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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第3章 動き出す者達、そして~
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14話

 空に向けて左手をかざした直後、太陽の熱さえ通さない辺り一面に厚い雲が出来た。


「イッタイ、ナニヲスルキダ?」

「お前が味わったことの無いであろう、極寒を味わらせてやるよ」


 厚い雲に覆われた帝都一帯は、段々と暖かさが無くなり寒くなり始める。


 リーナ達が街に張った結界と、アンナ達に張った結界には寒さの影響が全くない。


「ゴッカンダト? ソノテイドノサムサデハ、オレサマノウゴキヲトメルコトハデキヌゾ、ニンゲン」


 色々な言い伝えもある悪魔だろうからな、そう言った場所も平気で動けるんだろうよ。()()()()()ならな。


 そう言っている傍ら、サタンは魔法攻撃の手は休むことは無かった。


 俺は【白雪】での斬撃で対処しつつ、左手で魔法の準備をしていく。


 氷が張る程寒くならないこの世界で過ごす人達にとっては、この一帯の寒さは耐えられない程寒くなっている。


 この寒さの影響が出ているのは、俺とサタンのみ。


 白い息が見える程寒くなっているのだが、魔法で対処しているから身体自体に影響はそれ程感じない。


 今度はゆっくりと雪が降り始める。


「サタン。一つ聞きたいことがある。お前は俺が現れなかったら、この国をどうするつもりだったんだ?」

「シレタコト。オレサマ二トッテキサマラ、カトウシュゾクハ、タンナルエサニスギンワ!」


 その為なら手段を選ばないって事か。


「準備完了だ」


 辺り一帯は猛吹雪に包まれ、雪が積もっていた。


 サタンの魔法攻撃を、更に倍の速度で牽制し、サタンが黒の球体を創り出すのが間に合わない、ほんの僅かな隙にサタンと同じ空に浮かんだ。


「ニンゲンフゼイガ、ソラヲトブダト!?」


 サタンは地面から離れた俺に気が付き、魔法攻撃を止めた。


「別に珍しくは無いだろ。お前らが飛べるんだ、想像力豊かな人間が気付けば出来ること。魔法は想像力が大切だからな」

「コザカシイコトヲヌカス。ソレニ、イツニナッタラ、キサマガイッテイタ、マホウヲヒロウスルンダ?」

「いや、既に俺の魔法は発動している」


 俺は指をさした。その場所は、サタンに降り掛かっている雪。


 自然に出来たものではなく、俺の魔力で創った雪だから、俺の意志で思い通りの事が出来る。


「タカガ、カラダニハリツイテイルユキガ、ナンダトイウノダ」


 サタンは身体に張り付いた雪を払う仕草をしていた。


 だが、身体に張り付いた雪は落ちる事は無かった。


「ナンダコノユキワ!?」

「もうお前は終わっているよ」


 そして雪は段々と張り積もっていく。


 サタンは手で振り落とせなかった雪を今度は、ドス黒い魔力を身体から噴き出して、雪を吹き飛ばそうとしたり、溶かそうとしたりしていた。


 だが効果が無かった。そして徐々に雪がサタンを包み込む程、纏わり付いていく。


「ナンナンダ、コノユキワ!?」

「それは俺の魔力で創った雪だからな、俺の魔力を上廻らないと払いのけることも溶け出すことも無い」

「コノォー!」


 更に魔力を噴き出していく。それでも変化は無い。


 とうとう頭以外が雪ですっぽりと被われてしまった。


「じゃあな───サタン」


 俺は指をパチンと鳴らし、雪がサタンの頭まで被い、雪を氷に変え、サタンの身体に合う様にその形を成していった。


雪華氷蒼せっかひょうそう】その使用者の魔力による絶対凍結の威力を発揮する魔法。


 解ける方法は、使用者の俺が解くか、掛けられた者が使用者の魔力を上廻るかのどちらかだ。


 だが俺は解くことは無く、ヤツが凍り付く前に自身の魔力で試していたが、解けることは無かったから俺より魔力は弱いということ。


 サタンが凍結したのを確認した俺は、天候を晴天に戻し、雷光化を解いた。


 俺は、浮遊したままその場に氷漬けになったサタンにトドメを刺す為に近付いた。


 刀である【白雪】の間合いまで近付いた俺は、そのまま【白雪】を振りかざした。


