周ちゃんの心が僕に寄り添ってくれるなら。もし、そうで在りたいと望んでくれるなら。どうかこの先も、傍で笑っていてくれませんか」
跪いた栄から差し出されたのは、可愛らしい小さな箱。
それをパカっと開くと、中には宝石のようにキラキラ輝く美しいチョコレートが入っていた。
「周ちゃん。僕と、付き合ってください!」
周の誕生石の色で彩られたそのチョコレートを暫く見つめて。
涙ながらに微笑んだ周は、チョコレートを手に取ってそっと頷いてみせた。
「ーーーはい。栄さん、これからもよろしくお願いします」
そして一口。
結果を見届けていた面々から、思わずとめどない拍手が溢れた。
「ほぼプロポーズみたいだったけど感動した」
「おめでとーーーーーーーーーーー!!!!!おめでとーーー栄さぁぁーーーーーーん!!!」
「卒業式の日に……なんというサプライズ。誰かティッシュ」
改めて周の家族に頭を下げて改めて挨拶を終えた栄が、はなやぎの傍に走り寄る。
「皆さん、楽しい卒業パーティに俺の告白シーンを盛り込ませてくれてありがとう…!成功して良かった…!」
「いやはや、おめでたいことを2つも祝える素敵なパーティになりましたわ。おめでとうございまっす」
「チョコレートじゃなくて、もう指輪でも良かったのでは?」
「い、いや…断られた時のことを考えたらアクセサリーは重すぎるかと思って…」
「まぁほぼ確でオッケーもらえるような関係値ではあったと思うけど、それはそれとして選択肢としては懸命か…」
「あと、ダメだったら自分で食べてそのまま走り去ろうと思ってたんだよね…」
「うわーーーーー見たかったそれ!」
「やめて?!自分の人生の中で1、2を争う重要な局面だったから!!見たかったやめて?!」
そんな栄のツッコミに笑みが溢れる中、嬉しそうな周がボンボンショコラを頬張りながら近付いてきた。
「このボンボンショコラめちゃくちゃおいし~!」
「レシピ見ながら一生懸命作ったんだ。喜んでもらえて良かった」
「手作りマ?」
「手作りだったんだ…!すっごく上手にできてます!また作ってください!」
「いつでも作るよ。ああああーーーーーー良かったーーーー…!ほんとに成功して良かったーーーー…!」
「微笑ましいですなぁ」
「末永くお幸せにね」
「素敵なパーティで、素敵な言葉を貰えて、幸せ。ほんとに皆、ありがとう…!」
また泣き出してしまった周の背中を、栄が優しく撫でた。
「まぁまぁ栄さんも食べてくださいよ」と促されて、皆でぞろぞろパーティに戻っていく。
はなやぎ館の中庭で行われた愛の告白を、夜空の月が優しく照らしていた。
* * * * * epilogue
(いやーーーーー。パパとしては、何だかちょっとだけ複雑な日になっちゃったぞ栄くん!!愛娘を末永く!どうか末永くよろしく頼むよ!!)
(は、はい!!勿論です!!)
(君がね、良い人でね。真面目で勤勉でね、今日を迎える以前もしっかり挨拶に来てくれてね。素晴らしい人だっていうのは分かってるんだよ。でもね、僕はね、僕はね…!!)
(ちょっとパパ、酔っぱらってる?)
(うおーーーーーーー!!!今日という日は呑もう!!!呑もうよ栄くん!!!)
(はい!!今後ともよろしくお願いします!!)
(私が誰かと付き合うってなってもうちのお父さんなら「へー」ってくらいだったと思うけど。あまねんのパパはずっと娘らぶ!娘溺愛!だからなぁ)
(栄さんが良い人だって分かってても、あれだよなー複雑だよなー)
(そうそう。こうなるの分かってたから、私も彼氏いるけどパパには言ってなかったもん)
(え゛っ?!?!?!司ちゃん…!!え゛…っ!?パパ聞いてないよ!!)
