収穫祭
この町の収穫祭は野菜や果物を奉納するだけでなく、食堂やレストランも調理したメニューの一部を奉納する事で感謝と来年の豊作を願う祭りのようだ。
俺の屋台も今回の商品であるアプル飴を奉納し、その後皆で祈りを捧げると祭りは賑やかに始まった。
「「いらっしゃいませ!アプル飴いかがですか!」」
俺とノワルさんが呼び込みをしていると、小さな女の子がやって来た。
「ノワルおねえちゃん、これなあに?」
やって来たのはアプルを仕入れた八百屋の一人娘ルティーだ。
「いらっしゃいルティーちゃん、アプル飴って言ってすごくおいしいんだよ」
「きれー!キラキラしててたからものみたい!」
ルティーは目をキラキラさせてアプル飴を見つめる。
「これがうちのアプルかい?」
ルティーの後ろからふくよかな女の人がやってきた。
「こんばんはブレドさん!使わせてもらってます」
「ねぇ、おかあちゃん。食べていい?」
「そうだね、それじゃあ二つもらっていいかい」
「ありがとうございます!」
ノワルさんがお金を貰ってアプル飴を渡したので、俺はルティーにサイコロを二個渡した。
「これなあに?」
「買ってくれた人のお楽しみだよ」
日本の祭りではジャンケンや水中のコップにコインを入れるゲームなんかもあるが、こちらの世界の人にもわかりやすいようにサイコロゲームをやってみた。
買ってくれた人にサイコロを渡し、お椀に振ってもらいピンゾロが出たらアプル飴をもう一本プレゼント、足して偶数ならべっこう飴をプレゼント、奇数なら無しにしてみた。
ルティーが振ったサイコロは見事ピンゾロを出した。
ノワルさんがベルを鳴らし「おめでとうございます!」と言いながらもう一本渡した。
「ノワルおねえちゃん、ありがとう!これはおとうちゃんにあげよう!」
ルティーとブレドが早速アプル飴を食べるとカリッ、シャクと心地よい音を立てる。
「あまくておいしー!」
「アプルも瑞々しいね、うまいよ」
二人が美味しそうに食べてくれたお陰ですぐに行列が出来た。
「2本ちょうだい」
「こっちは3本ね」
「「ありがとうございます」」
アプル飴もそうだが、サイコロゲームも人気で最初は買ってくれた人全員にしようとしたのだが、ノワルさんやティグルに対応出来なくなるかもと言われ一グループで一回にしたのだが、あまりの長蛇の列にやらなくてよかったと思った。
祭りが始まり、なんと数時間でアプルがなくなってしまい、慌ててルティーの所に買いに行くのだが今度は水飴がなくなってしまい、俺たちの屋台は早々に完売することになった。
買えなかった人たちが残念そうにしていたので後日ノワル玩具店でも販売し、ルティーのところにも作り方を教えて八百屋でも販売する事が決まった。
これにはブレド夫婦はほんとに教わって良いのか戸惑っていたが、ルティーはまた食べられるととても喜んでいた。
片付けが終わると、ノワルさんが祭りを案内してくれることになった。
串焼きやフルーツを食べたり、的当てや見せ物小屋など色々な店を二人で回った。
食べ物の屋台がほとんどだが、遊戯系の屋台もあったので日本の祭りを思い出し、楽しむ事ができた。
祭りを堪能し屋台に戻ると、来年は皆で回ろうと約束して自分たちの家に帰るのだった。




