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はなやぎ館の箱庭  作者: 日三十 皐月
第2章 「箱庭の夢語」

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第14話







蛍

ー動画を送信しましたー



[あ゛っっごめん!!!スキル使っちゃった!!!]


usiwaka

【53】

osonomaru

【53】


[あ゛!!スキルリンクがっ]

[あっやばい設定開いちゃっ]

[びえええええやばいこっち側から来てるオワタァァァ!!!]


usiwaka

【^^^^^^^^^^^^】

osonomaru

【???】




蛍

〔毎配信2人の煽りチャット見ながら酒飲んで仕事してるんだけど〕

〔酒が進みますわー お陰で作業が進まん 面白すぎて〕



潮

〔別にうちらもggとか打ちたいんだけどさぁ〕

〔打たせてもらえないのよ 何故か〕


おその

〔こいつまじでずっと何してんだ?と思ってアーカイブ見て〕

〔こいつまじでずっと何してんだ?って思った〕


かのあるふぁ

〔違う!!違うの!!!〕

〔今やってる別ゲーとキー操作違くて混乱すんの!!〕


潮

〔いいか、やろうって言い出したのはかのあ、お前自身だ〕

〔やりやすいキー設定に変えるか慣れるかどっちでもいいからあと2日で仕上げなさいよ〕

〔ゲームにならないんだが?〕


かのあるふぁ

〔しょ…承知ぃぃ!!〕



蛍

〔ところで〕

〔じいちゃんから大量の苺が贈られてきたんですが〕

〔なんと10パック〕



潮

〔わお〕

〔いつも本当にありがとうございます〕


おその

〔うちもお世話になってますまじで〕

〔ガチ段違いに甘くて美味いのよね〕


蛍

〔まぁ身内だけど、うちの果物はまじで美味い〕


かのあるふぁ

〔いつも!!!ガチで!!美味いっす!!!〕

〔あざーーーっす!!!〕


潮

〔贈ってもらってなかったら、わざわざ果物買いに行って食べるとか絶対しないタイプの人間だからさ〕

〔まじで引くほど有難いと思ってる〕


おその

〔分かる〕


かのあるふぁ

〔分かるーー!!〕


あまねん

〔本当にありがたいよ〜!旬の美味しい果物使ってお菓子作れるのもすっごい楽しいし!〕


セリー

〔萌もめちゃくちゃ喜んでて本当有難い〕

〔はなやぎでご飯作る時も、デザートに果物出せるの豪華になってとても良きです〕


かのあるふぁ

〔食べたい時に季節の果物が冷蔵庫にあって、あまねんのお菓子が食べられて、セリーのご飯まで食べられるこの環境〕

〔えっ?!神環境じゃない?!〕

〔はなやぎ最高かよ!!〕


おその

〔ほんまそれな〕


蛍

〔君らもさ 御礼で定期的にじいちゃんに色々贈ってくれてるけど〕

〔本当にありがとね じいちゃんめちゃくちゃ喜んでるよいつも〕


潮

〔こっちの台詞なんよなぁ〕

〔果物を定期的に食べられる環境にしてくれてありがとうじいちゃん〕


蛍

〔作ったもの贈ってるだけだから、本当はお返しなんて必要ないよって断りたいんだけど〕

〔若い子たちが自分の為にプレゼント選んで贈ってくれるのが、思わず小躍りするくらい嬉しいらしい〕

〔ごめんな、ありがとよ皆〕


おその

〔ウィンウィンやん〕

〔長生きしてくれよじいちゃん〕


セリー

〔ガチのマジで感謝の気持ちでお返しさせてもらってるから〕

〔喜んでもらえてるって聞いて普通に嬉しい〕


あまねん

〔蛍おじいちゃんの贈ってくれる果物がほんとに一番美味しい!作ったお菓子がもっと美味しくなるんだよね〜〕

〔そもそも、色々作ってるのすごいよね!純粋にそれがすごすぎる!〕


蛍

〔じいちゃんって、ガチの効率厨だからさ〕

〔お父さんに野菜の畑の方譲ってから、脳のタスク果樹園の方に全部割けるようになって〕

〔とりあえず土地色々持ってたから、色々作ることにしたらしい〕


かのあるふぁ

〔効率厨の蛍じいちゃんにサンドボックスゲーやらせたらとんでもない世界が出来上がりそう…!〕

〔そして好きそう…!〕


おその

〔ゲームがない時代を生きた人の、現実世界で遺憾無く発揮される効率厨の本気やばすんぎ〕


潮

〔蛍のじいちゃんってまじですごいよね〕


蛍

〔我が祖父ながら、それな〕

〔努力の人よ〕

〔結果的に自分のやりたくてやってることで、はなやぎの皆が喜んでくれてるってのがじいちゃんは嬉しいんだってさ〕


おその

〔じいちゃん…〕


潮

〔苺の御礼考えとこーっと〕


あまねん

〔そうだね!〕

〔今回たくさん贈ってもらった苺で何作ろうかな〜〕



蛍

〔そうそう それなんやが〕

