2階層のボス
「ブギャアァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!!」
琥珀が門を開けると同時に、コボルトキングが雄叫びを上げる。
3人組が戦ったのに傷1つないのは、戦闘ごとにボスは体力が完全回復するからだ。因みに、ボスを倒してしまえば、リスポーンするまでの時間が必要になってくる。
ざっと時間は1時間といった所だ。
コボルトキングは琥珀を凄い形相で睨みつける。
肉体は通常のゴボルトの2倍ぐらいあり、身長は2mくらいだ。
持っている槍も通常より1.5倍くらい長い。
身長差があり過ぎて、砂を投げて目潰しと言うのは今回は使いにくそうだったため、琥珀は別の方法を考えていた。
恐らく、岩陰に隠れた所で視力も嗅覚もいい、コボルトキングには気づかれてしまうだろう。
そう、考えている間もコボルトキングは槍を突き出してくる。
レベルが4に上昇したことで、一応は回避できるようになっていた。
「だが、それじゃあ、勝てないんだよな」
レベルを上げて出直すと言う手は一応ある。
部屋から逃げ出せばいいのだ。
10階層までは、ボス部屋に自由に出入りできるが、それ以降の階層は部屋に入室したら、勝つか死ぬまで抜け出せない仕組みになっている。
だが、そんなことをしていたら後々、逃げ癖がつくのではないかと考えていた。
「だいいち、俺はまだ本気じゃないからな」
そう言うと、自身のレベルをオープンした。
南條琥珀 24歳
レベル4
スキル【融合】
【片手剣+1】
ギフト
【成長速度倍加+1】
スキルポイント120[+]
現在習得可能なスキル 必要ポイント数
隠蔽10ポイント
鑑定10ポイント
錬金10ポイント
琥珀は敵の攻撃を避けながら手を動かしていく。
「ブギャブギャーーーギャアァーーー!!!!」
コボルトキングにとっては琥珀の今の行動は舐め腐っているように映っているのだろう。
「まあ、そう慌てるなって、直ぐに相手してやるからさ」
そう言った、数秒後、動かしていた手を止めた。
琥珀の口元はにやけている。
スキルポイントを使い今回、習得したのは
――――――隠蔽だ。
トップランカーの1人である、カゲシマという人物と同じスキルである。
事前にスキルを習得しなかったのはレベル的に一応は対処できる相手だっったため、もしかしたら勝てるかもしれないと思ったからだ。もし、予想を立てて役に立たないスキルだったらスキルポイントを無駄にする可能性がると琥珀は考えていた。
「【隠蔽を発動】」
小さな声で琥珀は呟いた。
実際は声に出す必要はないが声を出したのは気分を上げるためだろう。
スキルのおかげか琥珀は自分の力が倍増された感じをこの戦闘の中で味わっていた。
命を大事にすることがモットーの琥珀だが、結構戦闘好きになってきたものだ。
やはり、スキルを得たことで多少の変化が琥珀にはあったのだろう。
「ブギャ? ブギャ?」
コボルトキングはマヌケな声を出した。
コボルトキングの目には、今、琥珀が映っていないからだろう。
それにプラスして隠蔽の効果により鼻も利かなくなっているのだ。混乱するのも無理はない。
隠蔽の効果は敵の認識を阻害する非常に戦闘に重宝するものだ。
これを用いて、コボルトキングの足を切り刻む。
「ブギャーー!!!!」
何回も足を切りつけられたコボルトキングはパニック状態に陥っていた。
よく見れば、気づくのかも知れないが、そんな状況下では冷静さを失っていた。
琥珀はもう片方の足も切り刻みに行く。
すると、足に力が入らくなったのか、コボルトキングは地面に膝を着いた。
直ぐに立ち上がろうとするも、一足先に琥珀が、地面に着いた足を伝ってコボルトキングの眼前にまで刃を持っていく。
コボルトキングは生き延びようと全力で体を揺らし琥珀を落とそうとする。
だが、琥珀はコボルトキングが身につけている、服を手で鷲掴み、頭を滅多刺しにする。
「ブギャーーアァァァーーーーー!!!!!!!」
何十回も頭を切られ、コボルトキングは絶命した。
そのキングの死体はモザイクが入るほどに残酷かつ悲惨な見た目だった。
「はぁ〜、なかなか強かったなコイツ」
そんな光景にももう慣れたのか汗を拭いながら、魔石の回収と討伐部位である耳の回収をした。
その後、ギルドに持っていくと受付嬢が泣いて喜んでくれた。
やっと初心者枠から抜けれたのだと。
因みにだが、コボルトキングの魔石で得たスキルポイントは50ポイントだった。
お読み下さりありがとうございます。<(_ _*)>
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これからも精進していきたいと思います。