常連さん
「もうそろそろかな」
チラリと時計を見ると、時刻はお昼を過ぎた辺り。 ここ何日かこの時刻になると必ず来る客がいるのだ。
「アプル飴3本とねり飴、フルーツ味で!」
来店して早々注文するのは冒険者の女の子ユーリだ。
彼女は数日前に町にやってきてアプル飴にはまったようで、色んな店の水飴を食べた結果、うちに辿り着き常連になってくれたのだ。
「はい、アプル飴とねり飴です。いつもありがとうな」
「ここのアプル飴が1番おいしい、それにねり飴はおもしろいから好き!」
アプル飴を腰につけたポーチにしまいねり飴を練りはじめるユーリ。
アプル飴をポーチに入れて大丈夫なのか聞いてみたら、マジックバックといって見た目以上に入るから大丈夫とのことだ。
異世界らしいカバンに羨ましくなりお金を貯めて買おうと考えた。
新商品のねり飴はせっかく水飴があるからやってみようということで、お試しで作ってみたら好評だった為、販売することにした。
作り方は温めた水飴と砂糖と水を混ぜ粗熱を取りながら、白っぽくなるまで混ぜるだけだ。
ウチではプレーンと柑橘系の果物の汁を混ぜて作ったフルーツ味がある。どちらも人気だがフルーツ味が女性や子供達に人気がある。
ねり飴を舐めながら店内を見るユーリは、パズルのコーナーで止まった。
「これ、どうやって遊ぶの?」
6面パズルをガチャガチャ回しながら聞いてくる。
「バラバラになった色を6面揃えるおもちゃだよ。その隣の知恵の輪は、外したり直したりするおもちゃだね。集中力を鍛えるのにピッタリなんだ」
6面パズルで遊ぶがなかなか揃わないので知恵の輪に挑戦するも、すぐにギブアップしてしまった。
「ムー、むずかしい」
「またくる」
そう言って店を出て行くと、1時間ほどで戻ってきた。
「ねり飴、普通の」
店に入ると同時にまた飴を注文するユーリ。
「食べ過ぎると病気になるぞ」
「大丈夫、食べた分動けば平気!」
「ここがユーリのお気に入りのお店?いつも食べてるやつはここで買ってるのね」
ユーリの後ろから小柄な女の子が出てきた。
「こんにちは、この子とパーティを組んでるロゼよ。アタシもユーリと同じねり飴一個ちょうだい」
ロゼたちは[白い翼]というパーティに所属していて、ロゼはシーフ、ユーリは魔導師のようだ。
なぜいきなりロゼを呼んだのか聞くと、鍵開けや罠解除が得意なシーフならさっきやったパズルが出来るだろうと思い、連れてきたらしい。
「これがさっき言ってたパズルってやつね。言ってる意味がよくわかんなかったけど、なかなかおもしろそうね」
ユーリに教わったねり飴を食べながら知恵の輪に挑戦し、次々と外していった。
難しめの知恵の輪でさえも5分足らずで外し終えた。
「ふーん、なかなか面白いわね。次はこれね」
6面パズルをガチャガチャ回しながら遊ぶが、1分2分と時間が経つうちに目が真剣になってきた。
「できたー!あと二つになってからが難しいのね。でもなんとか揃えられたわ」
地球人なのに揃えられなかったのに対し、わずか10分で全面揃えてしまった。
「なかなか面白かったし、パズル2、3個貰おうかしら」
ロゼは知恵の輪を3種類と6面パズルを買っていった。
数日後お客さんの中に冒険者が何故か増え、少しづつだがパズルも売れるようになってきたある日、1人のお客さんがやって来た。
店内を見て回り、パズルコーナーで立ち止まると一通りパズルに挑戦し、何も持たずにレジにやって来た。
「冒険者ギルドの者ですが、お話したいことがあるので同行をお願いします」
「えっ……」
俺たちは突然冒険者ギルドに連れて行かれるのだった。