〔バレンタインだし、贈ってもらった苺使って皆でお菓子でも作りませんか〕


あまねん

〔わ〜!いいね!そうしよう!〕

〔潮とおそのはゲームの件の御礼ってことで、かのあの弟くんに渡してもいいんじゃないかな?喜ばれそう!〕


かのあるふぁ

〔はぁ?!?!だめでしょ!!〕

〔そんなことしたら絶対めっちゃ喜ぶじゃん!!〕


あまねん

〔え、えぇ…?だめなの…?〕


おその

〔いやいや、そもそも喜ぶか喜ばないか以前の問題があるでしょ〕

〔我々ですよ?〕


潮

〔我々が作ったチョコを生身の人間に渡そうだなんて、君たち正気ですか?〕

〔こちとらチョコの湯煎すらしたことないんだぞ〕


おその

〔それなー〕

〔てか板チョコ溶かして固めただけのチョコあげるくらいなら板チョコ買って渡すわー〕


蛍

〔いや、何で溶かしたチョコ冷やしただけのチョコ作る前提?もうちょっと頑張ろ?〕


あまねん

〔トリュフとかだったら意外と簡単だよ?どうかな?〕


おその

〔100円代で袋に8個くらい入ったトリュフあるよね あれ美味いよね〕

〔わざわざ作る必要ある?〕


潮

〔まぁ500パー言えるのは〕

〔私たちの手作りチョコより、バレンタイン用に売ってあるちゃんとしたチョコの方が嬉しいよねって話〕

〔はなやぎで皆が作ったお菓子を食べるのは賛成〕


かのあるふぁ

〔はいはーーーい!!〕

〔かのあも試食係やりまーーす!!〕


おその

〔わいもー〕

〔洋菓子作りはまじで向いてないのよね〕


セリー

〔私はちょっと作ってみたいかな〕


蛍

〔えーと、大体予想通りではあったけど〕

〔作る人3人、試食係3人ってことでいいかな?〕


潮

〔そうなりますね〕

〔那由多コーチには別で何かチョコ送るわ〕


かのあるふぁ

〔あれにして!!義理チョコってでかでかと書いてあるやつにして!!〕

〔女の子にチョコもらったカウントに入れられないやつ!!〕


おその

〔ええやろ、こんなゴミみたいなカウントでよければ2個くらいカウントさせてやろうぜ…〕


かのあるふぁ

〔じゃぁかのあ姉ちゃんもチョコ渡したるわ!〕

〔ド本命チョコみたいなやつ検索しとこ!!〕


潮

〔草 期待〕



あまねん

〔え、えーと…それで、いつにする?楽しみ!〕

〔何作ろうかな〜〕


蛍

〔平日だけど、バレンタイン前日とかでいいんじゃない?〕

〔あまねんとかは、当日大学の友達とかに渡したりするだろうし〕


あまねん

〔お気遣いありがとう!実は結構色んな人にバレンタイン作ってほしいってお願いされてたんだよね…〕


潮

〔受注してますやん〕


おその

〔お店の人やん〕


セリー

〔ちなみに、学生の時からあまねんにバレンタインチョコ発注してる者ですが〕

〔その時から文句なしの評価★★★★★です 応援してます〕


潮

〔ヘビーユーザーいたわ〕


おその

〔今こうして発注しなくても色々作ってもらえる状況にまじ感謝なんだよねぇ〕


セリー

〔本当それ〕


あまねん

〔学生の時のバレンタイン懐かしいな〜!〕

〔セリーがお返しにって、いつもより豪華なお弁当作ってくれるの嬉しかったんだよね〕


セリー

〔お菓子貰う度にお弁当で返してたからね バレンタインはちょっと豪勢な感じにしてた〕

〔お弁当渡す度にめちゃくちゃ嬉しそうにするから、何か青春感じてたよ勝手に〕


あまねん

〔いやいや!だって!〕

〔今でこそこうして仲良くしてくれてるからあれだけど、当時セリーと話せるだなんてめっちゃくちゃ貴重なことだったからね?!〕

〔アイドルと話してるみたいで、お弁当まで作ってもらえて本当…青春をありがとうセリー…!〕


潮

〔いいね豪勢なお弁当〕

〔ちなみに、芹に学生時代からバレンタインチョコちょうだいって言い続けて、マーブルブルチョコを貰い続けている哀れなファンは私です〕


おその

〔おい、貰えてるだけいいだろ 貰えないファンもいるんだぞいい加減にしろ〕


潮

〔毎年10日くらいかけて、一粒一粒噛み締めるようにして味わってます〕


セリー

〔何の気なしにあげてたマーブルブルチョコがそんなに大事に食べられていたなんて…〕

〔いや、中学の時に部活でこそこそ食べてたからさ、好きなのかなって思って毎年渡してたんだけど〕


潮

〔いや、別に…〕

〔お菓子持ち込み禁止だったから…見つかりにくくて溶けにくくてさっと食べられるやつだったから…〕


セリー

〔そうだったんだ…草…〕

〔じゃぁ今年こそ手作りチョコあげるよ〕


潮

〔いつにする???!!明日でもいいよ??!!!〕


おその

〔分かりやすくテンション上がってて草〕

〔バレンタイン前日って言ってんだろうが〕


蛍

