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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第3章 動き出す者達、そして~
85/111

間話

「なんだ? しばらく見ない間にカイゼルは老けたか? ラヴィちゃんは若々しいままの様だけど?」

「お前のその口調と態度は変わらずだな」

「ホントね。ガリア君は変わらずで安心したわ」

「俺は早々に変わんねぇよ」


 師匠は久しぶりの再会にもかかわらず、陛下と王妃様が座っている畳に向かって行った。


「やっほー。元気してた二人共?」


「アイリ!?」「アイリちゃん!?」


 またしてもお二方は驚いていた。


「カイゼル君は相変わらず、ラヴィちゃんにしてやられているのかい?」

「そんなの決まって───って、久しぶりの再会の挨拶がそんな事か!」

「アイリちゃんも変わらずにいたみたいね」

「もちろんよ」


 アイリ様も挨拶もそこそこに畳に向かって行った。


「お久しぶりです陛下。王妃様も」


「………セリカか!?」「セリカ!?」


 アイカを抱き抱えたままのセリカが入ってきた。


「そ、それにお主が抱き抱えているのは、もしかしてお主の子供か!?」

「はい、そうです。ジェイ君との子供です」

「おめでとうセリカ。そしてジェイドも」

「「ありがとう御座います」」

「さあセリカもこちらに来て座りなさい」


 王妃様が手招きをして、セリカは向かって行った。


「…………えっと…………は、始めまして。私はクララと言います」

「…………ドワーフ?」「あら、可愛い!」


 クララは恥ずかしそうにしていた。


「まあまあ、とりあえず座りなさい」

「は、はい」


 王妃様はまた手招きをしてクララを呼び座らせた。


「失礼します」


 次に入って来たのはミランダさん。


「………メイド………?」

「スゴくエッチな服装のメイドさんね。エルスやリーナちゃん考案のメイド服より更に際どいわよ」


 ミランダさんは改めて言われて恥ずかしくなったようで、俯いてしまった。


「大丈夫よ。着ている本人が許した相手か、魔力を看破する技量がないと、下着が見えない魔法を付与しているから」

「アイリちゃんもそういう所、変わって無くて安心したわ」

「ありがとう」


 そんな付与した事を王妃様に言われて、お礼を言うアイリ様は師匠と変わらないご様子。


 ミランダさんも畳に座る様に、王妃様から手招きされて座り込んでいった。


 で、最後残っているのはナツメとソウジなのだが、一向に入って来ない。

 部屋の外を見ると、何故か少し離れた所で首根っこを掴まれたナツメとソウジがこちらに来ていた。二人にそんな事をしているのは、変わらずに居る老執事のアルフさん。


「お二人がウロチョロなされていましたので、連れて参りました。そしてジェイド様。お帰りなさいませ」

「ただいま帰りました、義父さん」


 アルフさんは優しい表情を浮かべてくれていた。


「ちょっ、ジェイ兄!? この爺ちゃん何者なの!?」

