お祈りメールと就活
「……ふぁぁ~、朝か……」
眠い目を擦りのがらカーテンを開けると、登校中の学生や遅刻しそうなのか、全力ダッシュするサラリーマン、数人の主婦が井戸端会議をしている見慣れた光景と、空は雲1つない素晴らしい快晴だった。
「気持ちいい位晴れてるよ……ほんと良いことでもあればいんだけどなぁ」
顔を洗い簡単な朝食を済ませると、朝の日課になっているパソコンのメールチェックを始めた。
「何社か通ってれば良いけどなぁ」
いくつもの求人サイトに登録し、目に留まった求人には片っ端から応募するようにしてる竜は、応募数に対し極僅かな返信があることに、ほっとしながらも少しの期待とたくさんの諦めを感じながらメールを開いた。
月見里竜様
ご応募ありがとうございます。残念ながら不採用とさせていただきます。今後の活躍をお祈りしております。
月見里竜様
お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。
「祈ってばっかじゃねぇか!どんだけ祈る神がいんだよ、おめぇらの神様に会わせてくれよ。ばかやろぅ」
案の定開くメール開くメール全てが、不採用のメール、通称お祈りメールだった。
期待はしてなかったけど、実際届くと凹むんだよなぁ。
竜は気分転換をするために日々通う図書館に向かった。
食の歴史、雑学本、物の仕組み等々俺は図書館の本を読み尽くす勢いで暇を潰した。
金のない竜にとって唯一の娯楽が図書館通いだった。
本を読んでいるとどのくらいたったのか、バイトの時間を知らせるアラームが鳴り、バイトに向かった。
バイトから帰り、晩飯を食べたら寝る前にもう一回メールをチェックした。
月見里竜様
今回はご応募頂き誠にありがとうございます。是非ともあなた様と会ってお話を聞く機会を頂きたく、今回メールを致しました。
またお会いするにあたり、先にアンケートにお答え頂きたいと思います。
宜しくお願い致します。
ノワル玩具店 ヴェルト・エイレス
竜は久々に届いた通過メールに嬉しくなり、ガッツポーズを決めると早速アンケートに答えるのだった。