〔まぁ、チョコ作り楽しみになったところで〕

〔それじゃ当日よろしくお願いしまーす〕


あまねん

〔はーい!よろしくお願いします〜〕


かのあるふぁ

〔ふぁーーーい!!!バレンタイン!!バレンタイン!!〕









「はい、というわけで!早速作っていきましょ〜!」


「「はーい」」



ーーバレンタイン前日。

はなやぎ館の食堂では、可愛らしいエプロンをつけた蛍と芹、そして周が、バレンタイン作りの材料を囲んでいた。


チョコレート、卵、お砂糖、たくさんの苺、抹茶、コーヒー、キャラメル、生クリーム、周によって予め用意された生地など。

それらを正面に、周は黒板に字を書いていく。



「生地はもう寝かせておいたので、仕上げて焼くだけのものもありますが…」



そう言いながら、


★ガトーショコラ

★ダックワーズサンド

・コーヒー ・キャラメル ・ショコラ

★いちごのムース

★ガレットブルトンヌ

・コーヒー ・抹茶 ・ショコラ


と、可愛らしい字で記されていくのを、蛍と芹はふんふんと頷いて見つめた。



「多いね」


「多いわ」


「大丈夫!並べると多いようだけど、そんなに難しくないから!」


「いやそっちは経験積んでるかもしれんがこっちはルーキー2人だからね」


「周が難しくないことは私たちには難しいよ」


「わかってる、大丈夫!それを踏まえた上で考えてるから!お菓子作りの楽しさを知ってほしい、ただそれだけなの!その為のレシピだから!後悔させません!!」


「おぉ…熱いねぇ」


「そこまで言うなら信じてみようじゃないか」


「おそのと潮ならともかく、2人なら楽しませられます!」



のんびりとした音楽をBGMとしてかけ、早速お菓子作りに取り掛かる3人。


何枚かのホワイトボードにそれぞれの大まかな手順を書いて用意していた周に感嘆しつつ、指示に従う。



「まず、いちごのムースから作って行こうと思います!」


「「はーい」」


「で、ムースを冷やしてる間にガトーショコラを作って焼き上げて、ダックワーズを焼き上げて、最後にガレットブルトンヌを焼き上げる、って感じかな〜」


「なんかよく分からんけど、とりあえず了解」


「ガレットブルトンヌってクッキーだっけ?」


「そうそう!フランスの厚焼きクッキー。カナダのおばあちゃんがお菓子作りが得意で、色んな国のお菓子作ってもらったけど…これが一番おいしくて好きだったの。だから皆にも食べてもらいたくて」


「おばあちゃん直伝かぁ。楽しみだな」



話しながら、苺のムース作りを進めていく。



「わー、なんかキラキラうふふなことしてるわ今」


「ピンクのもの作ってるとそんな気持ちするよね」


「ふふ。生クリームは後で他のお菓子にも使うから、多めに作っておこうね」


「はーい」



ムース部分を作り終え、冷やしている間にジュレの部分を作る。


やがて6個の可愛らしい透明のカップが2層の異なるピンク色で彩られると、作業はひと段落。



「最後に飾り付けしたら終わりだよ!」


「なんか、いいね。お菓子作りって感じがして非常に良かったです」


「あれだよね。私たちに楽しんでもらえるようにってことだったけど、本当にそれぞれ違う感じのお菓子のレシピ用意してくれてるよね」


「うん!違うパターンで楽しんでもらえるようにって考えたんだ〜」


「まじ天使だわ」



いちごのムースを冷蔵庫に入れ、続いてガトーショコラ作りに取り掛かっていく。



「こうやってバレンタインのお菓子作ってるとさ、またセリーのお弁当食べたいな〜…って思っちゃうんだよね」


「じゃぁ、今年のホワイトデーは昔みたいにまたお弁当作ろっか?」


「え!!ほんとに!?嬉しい!!」


「何入れてほしい?」


「えっとね、絶対卵焼きは入れてほしい!セリーの卵焼きは美味しすぎるから絶対入れて!あの、半分に切ってハートの形にしてほしい…」


「お願いが可愛いのよ。分かった」


「あとね、実はセリーの作った酢の物が好き…かぶとかが入ったやつ」


「そうだったんだ。酢の物苦手だったら悪いなと思って、ちょっとしか入れてなかった」


「そうなの!たまにちょっとだけ入れてくれてたから、あれが特別感あってまた良きだったの」


「そっかそっか」


「あとはねあとはね!肉巻きの人参とアスパラ…!」


「あのーちょっと2人で盛り上がるのやめてくれませんー?美味しそうなんですけどー?いくら払えば作ってもらえるんですかー?」


「食べる?蛍も同じの作ろうか」


「や、やったー!実は学生の時からセリーのお弁当の話聞いてて、ずっと食べたかったのよね…。はなやぎで絡むようになって、でもわざわざお弁当作ってってお願いできないしなぁ…って思ってたからうれちい」