「そうだよ兄ちゃん! この爺ちゃん、全く隙がないけど!」


 二人は、ジタバタすることなく観念した様に大人しくしている。


「この方は、城の中で王族の方に次いで偉い方なんだ。勿論、腕の方も立つからな」

「ホッホッホッ。私如き、まだまだで御座いますよ」


「おーいジェイド。ナツメ達居ないのか?」


 と、中々入って来ないものだから、師匠から声がかけられた。


「今行きます」


 再度部屋に入り、アルフさんもそのまま後を付いてきた。


「って、何やったんだお前ら? それに爺さんは相変わらずだな」

「これはこれはガリアーノ様、アイリーン様。大変お久しぶりで御座います。そしてセリカ様もお元気なご様子で、私は大変嬉しい限りですよ」

「はい。アルフ様も相変わらず元気なご様子。アルフ様、この子はアイカと言います。私とジェイ君の子供です」


 セリカは立ち上がった。

 アルフさんは二人の首根っこを掴んだまま近寄り、そして畳の上に優しく座らせて離し、アルフさんはアイカを抱っこ仕始めた。


 アイカは見知らぬ人達ばかりだからか、大人しくしている。


「おぉ。これはこれは可愛らしいお子で御座いますね。将来は立派な淑女になる事間違いないですな」

「そうだと良いのですけれど」

「……………じーじ?」


 アイカは小首をかしげて、アルフさんを見つめていた。


「ええ、そうです。じーじですとも」

「じーじ、じーじ! じーじ!」


 アイカは師匠の方も指さして、一緒って事を言っているのが分かった。


「おや? ガリアーノ様もじーじで御座いますか?」

「別におかしくないないだろ? ジェイドとセリカは俺達の子供みたいなものだからな。だったら、俺達はアイカのじじばばになるだろ?」

「そう言う事で御座いますか」


 アルフさんは納得をしたらしく、頷いている。


 そしてセリカに預け返していた。

 アルフさんはその後、お茶の準備を始めてしまった。


「そうそう。コイツらは俺とアイリの子供だ。ナツメとソウジって言うんだ」

「よろしくー」「始めまして」


 ナツメは軽すぎる挨拶で、ソウジは少しだけ礼儀正しい挨拶をしていた。


「で、コッチ二人はこの国の王と王妃だ」

「大雑把な紹介だな、ガリアーノよ」

「今更、かたいこと言うんじゃねえよ、カイゼル」

「やれやれ。それにしてもお前達、今までドコに居て何をしていたんだ?」

「ああ、それはだな──」


 と、アルフさんが紅茶をみんなの前に出して行った。

 紅茶を飲みつつ、師匠はあの島に行く経緯と、これまで過ごしていた経緯を話し始めた。


※※※


「そうじゃったか。道理で大陸中を探しても見つからんわけだ」

「すまなかったな。カイゼル」


 師匠は緑茶を飲みながら煎餅せんべいを食べていた。


 言葉と行動が一致しないお方だ。


 師匠とアイリ様が飲んでいる緑茶は、リーナ様が地方の村で栽培させていた物とアルフさんが言っていた。


 俺が居なくなった後、リーナ様とエルス様が様々な商品開発をして、ノエルが食品や料理を担当して、この国と隣の騎士王国の産業に革命を起こしていったと、アルフさんと案内をしてくれた兵士が話していた。


