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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第3章 動き出す者達、そして~
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20話

「ただいま」

「──あっ、おかえりーフリッド(パパ)ミント(ママ)

「またお前はそんな呼び方をしてくる、シルフィ」


 やしろに戻って来たオレとミントの事を、巫女服を着たシルフィが横に寝そべりながら話してくる。


「だってぇ。本当におっとうおっかぁみたいな事ばかり言っでぐるからぁ」

「………………ホント、お前を含めたエルフの大半は、自堕落な生活をしているな」

「しょうがなねぇべさ。何千年も生きられるんだからぁ、自堕落にもなるべさ」


 はぁ~。ホント、コイツらと来たらどうしようも無い種族だな。


「ママ。腹減っただぁ」

「はいはい。今、仕度しますよ」


 ミントはシルフィの要望に応えるべく、炊事場に向かった。


 ミントは満更でも無く、その呼び方を受け入れているが……………。



 オレとミントが転生した種族はエルフ。


 この世界に住まうエルフは長寿の為に、まともに生きることをしない。エルフの八割の者はだらけきった生活を送り、残りの二割の者はまともに生きることをしている。


 その二割は、若いエルフの者達。実年齢は二百歳を超えているが、見た目は普通の寿命しか持たない人間だと十代前半の者達。

 つまり、八割の者達は実年齢は五百歳を超え、見た目が二十代前半からの者達から、だらけきった生活を送り続けている。


 そして森と共に暮らす種族と言うこともあり、まともに外交しようとする事もないのも影響して、エルフの口調は訛った喋り方をしている。


 このエルフに転生したオレとミントは、エルフ達のだらけきった生活をどうにかしようと話し合って、オレ達の子供達──カイト達が来るまでの間でも、どうにかしようと決めた。


 こちらからも捜しに行けなかったのは申し訳ないとは思いつつも、こちらはこちらで、やれることをして行けば良いだろうと判断した。


 で、最低限の者達だけ矯正をして、いざと言う時の為に戦力増強を施していた。


 その中でも一番重要なのが、このシルフィだ。


 オレ達エルフの中で、上位種の存在──ハイエルフである彼女と行方不明だった彼女の兄のアルフレッドさんが、必要になってきていたのだ。


 実年齢が千歳で見た目が三十代の年寄り達の話を聞いたら、元々の統治者であったアルフレッドさんの時は、まともに生活を送っていたらしく、その人が行方不明になってシルフィが代理をし始めた時から、この自堕落な生活になっていったと言う。


 なので、この自堕落ハイエルフを何とかしないとどうしようも無いと判断して、何とかカイト達と話す間だけでもと、保たせる所まで矯正が出来た次第だ。


「ねぇねぇ、パパ」


 そんな矯正をしていたら、こんな呼び方をしてきたのだ。


「お前のパパじゃないけど、なんだ?」

「新しい王様は?」

「オレの家で休ませている」

「結構、大変だったみでぇだねぇ」


 寝そべっているシルフィの傍に粒子状の光が漂っている。粒子状の光───精霊達がシルフィにオレ達が事の事態に当たっていた事を報告していたのだろう。

 やはり、まかりなりにも上位種の存在だからだと実感する。


「あ~あ。早ぐ王位を継いでくれねぇべか。もうはだらくのはうんざりだべ」


 シルフィは欠伸あくびも交えていた。この娘は、ホントにだらしないな……………。


「……………お前、殆ど働いていないだろ?」

「そんなことねぇべさ。パパとママと会ってからは働かされてばっかりだべ」

「……………お前それ、今日の分も含めて時間をトータルにすると、片手分の日数しか働いてないからな…………」

「そうだったべか?」


 ………………ホント適当だな……………。


「御飯出来たわよ~」


 と、そこでミントが料理をお膳に乗せて持って来た。ミントの後に、元々シルフィの身の回りの世話役が居て、その人達もお膳を持って来て付いてきていた。


 ミントの御飯と言う一言を聞いて、シルフィはガバッと起き上がった。


「ごっはん~ごっはん~。ママ~今日も勿論、肉でしょー?」

「えぇ、そうだけど、貴女、本当に肉料理好きね」

「だって美味しいじゃん。それに元々パパ達が食べ始めたのが悪いでねぇか」


 確かにそうだけど…………。まさかこんなに肉料理に嵌まるとはね。


 エルフは基本肉は食べない。主に木の実や山菜などの類いを主食にしているのだが、オレはどうしても肉が食べたくしょうがなくてしょうがなくて、食べた事が発端。


 肉料理を食べている事を精霊を介してシルフィに知られ、ガミガミ言って来て食べさせたらドはまりしてしまい、それからエルフの永年の習慣をあっさりと破り捨てた。


 と、ミント達がお膳を並べ終えて、ミントとシルフィとの3人だけになった。


「それじゃあ」

「「「いただきます」」」


 食べる前の挨拶をして料理を食べ始める。


「そうそう。精霊達の話だとイマイチ分からねぇ事があってさ、どうして王様は倒れたん?」


 シルフィは食べながら、カイトの身に起きた事を訊ねてきた。


「あぁ、それな。フォルティスが宿していた魔力を取り出して、その魔力を浄化するよう言ったんだが、その浄化が思った以上に負担が掛かって、浄化仕切った途端倒れたって事だよ」