「そんな大層なものじゃないよ。お願いされたらいつでも作るのに」


「じゃぁ毎日お願いします!」


「訂正するわ。月1でいいなら作るのに」


「月1も作ってくれるんですか…?!お礼に何すれば…?!」


「んー。萌にお絵描き教えてくれる?」


「萌ちゃんとお絵描きできるって…むしろご褒美ですやんそれ」



そんな話をしながら、ガトーショコラが仕上がっていく。

生地をオーブンに入れ、後は焼き上げるだけ、となった時。

食堂に来訪者が2人。



「おっすー。めちゃくちゃ良い匂いするんですけど」


「進捗はどないですかー」


「来たよ試食係が」



現れたおそのと潮は、席につきながら黒板に書かれたメニューを嬉しそうに眺めた。



「えーと、じゃぁ全部お願いします」


「お客さんかな?」


「ふふ。まだ出来てないよ〜」


「ええぇっ!?そろそろだろうと見計らって降りてきたのに!?」


「今はね、いちごのムースを冷やしてる最中で、これからガトーショコラを焼くところ」


「まじかー。昨日練乳買っといたからそこの苺食べていい?」


「わいもわいも」


「皆で食べながら作ろ〜」



5人で練乳のかかった苺を食べながら、続いてダックワーズを作っていく。



「ダックワーズはね、コーヒーとキャラメルと、ショコラ生地の3種類で焼き上げて行こうと思ってます!それに、生クリームと薄くスライスした苺を挟んだら美味しいんじゃないかと思って」


