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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第3章 動き出す者達、そして~
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8話

 一旦ギルドに戻った俺はリーナ達に事情を話、ユノさんとミカ、それと新皇帝と奴隷に関する情報を話した。


 ただ、シュミットさんとマリーさんは深い眠りに付いているらしい。リーナが物凄い勢いで書類を片付け、シュミットさん達に【スリープ】と【リフレッシュ】の魔法をかけてあげたそうだから。


「そう、事情は分かったわ。そしたら私達も歓迎の準備をしましょうか」

「怒らないのか? 勝手にそんな事をしてって?」

「それこそまさかよ。っていうかむしろ増やして下さいってのが本音よ」

「どう言う意味だ?」


 カルトちゃん以外の3人で頷き合っているけど、本当にどう言う意味?


「カイ君、正直に応えて。()()()満足いく位出来た? ほんの少しでも、満足じゃなかったって思ったら、カイ君を満足させるにはちょっと私達だけじゃ足りないの。カルトちゃんはまだ幼いから無理だし」


 カルトちゃんは何の事か分からず首をかしげている。


 俺もそこまで言われてやっと理解したよ。確かに転生前(あっちに居た)の頃より、まだまだ()()事が出来たから…………


「理由は分かったよ」

「それじゃあカイが分かった事で、ユノさん達を迎える準備をしましょう。もちろんカイも正装をして迎えに行くのよ?」

「あぁ、分かったよ」


 俺達はユノさん達を迎える準備を仕始めた。


 そしてユノさん達を迎えに行く時間、夜になった。


 俺はリーナの提案で、正装した馬車で迎えに行く事になり、娼館前に馬車を停めて、中に入った。


「待ってたよ」


 俺の姿を見た受付の人がそう声をかけてきた。


「それにしても、ちゃんと正装して来るなんて、アンタ貴族様だったのかい?」

「貴族ではないですよ。ただそれに近い感じの者です」

「そうかい。まあ、アタシとしては、あの子達をないがしろにしてくれなければ、誰でもいいさ」


 受付の人はどこか遠くを見て、悲しげな眼差しをしていた。


「そんなことより、今あの子達を呼ぶから待ってな」

「はい」


 そう言って、受付の人はカウンターから出て来て、1階の一番奥の部屋に向かった。


 そして部屋から受付の人が出て来た。


「待たせたね」


 そう言っても、貴女1人しか見えないのですけど?と思ったら、その人の後ろから、赤のドレスを着て髪も結ったミカと、白のドレスを着てこちらも髪を結ったユノさんが姿を現した。


「キレイだよ、2人とも」

「カイト君!」


 ミカは目から涙を流しながら、抱きついてきて、俺はちゃんと受け止めた。


「やれやれ、どうやらとんでもない男の様だったようだね」


 受付の人は呆れ気味に笑っていた。


「ユノさん」


 俺は右腕をユノさんに向けて来るように、向けた。


 ミカはまだ嬉し泣きだろう、胸元で泣いていた。


 だけど、一向にユノさんはコッチに来ない。


「ほれユノ。アンタの男が呼んでいるんだ、行ったらどうだ?」

「…………オーナー…………」


 どうやら受付の人はオーナーだったのか…………


「大丈夫。あの男は絶対にアンタをないがしろにしない。アタシはもう2度と、そうする輩にアタシの娘をあげたりしないと、()()()に誓ったんだ。だから、心配する事なく行ってきな。そしてアンタの子供でも見せに来ておくれ、ユノ」


 ユノさんはオーナーの言葉を聞いて、泣き出してしまった。


「はい…………はい! 今まで………ありがとう…………御座いました…………」

「ほら、泣きつく相手が違うだろ? それにせっかくの化粧が台無しじゃないか」


 オーナーはそう言いながらも、優しくユノさんの背中をトントンとしていた。やはり、この人なりの愛情を与えていたんだな……………


「ほら、お行き」


 オーナーはユノさんを離し、ユノさんはまだ泣きながらもコッチに来て、俺はユノさんも抱きしめた。


「アンタ、名前は何て言うんだい?」


 俺はユノさんとミカを抱きしめながら、オーナーをしっかりと見た。


「カイト。カイト・クサナギです。冒険者をしています」

「………約束をしておくれ。絶対その子達をないがしろにしないって。じゃないとアタシは、死んだってアンタの事を許しはしないよ カイト・クサナギ!」

「この名に誓って!」


 そしてオーナーは、涙を流し出してしまった。


 俺は軽く会釈して、2人を抱きしめながら娼館を出た。


「さあ、2人とも馬車に乗って」

「うん、うん!」「ええ」


 2人はまだ泣いてはいたが、すんなりと馬車に向かい中にはいった。


 流石にいきなり家の中って事はなく、馬車の中はシンプルな内装の状態にしていた。


 流石にここまで盛大な挨拶をしていきなり、予想外の事をするほど、俺もリーナも常識を無視したくは無いから。けどギルドに着いて直ぐに説明をする事に変わりはないけど…………


