査定
「あ、お二人とも、もうお帰りになられたんですね、それで琥珀さんどうでした? 水美さんとの初戦闘は?」
「あぁ、とても良かったよ、それより、あんたは知ってたんだよな?」
「何のことでしょうか?」
受付嬢はしらを切った。
「勿論、水美が二大魔導士だってことだよ」
琥珀は受付嬢に追求する。
すると、思ってもいない言葉が返ってきた。
「あぁ、そのことでしたか、それなら水美さんから直接、事前報告しないでくれと言われていたものですから」
琥珀は1度、水美の方を振り返り確認をとる。
「そうなのか水美?」
「はい、やっぱりそう言う大事なことは自分から言わないといけないと思っていたので……でもまあ、結局は成り行きでバレた感じになっちゃったんですけど」
水美には、水美なりのちゃんとした理由があったようだ。
今度は受付嬢の方に向き直り、頭を下げる。
「そういうことだったのか、責めて済まないな」
「いえいえ、お気になさらないでください」
水美は大事なことは自分の口から言わないといけないと言っていた。
今日あったばかりだが、現段階では水美が信用できそうな子だと琥珀は思った。だが、完全には信用できていない。
話が一通り終わると
「それでは、帰ってきて早速ですが、査定の方に移りますか?」
「あぁ、頼む」
受付嬢はカウンターの方へと戻る。
琥珀たちもそれについていった。
席へ座ると査定が始まった。
「今回はコボルト×3にコボルトキング×1、それに魔石が4つですね、今回はクエストではないのでコボルトを規定数以上倒しても依頼料は発生しません。コボルトの耳が3つで15000円、キングの耳が10000円、魔石が合計で20000円なので合計で45000円になります。こちらは現金渡しでいいでしょうか?」
「どうする水美?」
「そうですね、安全面も考えて、個人の口座に振り込んで貰いましょう」
「だそうだ、お願いできるか?」
「かしこまりました、振り分けはいかがいたしましょうか?」
琥珀と水美は目を見合わせた。
「まったく考えてなかったな」
「ですね、まぁ、このパーティーは琥珀さんがリーダーなわけですし、私が4割、琥珀さん6割が妥当でしょうね」
「いやいやいや、何言ってるんだ水美、今回はお前の活躍あってこそのこの結果だろう。俺が4割、水美が6割だ」
「琥珀さんこそ頭大丈夫ですか? 私がそれでいいって言ってるんですから素直に受け取ったらいいんですよ」
んな無茶苦茶な。これが琥珀の心情にピッタリだろう。
それからしばらくこの無意味な言い合いは続いたのだった。
そんな言い合いで先に折れたのは琥珀だ。
「はあぁ、もう分かったよ、5割ずつだ、これで手を打とう、これ以上は譲歩できん」
水美は不服な顔をしていた。
だが、この意見を曲げるつもりは琥珀にはなかった。
「まあ、それなら……」
水美もこれ以上は無駄だと分かったのだろう。
「では、5割ずつという事で構いませんね」
タイミングを見計らってきたであろう、受付嬢に対して、琥珀と水美は頷いた。続けて、受付嬢はある提案をしてきた。
「そう言えば、お二人共、マジックバックをお買いになれば、今後の討伐では体を全てお持ち帰りでき、査定額もアップしますよ」
受付嬢から助言を貰った所で、水美は宿泊している、ホテルに。
琥珀は自宅へと帰宅した。
1日目の結果。
水美は多分、信頼できる。
それに頑固だ。
by 琥珀
水美を見極める日数まで残り2日。
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