「めっちゃ美味そう」


「良かった!じゃぁ、生地にそれぞれ混ぜていこっか。試食係の2人は苺をスライスしてくれる?」


「まぁ致し方あるまい。ねぇ、練乳かかった苺って何でこんな美味いの?苺だけでも美味いのにさぁ、このバフ何なの?最強じゃない?ずるくない?」


「それなーうんまー」



苺を薄くスライスして、3種類の生地が出来上がったタイミングで、ガトーショコラが焼き上がった。

わくわくしながら型から外すと、思わずといったように歓声が上がる。



「良い匂いすぎるだろ!!」


「自分たちで作ったと思ったら余計に美味しそう」


「人が一生懸命作ったと思ったら余計に美味しそう」


「試食させてください!!お願いします!!」


「小さく切るね、ちょっと待って〜」



一口サイズのガトーショコラを6枚の小さなお皿に乗せ、生クリームを添える。

「いただきまーす」と声を揃えそれぞれ口に運ぶと、各々が美味しさに舌鼓を打った。



「美味いですこれ」


「おかわりください」


「定期便購入します」


「生クリームと相性良すぎな?」


「うん!よく出来てて最高!美味し〜!」



それから、入れ替わりにダックワーズの生地を焼き上げていく。

焼いている間にいちごのムースを飾り付けていこう、と冷蔵庫から取り出していると、食堂に最後の来訪者が現れた。



「やっほーーー!!食べに来たよーーー!!!」


「お、来たか」


「今からいちごのムース飾り付けるよ〜」


「ガトーショコラもあるよ」


「わーい!!やったー!!」



席までスキップで移動したかのあは、並べられたいちごのムースを心底嬉しそうに見つめる。



「配信中ずーーーっとバレンタインのお菓子のこと考えてたの!!幸せ!美味しそう!ハート可愛い!!最高!」


「ほい、まずは試食用のガトーショコラ食べな」


「えっ!一口ガトーショコラこれはこれでかわいくない!?常備してほしい!」


「ほれ、あーん」


「あーん。うまっ!!何これうんま!!生クリームもこれうま!!」


「小梅さんのところの生クリーム使ってるからね〜。格別に美味しいよね」


「生クリームだけで美味いのにこんな美味すぎるガトーショコラとなんか一緒に食べちゃったら!!ダメになっちゃうよかのあ!!バフ強すぎだろ!!」


「おい、それさっきもう言ってんのよ。同じコメントするな仲良いと思われるだろ」


「はー!?バフのコメント被ることある!?仲良いみたいじゃん!!」


「仲良いね君たち」



仲の良い潮とかのあを横目に、いちごのムースが飾り付けられていく。

生クリームと苺、食用の花びらなど乗せられた可愛らしいそれを、各々がスマホの写真に収めていく。



「かわいすぎんかー。こんな可愛いお菓子もらえるバレンタインがあっていいんかー」


「ふふ。嬉しいな〜そんな風に言ってもらえて」


「えっちょっと待って、可愛すぎて試食勿体無くない?全部できてから3時のおやつに食べよう」


「そうしようか、じゃぁ先にガレットブルトンヌ焼いちゃおう」



飾り付けられたいちごのムースをもう一度冷蔵庫に戻し、次はガレットブルトンヌを作っていくことに。


周が予め寝かせておいた3種類の生地を丁寧に伸ばし、型抜きしていく作業を6人皆で行った。



「控えめに言ってめっちゃ楽しい」


「型抜きしかしてないのにお菓子作りしてる感ある」


「蛍と一緒にいちごのムースから作ってるけど、正直めっちゃ楽しかったよ」


「初心者だから1人で作ろうって気にはなかなかならないけど、あまねんがいるから気軽に作れて楽しかったわ。しかもこんなにたくさん作ったのに、全然大変だって思わなかったし」