「でもその魔力って、何が何でも浄化しないと行けなかったん?」

「いや、消滅させてもよかったはずなんだが、何故か浄化を仕切ったんだよ」


 詳しく聞こうにもカイトは寝込んでしまったから、カイトが目覚めるまでその真意は分からない。


「それとシルフィ」


 ミントが声を掛けた。


「ん?」

「フォルティスが戻って来たわよ」

「それは知ってっけど、ホントに正気に戻ったの?」

「えぇ、それは間違いないないわね。リーナ達に念入りに確認もしてもらったから」

「そっ。でもアイツ、戻って来るの良いけど、またこの国が煩くなるのか~」


 シルフィは何処か遠い目をして、フォルティスが居た頃の出来事でも思い出しているのだろう。


「それなんだけど、どうやらフォルティスはカイト達と一緒になるみたいよ」

「…………ん? どういう意味だべ?」

「フォルティスが強い伴侶を探しているのは知っているでしょ?」

「んー? そうだったべか?」


 シルフィは箸を咥え、考える仕草をしていた。


「そうだったのよ。それでね、今まではフリッドだったのを、リーナがフォルティスの伴侶をカイトに、って納得させたのよ」

「そうなんだ~。まぁ、あの子程、扱いやすい性格はしてねぇからね~」

「それは否定出来ないわね」「それは否定出来んわな」


 まぁ、あの子はあの子なりに、親の言い付けを守っているから、あんな性格になってしまったんだろうけどな…………。


「それよりもだ、シルフィ。お前、カイトの事を王様って呼ぶけど、アイツ、此処の王様なんてしないぞ?」

「ええ~!? 何で、どうしてだべさ!?」

「いや、普通に考えて分かるだろ? 『王様やって』『はい、やります』って事にはならんだろ?」

「だけんど、王様は外の国ではみんなの憧れなんだべ!? 精霊達が教えてくれたべ!?」


 ………………この子もこの子で、精霊と会話を出来るものだから、外の国の事も知っているけど、多分色々と間違って解釈しているんだろうな……………。


「あながち間違ってはいないけど、成りたいのとは別だぞ? あくまでも理想であって、現実はお前が体験している事だし」

「あっ………………」


 やっと気付いたみたいだな。


「でも…………そしたら……………どうすれば、私はより快適な自堕落な生活を送れるのさ!」

「「………………はぁ~」」


 シルフィは箸を咥えたまま、思案し始めた。


「……………………呆れた。まだ、そんなこと、諦めてなかったのか」

「そんなことじゃねぇべさ! 私にとっては死活問題だべ!」

「死活問題って……………」


 そこまでの問題じゃないだろうよ………………。


「でも、貴女以外のハイエルフはアルフレッドさんしか居ないでしょう?」

「ママの言うとおり、そこが問題だべ。どうすれば良いべか?」

「……………なら、一つしか手はないんじゃ無い?」

「……………なんだべ、それは…………?」


 ミントに解決策が見つかったみたいだが、なんか良からぬ事を言いだしそうだな……………。


「貴女の子供に継がせるのよ」

「……………誰との…………? もしかしてパパと……………?」

「それはダメよっ!」


 ミントは即座に否定した。普段は温和だけど何だかんだで、嫉妬深いんだよな、母さんは………………。


「じゃあ、誰と? エルフの中に性欲が強い奴は居たべか?」


 シルフィの意見はごもっともだ。


 エルフは長寿の所為で、頻繁に性欲を満たす行為をする訳じゃないから、種族が少ない原因の一つにもなっている。


 ましてや、エルフの体質の問題で普通の行為じゃ、中々赤子が授からないらしい。


「居ないわね。でもエルフじゃなくても問題ない人物が居るじゃないの」

「……………………………………もしかして、王様………?」

「えぇそうよ、カイトの事よ」

「王様とするとして、産まれてくるのは、精霊の存在は感知出来るけど、会話が出来ない半純血種のハーフエルフになるだけでねぇべか?」

「多分大丈夫よ。なんてったって神様だから。そこら辺はリーナ達に頼んでどうとでもしてくれるでしょう」


 ……………やっぱり、おかしな事になり出したよ…………。


「それならそれで王様と行為をする為に、具体的な案を考えないといけないべ」

「ええ、そうね」


 2人は念入りに話し合いを初めてしまった。


 ────息子よ、ご愁傷様。

お読みいただきありがとう御座います。

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