呼び出しの理由
俺とノワルさんが冒険者ギルドに着くと、小部屋に通された。
「少々お待ちください、担当のものを呼んできます」
「あの、俺たちってなにか悪いもの売りました?」
「私も心当たりがありません」
「そうですよね……」
身に覚えがないがドキドキしながら待っていると、扉が開いて、キレイな黒髪の女性が入ってきた。
「お待たせして申し訳ありません。私この冒険者ギルドで副マスターをしております、ラルネと申します」
「ノワルです」
「竜です」
「この商品についてお話をお聞きしたく、お呼びしました」
そういって取り出したのは、ウチで販売している知恵の輪と6面パズルだった。
「パズルに何か悪いところでもあったんでしょうか……」
「悪い所があればすぐに販売中止します……」
俺とノワルさんがビクビクしていると、ラルネさんがくすりと笑った。
「ふふっ、本日お呼びしたのは取り締まる為ではありませんからご安心下さい」
「「?」」
どうやら俺たちが呼ばれた訳は、冒険者ギルドでパズルを扱いたいらしい。
きっかけはロゼが買った6面パズルをガチャガチャしながら受付に並んでいると、多くの人にそれは何かと聞かれたようで、ウチの店で買ったことや、集中力を鍛えやすい事、手先の訓練にいい事など説明してくれて、そのおかげで冒険者のお客が増えたようだ。
冒険者の間で、特に手先をよく使うシーフに大人気になり、色んなパーティのシーフ達で競い合うようになっていった。
ただ見習いや不器用なシーフもいるようで、パズルに目を付けた冒険者ギルドは、ダンジョンに潜る場合は最低でも知恵の輪を解けないといけないようにしたいらしい。
「見習いやこの町に初めて訪れるパーティには、パズルを使った試験を行いたいと考えているので、使用許可と定期的な納品を頼みたいのですが」
いきなりの事に頭が固まってしまったが、よく考えると定期的な収入源になるので最高だ!
あとはノワルさんの許可を出せばと隣を見ると、状況に追い付けず固まって目が点になっているノワルさんがいた。
「ノワルさーん、大丈夫ですか」
手を顔の前で振っても固まったままなので手でパンっと鳴らすとビクッとして、意識が戻った。
「はっ、えっとパズルは悪いものではありません!」
「いやっ、もうその話は終わりましたよ」
「えっ……」
俺はラルネさんの話を簡単に説明するとノワルさんの目が輝きだした。
「ぜひよろしくお願いします!」
こうして俺たちはパズルを定期的に冒険者ギルドに売ることが決まった。
後日パズルを持っていくと試験を行うようで見学していく事にした。
試験内容はまず目隠しをした状態で知恵の輪を3個はずすこと。次に6面パズルの色の配置を覚え、目隠しをして全面揃える。
最低でも20分以内に終わらせることが合格らしく、それ以上時間がかかると、モンスターが寄ってきたりパーティに危険が及ぶかも知れないので不合格になる。
どのパーティも続々と合格していき、ロゼも合格したようだ。それでも不合格者はいるようで、また試験を受けるためにパズルを買っていく。
後にシーフによるパズルを使った試験は全冒険者ギルドで行われる事になり、また6面パズルのスピードを競う大会も行われるようになるのだった。