「嬉しいな〜!また色々作ろうね」


「私、ティラミスとか作ってみたいんだけど難しい?」


「いいね!作ろう!一緒に楽しく作れるように考えてみる!」


「天使まじ天使」



生地の表面に卵液を塗って、冷蔵庫で乾燥させている間にダックワーズが焼き上がった。

生クリームの上にスライスした苺を乗せてダックワーズ生地で挟むと、見た目も美味しいダックワーズサンドが完成する。



「美味そすぎる…!」


「写真写真」



撮影大会を終えて、乾燥した生地にもう一度卵液を塗り、フォークで三本線を2つ引いていく。

それからガレットケースに入れ、オーブンにセットすれば後は焼き上がりを待つだけ。



「初めて食べるけど、美味しそー」


「割と厚めのクッキー好きだから嬉しい」


「コーヒー味のクッキーめっちゃ美味そう」


「美味そうって言葉しか出ないわ。早く食べたい」


「あ!何か静かだなぁと思ったら、苺食べてやがる」


「ちょっと待って!!練乳のかかった苺って最強じゃない?!苺だけでも美味しいのに練乳なんかかかっちゃったら、」


「やめろ!!その先を言うな!!仲良いと思われるだろ!!」


「仲良いなぁ」





ーーやがてガレットブルトンヌが焼き上がると、食堂のテーブルに今日作られたお菓子がずらりと並べられた。


生クリームと苺の乗ったガトーショコラ、ダックワーズサンド、いちごのムース、そしてガレットブルトンヌ。


芹の入れた紅茶を添えて、はなやぎ館に甘いティータイムの時間が訪れる。



「お菓子作り、すっごく楽しかった!素敵なバレンタインをありがと〜」


「こっちのセリフなんよなぁ」


「3人ともお疲れ様!!おいしくいただきまっす!」



ほのぼのとしたBGMをかけながら過ごす、ティータイム。

そこへ、良い匂いが再び香ってくる。



「ん?何か焼いてんの?」


「うん、2人に教えるのと同時に、明日渡す分も一緒に作ってたから。今はガトーショコラの生地焼いてるよ〜」


「手際の良さよ」


「これ、この量で明日渡す分あるのかな?って思ってたから納得だわ」


「ふふ。生地だけ焼いちゃったら、明日は朝に生クリーム作って、苺の用意するだけで良いからね」


「いやいや、簡単そうに言ってるけど朝っぱらから生クリームとか絶対作れんよ」


「そんな朝は二度寝する」


「あまねん、生クリーム余分につくってー!!食べるからー!」


「わいもー。コーヒーに乗せるわ」


「何それ良いなぁ」



あっという間に食べ終わり、美味しさの余韻に浸る面々。



「ちょっとあれだね。美味すぎたね」


「ふぁー、これが贅沢ってやつかー」


「ダックワーズサンドめっちゃくちゃ美味かった。またお願いします」


「ガレットブルトンヌも初めて食べたけど、これハマっちゃうわ。どの味も美味い」


「それな。日持ちするの?」


「するよ〜!たくさん焼いたから、おやつにのんびり食べてね」


「これが3時のおやつかぁ。ダメになっちゃうわほんと」


「しあわせー」


「ハッピーバレンタインー」



ほのぼのとしたティータイムが終わり、幸せな気分で解散する。

バレンタインが終わるまで、食堂は甘い幸せな匂いに包まれていた。







* * * * * epilogue







(お疲れ様です、潮さん、おそのさん。あの、バレンタイン届きました。高そうなチョコをありがとうざいます)


(いえいえ、こちらこそいつもコーチングあざます)


(いやいや…大学でチョコレート2個もらったって自慢しちゃいました。すみません)



(おーーーーい!!3個だろうが良い加減にしろぉ!!!)



