因縁の魔物
今日も水美とダンジョンに行く予定だ。
待ち合わせ場所はどちらもが場所を把握している冒険者ギルドにした。
ダンジョン前にしてもよかったのだが、ダンジョン付近には人が大勢いる。
そのため、お互いがお互いを見つけれないという可能性も考えられたためだ。
あとは、クエストを受注していったほうがお金が儲かるからだ。
琥珀がギルドに行くと、水美はもう来ていた。
遠目から見ても暇してるんだろーなっていうくらいつまらなさそうな顔をしていた。
「おはよう、水美、待たせて悪かったな」
「あ、琥珀さん、おはようございます。全然待ってませんから気にしなくて大丈夫ですよ、あ、もうクエストは受注してますので」
初対面の時は凄い、天然で失礼なやつだと思った琥珀だったが、どうやら良いところもあるらしかった。
そんなことを思ったものだからつい笑顔になってしまう。
「どうしたんです? 琥珀さん、急に笑顔になって……」
「うん? そーか? なら、水美見たいな可愛い娘とダンジョンに行けるからだろうな」
「もー、お世辞はいいですから。行きますよ」
「わかってるよ」
水美はダンジョンまで琥珀の前を歩いていくのだった。
赤面している顔を見られたくなかったからである。
ダンジョン付近までつくと落ち着いてきたため、隣を歩くことにした。
それから一緒にダンジョンに入る。
今日はダンジョン3階層に潜る予定だ。
数十分後、3階層に辿り着く。
3階層の魔物は――――――ブラックウルフ。
琥珀の因縁の魔物である。
一度殺されかけたことのある記憶が今でも焼き付いていた。
だが、別段トラウマになっているわけではない。
因縁を断ち切れることにワクワクしているくらいだ。
「きました、琥珀さん」
すぐに察知した水美が早急に伝えてくれた。
やってきたのは3体。
ブラックウルフは絶対に3体で行動する習性がある。
「グルルルルルゥゥ!!!!」
威嚇の声を上げるブラックウルフに魔導士の基本魔法である火炎球を連発する。
一瞬にして敵を弱体化させたあと、俺が一瞬にして敵を切る。
琥珀はなかなかいい作戦なのではないかと満足していた。
あの時は半殺しにされるくらい弱かった琥珀だが、今ではこうして殺りあえるくらいにはなっているのだ。
まあ、水美のおこぼれを貰ってる感がハンパないが。
そうして、同じようなことを繰り返し素材を回収する。
そして、ギルドに持って帰り、お金を今回は現金で貰った。
その後、ギルドの真正面にあるお店に行き、マジックバック (125㎥)を購入した。