(言ってなかったけど、彼氏います。ついでだから伝えとくね)
(そ、そんなぁ…!ママ、ママは知ってたの…?!)
(ごめんね隼ちゃん。司がどうしても黙っててって言うから…)
(パパさんホントに複雑な日になりまくっててどんまいなんよ)
(潮ちゃん!!僕に美味しいお酒をもっとくれないかい!!今日は浴びるほど呑みたい気分なんだ!!)
(勿論ですパパさん。お付き合いさせて頂きますとも)
(ママさんの隼ちゃん呼び、なんかめっちゃ良いなー)
(分かる)
(そういえば2人は周ちゃん呼びと栄さん呼びだけど。今日を境に呼び方変えたりするの?)
(えっ…まぁ、そうだな…えっと…さすがに呼び捨てはちょっとなぁと思うから…でも、今のままの呼び方が俺は気に入ってるというか、それっぽいなぁとは…)
(私もそう思う!栄さんが「周ちゃん」って優しく呼んでくれるの、気に入ってるんだよね~)
(おう、ゲロ甘ですなぁ)
(でも私はさすがにちょっと変えようかな?うーん。一瞬呼び方変えたこともあったんだけど、緊張してすぐやめちゃったんだよね。何にしよう…)
(サカちゃんは?)
(サカちゃんはちょっと…)
(栄史千珈だから…フミさんか、ふーちゃんか、ふーみんか…チカちゃんか…)
(なんか、隼ちゃん呼びに引っ張られすぎてない?)
(千はどう?)
(一文字取るのやめてね…)
(じゃぁ、とりあえず史さんにしようかな!どうでしょう?)
(え!うん!俺はなんでも…!なんでも嬉しいよ…!)
(じゃぁ今後は史さんってお呼びしますね!敬語も少しずつ無くしていけたらいいな~まだ慣れないから難しいけど)
(じゃ、我々は今度から「あまねんの彼氏」ってお呼びしますね)
(いやそれは待って?!栄さん呼びより距離遠くなるのおかしくないかな?!それは意義あるな俺!)
(セリーのお兄さんは春さんだし、虎徹さんはもろこし兄やんか虎徹さんだし…うーん。年上の男性で距離そんな遠くない感じの呼び方ってムズいなぁ)
(かれぴっぴはどう?)
(距離激近どころか勝手に通り過ぎてない?)
(あの、俺の名前と関連付けがない感じにするのやめてほしいな?せめてもうちょっとちなんでてくれたら…)
(ふみちーはどう?)
(史さんより近いよそれ)
(サカちゃんさんはどう?)
(長いなぁ)
(サカチーはどう?)
(お前ら脊髄反射で喋りすぎだろ。サカぴっぴはどう?)
(栄さん。多分この子たちもう遊び始めてるんで、呼び方はまたおいおいで良いかと…)
(そうだね…うん…ひとまず、今後ともよろしくね…)
第二十七話(二) 了
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いつかのあとがきをご覧になってくださった方は
お察しかもしれませんが、当方串焼きなどしたことがありません…
そもそも炭焼きなの?てかどうやって焼くものなの?
囲炉裏焼きみたいに縦にぶっ刺すの?
それとも何か、網に横に並べるの?()
分からないまま色々調べた結果色々有りすぎてよく分からず
とりあえずオーソドックスそうな網に並べてみましたが、
いやBBQの串焼きってやり方他にあるよ?
あとその食材は焼くの時間かかりすぎて向いてないよ?
てか組み合わせ微妙じゃない?等お思いの方いらっしゃいましたら
あの…スルーしてください…お願いします…
え?何で全然何も分からないのに串焼きにしたかって?
あ、おそのの時に串揚げパーティだったから…何となく…(小声)
思い付きだけで日々生きています、ありがとうございました
いつかやってみたいものです
2026.4.23 日三十 皐月