 アイカやナツメ、ソウジは甘みが強いジュースや、フルーツケーキを出され一心不乱に飲み食いしていた。


「それでよカイゼル。この茶や煎餅を、この世界に持ち込んだ者達は今どこに居るんだ?」

「お前達と同じ世界から来た4人の内、3人は帝国に向かった。そして1人はワシの娘で、今もアレクと内政の事を話しているはずじゃ」


「あっ。陛下。エルス様は、カイト様達の所に行ってくるとおっしゃっておりましたよ」

「えっ? いつ?」

「三日前でございます」


 アルフさんは事も無げに言って、陛下は少々呆れ顔をしていた。


「なんだカイゼル。娘に邪険にされてんのかよ」

「今に始まった事じゃないがの。それよりも残念だったの。せっかくお前達と対面したがって居ったのに」

「そうか。やっぱり俺とアイリの事を知っているのか」

「あぁ、知って居ったぞ。ノエルはお前達の娘だったそうじゃないか」

「そうだな。どうしてコッチに来たのかは知らんけどな」

「それなら聞いておるぞ。確か………………………なんじゃったか?」


 陛下……………まだ42歳だったはず。


「歳か?」

「たわけ。聞き慣れない言葉だったからじゃ! して、なんじゃったか、ラヴィ?」

「確か、馬車みたいな乗り物で遊びに行った帰りに、馬車同士がぶつかって、自分達は死んだって言っていたはずよ」


 馬車みたいな乗り物か……………。やはり陛下達はだいぶ前から、師匠達の事を聞いていたのですね…………。


「そうか………………アイツらも災難だったな」

「して、ガリアーノ。直ぐに帝国にでも行くのか?」

「あん? 行かねぇよ。その内イヤでも会うことになるだろ。アイリは会いたいか?」

「会いたくないって言ったら嘘になるけど、直ぐじゃなくても大丈夫よ。それよりも私達が居なくなった後、この国や世界の情報を知りたいわね」

「分かった。ガラリと変わったのは、ジェイドとセリカの行方が分からなくなった後からじゃな」


※※※


 陛下から、俺達が居なくなった後の話を聞いて、俺は身震いを起こす程、師匠達はとんでもない世界から来たのだと改めて実感した。


 そしてもう一つ、セリカの父親のセルシオ伯爵様に心配をかけ過ぎた事。

 早々にセリカと会わせて、安心させないと………。


「……………そうか……………色々と納得がいった」


 師匠はまたしても、煎餅をボリボリと音を出して食べていた。


 やはり言葉と行動が一致していない。


「そしたらカイゼル」

「なんじゃ?」

「カイトの弟子の所に案内してくれや」

「それは構わぬが、一体何をするつもりだ?」

「なに、大した事じゃねえ。ただソイツと手合わせをしてぇだけだ」


 師匠はそう言いながら、俺を見てきて、陛下に視線を戻した。


「…………分かった。爺」

「はい。現在ジアン様は訓練場にて、兵士達に訓練を付けております」

「よし。んじゃ、案内してくれや爺さん」

「かしこまりました。それではこちらに」


 陛下と王妃様も一緒に行くらしく立ち上がった。


 そして俺達全員でアルフさんの後を付いて行く。


※※※


 ジェイド達が向かった先は、ジェイドがよく兵士達に訓練をしていた場所。

 そこに着いて見た光景は、1人の青年が兵士達10人に囲まれている場面。


 次に見たのは、囲んでいた兵士達が10人の内2人が青年に斬りかかる所。


 青年は蒼剣と銀の盾で兵士2人の長剣を受け止めた。

 動けなくなったその隙を狙う様に空かさず、別の兵士2人が斬りかかりに行く。


 青年は受け止めていた蒼剣と盾を緩めその場から退き、先に斬り込んでいた兵士2人は体勢を崩されたが、その事をを予期して後から斬り込んでいた兵士2人と一緒になって、青年に斬りかかりに向かっていた。


 青年は退いたその場から動かない。と言う選択を取らずに、兵士4人目掛けて斬りかかりに向かった。


 青年と兵士4人が斬り合う間際に、新たに3人の兵士がタイミング良く青年の背後から斬りかかりに向かっていた。


 だが青年は、目の前の4人の兵士の前でいきなり姿を消し、次に現れたのは、後から斬り込んでいた3人の兵士の真後ろであった。


 青年が3人の真後ろに現れたのと同時に、先の4人が突如倒れ込む。


 後から斬り込んでいた3人の兵士は、目的の青年が眼前に居ないのを確認した時には、3人も意識を失い倒れ込んでいた。


 残りの3人は2人が先に斬り込んで、蒼剣と盾を封じて1人が斬り込むが、先ほどの様に対応されて、兵士3人は瞬く間に倒れ込んでいた。


「ジアン様」


 そこで初めてアルフが声を掛ける。


 青年──ジアンはここ王城にてカイトの後を引き継ぎ、兵士や騎士達の訓練をしていた。


 ジアンは蒼剣を腰の鞘に納めて駆け寄った。

 ジアンに斬りかかっていた兵士達は、残っていた兵士達に介抱されていた。


「お疲れ様です、ジアン様」


 そう言いながら、どこからともなくアルフはタオルをジアンに差し出していた。


「ありがとう御座います、アルフ爺ちゃん」


 ジアンはタオルを受け取り、顔などの汗を拭いた。


「陛下と王妃様に於かれましては今朝方ぶりです」

「うむ。それでなジアンよ。お主の所に来たのは──」

「ジェイド様…………? それにセリカ様…………?」


 ジアンは後ろに控えていた人物を見て、驚愕をしていた。5年もの間、行方不明になっていた人物が突如現れたのだから。


「ああ、そうだよ。ジアンは大きくなって、頼もしくなっているじゃないか!」

「本当ね。ルセちゃんは一緒じゃないの?」

「ルセは別の訓練場で魔道士達と訓練していますよ。それにセリカ様が抱いている子や他の方々は?」


 ジアンは見知らぬ人達の事を訊ねて、ジェイドがガリアーノ達を紹介していった。



「でだ、ジアンよ。俺と手合わせしな」


 ガリアーノはここに来た目的を果たそうとしていた。


お読みいただきありがとう御座います。

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