 そして俺は御者台に乗り、馬車を走らせた。


※※※


 しばらくしてギルドに付き、2人を降ろした後は、カルトちゃんにシュナイダー達の事を任せて、建物に入った。


 俺が先頭で入り、ユノさん、ミカと続いて入ったタイミングで、クラッカーが鳴り響いた。


「ようこそ、ユノさん、ミカさん。貴女方お二方を歓迎しますわ!」


「「えっ!? えっ!?」」


 リーナの声にもビックリしている2人。先ほどまでの泣き顔が一転して、驚きに変わってしまった。


「さあさあ、立ち話も何ですから座って下さいな」


 リーナの言葉に従うように、ノエルとティアがユノさんとミカの手を掴み、引っ張って行きイスに座らせた。


 テーブルにはノエルが頑張りすぎて作った、王城顔負けの豪勢な料理が並べられている。


 カルトちゃんも戻って来て、シュミットさんとマリーさんも含めた全員で、ユノさん、ミカの歓迎会を始めた。


 ユノさんとミカは最初はスッゴく戸惑っていたが、リーナ達が積極的に話しかけて、次第に打ち解けていき、俺とシュミットさんだけを残して、家の部屋に引っ込んでいった。


 リーナが『これから女性だけでの話をしないといけないから』と言っていたから、たぶん有無を言わさず、婚約者にするとか何とかの話だろう。


 残った俺達は、『女性は大変だ』と酒に酔っているシュミットさんの愚痴を聞きながら、シュミットさんの身の回りを聞いた。


 シュミットさんはバツイチであり、結婚はもうたくさんだと言っていた。で、マリーさんはどうなのと聞いたら、『あの子は良い子だよ。愚痴のひとつも言わず、私の仕事に付き合ってくれて』と言っていた。


 更にマリーさんの好きな人って知っていますか?と聞くと『いや、分からないな。どんな感じの人が良いのだろうか?』と、マリーさんの好意に気付いていないご様子。この事をリーナが知ったら、エルスの代わりに二人をくっつけるだろう。


 と、そんな他愛も無い話をして、マリーさんだけ戻って来て、代わりに俺がリーナ達の下に向かった。



 そして家の部屋に入ると、リビングには居らず、寝室に向かうと、案の定リーナ達がベッドの上に居た。しかも寝間着であるネグリジェ姿で。


「カ、カイト君。リーナちゃん達から聞いた、と言うより聞かされた話は本当なのかい?」

「わ、私とユノ姉様も、カ、カイト君のお、お嫁さんになるって!」


 あぁ、その事か。


「ええ、そうなりますね。ただここに居ない方も居ますから、結構な人数になりますけど」


 俺の身の回りの事を話していなかったから、驚くのは仕方ないけど。


「ほ、本当に良いのかな? こんなにいきなり嬉しい事が起きちゃって………」

「………ホントよね…………ほんの些細なきっかけしかなかったのに…………」


 ミカとユノさんは、驚きつつも口元が綻んでいる。


「良いのですよ、ユノ姉様、ミカ。苦労した後は、幸せが舞い込むモノですから。ね?」


 ………………リーナさんや、何故にユノさんを姉様って呼ぶ? いくら何でも、その呼び方はおかしくないか?って言っても、はぐらかされるのがオチか……………


「まぁ、そう言うことでこれからよろしくお願いします、ユノさん、ミカ」


 ユノさんとミカは互いに見て、そしてこちらを向き


「「こちらこそ、末永くよろしくお願いしますカイト君」」


 2人して声を合わせてきた。


 そして俺達はそのまま、全員でベッドで寝ることに。


 それにしても、2人も加わったのにベッドのスペースがまだまだ余裕がある。それまでは、更に人が増えたらスペースは無いな、と思っていたのに、おかしいな? またリーナがやらかしたか?


 そんな事を思いつつ、意識を手放した。



 翌日はロイさんに、新皇帝の身の回りの調査をして欲しいと頼み、こちらも情報集めをしながら、奴隷扱いとなった人達のオークションが開催される日となった。

お読みいただきありがとう御座います。

また評価などして下さっている方々にはありがとう御座います。

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