(そういえば何か送られてきてたわ…まだ段ボール開けてすらなかったけど、チョコだったんだ)


(姉ちゃんからの配達物は一番に開けろ!?)


(どうでもいいけどキー操作ミスるなよ)


(どうでも良くないけどキー操作ミスってるのはマジでごめん!!!)



(那由多くんそのチョコちょっと開けてみてよ)


(ド本命チョコみたいなやつ送るって言ってたから、実は気になってたんよな)


(マジですか…了解です。ちょっとお待ちください)



(那由多くん大丈夫?)


(あー…大丈夫じゃないっすね…ちょっとすみません、言葉にならなくて…)


(そんな感じのやつ?)


(えっと、ドピンクのハート型の…ふりふりのリボンがついたチョコと、かのあと、えっと、あもなっていう僕の双子の片割れがいるんですけど、2人が何か、ハートのポーズで撮ってる写真が…)


(結構狼狽えてて草)


(あもなちゃんね。可愛いよね)


(は!?かのあの方が可愛いケド!?)


(かのあもなゆた、良い姉弟だわほんと)


(あの、全貌を写真撮って送ります)



(おー…これはなかなか)


(彼女とかできて家に遊びに来た時に困る感じにしといた!!)


(弟に嫌がらせするなよ姉…)


(迷惑だわぁ)


(まぁ、せっかくだから写真立て買って飾っとく)


(良い弟だなぁ)


(彼女作る予定とかも特にないんで…)



(てかさぁ!かのあがキー操作ミスる以外は結構良い感じじゃない!?)


(うん。正直かのあが足引っ張ってる以外は本当に、お二人とも上手で良い感じだと思う。ランクが上がって行くとまた課題も出てくるけど、ひとまずかなり安定してる)


(かのあがキー操作ミスってなければもっと上目指せるってことっすか?)


(そうなりますね)


(はい!!頑張らせていただきます!!)


(あと、間違えるの見てる感じだとこのキー設定の方がやりやすいんじゃない。送っとくから、こういう風にしてみて)


(ありがとうございますコーチ!!すぐやります!!)


(はい。精進してください)


(なんだとこの!!)



(えっと、じゃぁ…ホワイトデーはちょっと、頑張らせて頂きます。本当にありがとうございました)


(いえいえ、そんな大したあれじゃないから気張らないでね)


(逆に気遣わせてごめんよ)


(あの、プライド無しで正直に言うと、マジでめちゃくちゃ嬉しかったので…ちゃんとお返しさせてください)


(そしたらちょっと期待しとくかー)


(かのあにもね!!かのあにもね!!!)


(はいはい)


(やっと芹から手作りチョコも貰えて、コーチからはチョコレート喜んで貰えて…良いバレンタインでしたわ)


(よっしゃー!ホワイトデーも期待!!)


(その前にあっしの卒業式っすけどね)


(そうだった!!)


(お祝いしなきゃなー)


(串カツ食べたいんだけど?)


(良いね。庭で串カツパーティするか。那由多コーチもぜひ)


(良いんですか?)


(やったー!!串カツパーティたのしみぃ!!!)








第十四話 了








ーーーーーーー



作中のお菓子作りについて、

チョコレートカカオさんの動画を

参考にさせて頂きました


☆ガレットショコラの作り方

https://youtu.be/FxznHN4g2cc


美味しそう…





2023.3.10 日三十(ひさと) 皐月(さつき)






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