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Blue birds over the mountain

作者: 田宮2

この小説は私のブログで書いたものです

https://blogs.yahoo.co.jp/tamiyajirojiro/66367304.html


あの人と知り合ったのは学生時代の合コンで。


彼は地方公務員に内定が決まってた大学生、私は看護学生だった。


もともと男友達は多かったし、その中から彼氏だって選べた。


高校時代から続く男友達、稔はFランク大学で就職できないだろうし、他の友達はフリーターだったり。


学生が付き合うんだったら、それでもいいんだろうけど。


社会人になったら結婚という現実問題が色おびてくる、生活だってある。


社会人になったら、男女の出会いだって限られてくる。医師と結婚して院長夫人なんて夢を見てる看護師はいない。


社会人になったら・・・


社会人になったら・・・





そんな漠然とした焦りを心に抱き始めた頃、美香が合コンの話を持ってきた。


皆、就活が終わった大学生だいうんで、焦燥感に安堵を与える気になったのか、普段は合コンなんか行かないのに、その夜は行ってしまった。





就活が決まった大学生たちはサッカーサークルで私より2個上だった。


ウェーイ系のノリがウザかった。躁病にしか見えなかった。


その中に一人だけ、大人しそうな男がいた。彼だった。








あの人は真面目な人だった。


サッカーサークルには月一でしか顔を出さず、公務員の養成予備校に通っていたそう。


勉強一筋な感じの人だった。


きっとクラブにも行ったことがないんだ、見たこともないけどダンスも上手く踊れない。


キスも下手だった。





デートはいつもいつもフレンチだった。


彼はどこかで勉強してきたような手つきで、フォークとナイフを使い分けてた。


誕生日プレゼントには、高いブランド物のネックレスをくれた。


そういえば、何が好きかとか欲しいかとか、そういう話をしたこともなかった。














私は市民病院に就職した。


24時間365日、病院は回ってるんで、休みはほとんどなかった。


奴隷のように働き、1年で同期は半分やめていった。


私も彼に仕事の愚痴をこぼしてばかりになった、もう逃げ出したかった。


そんな時、彼は結婚しようと言ってくれた。





別に彼が好きというわけでも、運命の人というわけでもなかった。


中学2年の夏、行きずりで処女を捨てたように、行きずりで彼と結婚した。


職場から逃げたかった、というのが正直な理由だったかもしれない。寿退職だった。








彼の実家の両親はマンション経営者で、彼は一人っ子だった。


親の経営するマンションに彼と住むことになった。








一緒に住むようになって、


一緒に住むようになって、





公務員の給料は安かった。みのもんたはテレビで「公務員は1000万もらってる、けしからん」と言ってたのに・・・





私が料理できないから、彼はいつも仕事帰りにスーパーでお惣菜を買ってくる。


月曜・大味のジャンボ餃子、火曜・油っこい春巻き、水曜・油っこい春巻き・木曜・大味のジャンボ餃子・・・


同じものばかり・・・。





私が慣れない手つきで作ったラーメンに、彼はゴマ油を大量に入れて、ピチャピチャと汚い音を食べて食べた。



フォークとナイフはあれだけ綺麗だったのに、箸の使い方までもが本当に汚い。信じられない。





彼は洋式トイレを立ったまま用を足すので、トイレが汚れて掃除するのは私。


何度も座ってと言ったのに、とうとう直らなかった。





彼とテレビを見てると、チャンネルをパッパパッパ変えててしまうので、見ていて苦痛だった。





小さな我慢でも毎日続くと、それは耐え難いストレスだった。





「外で働きたい」


彼にそう言ったら聞き入れてもらえなかった。


その代わりベリーダンスでも始めたらどうだ?と勧められ、スポーツクラブに通い始めた。


午前中から老人に混じって汗をかくのも何だか嫌だったから、辞めようかなと思った時に新しいインストラクターが入ってきた。





高校時代の同級生、稔だった。(冒頭に出てるよ)


稔はFランク大学卒業後、職を転々としインストラクターのアルバイトを得た。


稔と肉体関係に入ったのに時間はかからなかった。


稔が女たらしなのは有名だった、私もたらし込まれた。いや、実生活から逃げたかった。





稔のアパートに通いつめるようになって、私は夫である彼に離婚したいと告げた。


彼はキレて私を殴った。


殴っても自分の意思は変わらないというと、今度は彼は泣きついてきた。


泣けば、なんとかなるとでも思ってるのか?


足にすがる彼を蹴って玄関へ向かおうとすると、彼はまた逆ギレし、今度は私を無理矢理犯した。





犯された私は破れた服着の身着のまま、稔のアパートに逃げ込んだ。


彼の感触を忘れたくて、その晩はずっと稔にセックスをねだった。


翌朝、ケータイがバキバキに壊れてたので解約し、新しい番号にした。





それから、稔との同棲生活が始まった。


稔はイントラのバイト、私は看護師に復職した。


稔とは週1回しか顔を合わせないけど、楽しかった。





でもそれからしばらくして、私は妊娠したことがわかった。


誰の子だかは分からないけど・・・











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