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融合で生まれ変わる②

「おいおい、ありゃあ、2年も初心者冒険者枠にいる雑魚じゃねえか?」


 琥珀がダンジョン一階層に行くやいなや、三人組のリーダーから心ない言葉が投げかけられてくる。


 琥珀にとってはもう、慣れたものだ。

 だが......


「お前らだって、まだ初心者枠だろーが」


 連中には聞こえないくらいの声量で愚痴をはく。

 慣れたとは言っても腹が立つのは当たり前だ。


 琥珀の頭には多少血が上った。

 そんな状況で三人組の近くで狩りをしたくなかったため、ダンジョン左端の方までわざわざいくのだった。


「グギャギャギャーー!!」


 足を進めていくとなんとも言えない鳴き声が聞こえてきた。


 発声した魔物の名はゴブリン。

 階級的に1番弱い魔物として有名な雑魚モンスターである。


 ゴブリンは手に持った棍棒を琥珀に対して振り下ろした。

 琥珀は最小限の動きでそれを回避しようとする。



 しかし!!



 回避しそこねた琥珀は防具ごしに傷を負ってしまった。


 致命傷にはいたらなかったものの、ダンジョン産の素材を使った防御服が裂け、肩から血が滲んでいる。


「クソが・・・・・・」


 琥珀は攻撃を喰らってしまったことに愚痴を吐く。

 血が滲み集中が切れかけた所で、後ろに隠れていたであろう2体目のゴブリンが棍棒を片手に襲いかかってきた。


 知能は低いハズなので、血の匂いに引き付けられたのだろう。


 2体目の登場で流石にキツいと判断した琥珀は岩陰に隠れることにする。

 そこから、最初に戦ったゴブリン付近の岩陰に飛び移るように移動した。


 ゴブリンが琥珀が消えたことに対して混乱しているのに乗じて、後ろから持っていたダガーナイフで脳を一刺しする。ゴブリンは断末魔の叫びを上げることもなく死んでいった。


「これで、残るは1匹」


 琥珀はそう呟き、先程と同様の方法でゴブリンを討伐する。

 討伐を終え、疲れを感じてきた琥珀は冷たい土の上に仰向けに寝そべった。

 そして、先程の罵声を浴びせられたことを思い返した。


「はぁ〜、こりゃ彼奴らに罵声も浴びせられるのも無理ないか・・・・・・ゴブリンでこれだもんな」


 先程も言ったがゴブリンは最弱な魔物だ。


 ゴブリンから魔石を回収すると琥珀はもう少し奥の方にいった。


「ここまできたのは初めてだが、まぁ問題はないだろう」


 そういって足を進めていた時、浴びたことのない猛烈な殺気が全身に降りかかった。


「────ッう……これは!?」


 琥珀は明らかに過去最大級の動揺を見せている。

 額からは湿った脂汗をたらし体は微細も動いていない。


 殺気に体が麻痺し動かせないのだ。


 そんな中、琥珀の目の前に現れたのはブラックウルフ。

 通常は3階層にいる魔物で普通は一階層になんか絶対にこない。


 稀にそんな魔物が居ると聞いたことがあった琥珀だったが、まさか自分が実際に会うことになるとは思っても見なかったのだろう。


 声もでず、身動きもとれない。

 その状況でブラックウルフは琥珀の腹をその強力な爪で裂いた。


 琥珀は倒れ、それと同時にバッグに詰めていた魔石が転がり琥珀の心臓部分くらいに挟まった。


 情けと言わんばかりにブラックウルフは追撃をしてこず去っていこうとした。


 リュックに完備しているポーションを取り出すことすら琥珀はできなかった。

 その時、琥珀は一瞬走馬灯を見たのだった。


 ──────死ぬってこういうことなのかな……本当に俺の人生ってなんも無かったな。普通の生活だった。唯一のスキルである融合が使えてたら……


 そう心の中で思っていた時、俺の体から眩い光が放ちだした。


【魔石の吸収を確認、ゴブリン×2 スキルポイントを10ポイント差し上げます。魔石の力により出血を停止、HPを少量回復】


 え?、なんで今まで使えなかった融合が!?

 ブラックウルフを目の前に琥珀は嬉し混乱をしていた。


 光と同時に聞いたことのない声が脳内に響く。

 声が言っていた通り出血は収まり、幾分か体力が回復していた。

 それでもまだブラックウルフは近くにいたため、必死に死んだフリをしながらどこかに去って行くのをまった。


 まったく情けない話だがなんとか琥珀は無事に生きのびることができたのだった。


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