「っ!?」


 だが、サタンの脳天から両断しよう振るった【白雪】は、サタンの右肩を斬り落としたのだ。


 そう。氷漬けになり動けなくなった筈のサタンは、僅かに動いたと言うこと。


 そして切り落とされた傷口からドス黒い魔力を噴きだし始めた。


「────ワレハ───マダ、マケテオラヌッッッ!!」


 そのまま溢れ出した魔力を氷漬けの自身に纏わせ始めた。


「このヤロウ!」


 そんなの関係無く更に斬り込んだ。


 斬り裂いたのはまたしても違うところで、左肩を斬り落としたらしく左肩が落ちていった。そしてまた傷口からドス黒い魔力を出し纏わせた。


 次に横薙ぎ一閃に斬り込んだら、両脚を斬り落としたらしく、両脚が落ちた。また傷口から魔力を噴きだし纏わせた。


「カンシャスルゾ、ニンゲン────イヤ…………オロカナ、カミヨ」


 サタンは纏わせていたドス黒い魔力を球状にし出した。


「オレサマホンライノスガタトチカラデ、コノセカイヲコワシテヤルゥゥーーーー!!」

「お前には無理だよ、サタン」


 まだ球状になっている状態だろうが関係無く斬り込んだら、ドス黒い魔力が手の形をつくり防ごうとしていたが、【白雪】には破魔の力があるから呆気なく斬り裂き、球状を斬り裂く。


 その瞬間、斬り裂いた裂け目から黒いモノが飛び出す。


 更に上空に、その人物は腕組みをして居た。


 そこに居たのは凛々しい顔立ち、青色の肌と髪、スラッとした体型、頭に歪なツノ、背中には翼を生やした青年。


「すまないな、今まで散々無様な姿を晒して」

「そう思うなら、素直にやられていた方が良かったんじゃ無いのか?」

「いや。まだ私の真の力を見せてはいないのでな。神であるキサマに見せてやろうと思ってな」

「そんなもん必要無いから早々に退場してくれよ、サタン」

「なら、どうして本気で私を倒しに来ないのだ?」


 …………………ん? コイツは何を言っているんだ? 俺は本気で倒しに向かっているのに…………………


「神カイトよ、この国ごと滅びよ」

「だから、お前には無理だって言っているだろ!」


 【白雪】を異空間収納に仕舞い込み、新たな属性【聖光化】


 身体が白く発光し、普通なら魔力操作をミスると霧散する、人の形を光の粒子で形成した状態。


 その状態になり、光速の速さでアッという間に上空に居たサタンとの距離を無くし、サタンの顔面目掛けて殴ってやり、その勢いで更に上に飛ばした。


「小癪な!」


 サタンはダメージを受けながらも、手をかざしてくる。


「テメェには何もやらせねぞ!」


 また距離が出来たのを光速で移動し、今度は光の身体を霧散させ球状になってサタンを閉じ込めた。


「これ程の力とはな、神よ」


 閉じ込められてもまだ余裕を持って対応してくる。だが、【聖光化】になった状態だから分かる。もはやコイツに大した力は残っていないのを………………


「残念だけど神の力は、魔力を解放してからはほんの一握り程度しか使ってない」

「クククッ! 今までの戦いでほんの一握りか。それではこの城に施していた弱体化の魔法もキサマには意味を成してなかったか」

「いや、効いてはいたさ。だから騎士相手に手こずっていた」


 まぁ、アンナを抱きかかえていたから、アンナに影響が出るであろう雷装にも成れなかったから余計にな。


「今度こそ終わりだ」

「久々に血湧き踊る戦いであった」

「じゃあな」


 光の粒子状になっている俺は、光の球状を収縮仕始める。


──ゾクッ!──


 サタンを消すために収縮仕始めた途端、突然悪寒が走った。


「くっ!?」


 次の瞬間、何者かに光の粒子になった身体を斬られた。


「何かは知らぬが好機!」


 斬り裂かれた箇所から、サタンは身体を黒い霧状に変え、球状から抜け出した。


 俺は球状を収縮して身体を形成し【聖光化】を解いた。


 いつもの身体に戻った途端、左腕から血を流した。斬られた箇所を左腕に集結させたから。


 そして改めて俺を斬った者の姿を確認した。


 そこには漆黒の髪、虚ろな瞳、漆黒のローブを纏い、その手には身体より一際大きな鎌を携えた、細身の女性が居た。


お読みいただきありがとう御座います。

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