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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第3章 動き出す者達、そして~
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4話

 エルス達と一線を越えた日から数日後、俺はようやく残りの家族を捜しに出発しようとしていた。


 場所は聖王国王城前。


 そこに集まったメンバーは、家族を捜す組で、俺、ノエル、リーナ、ティア、それにカルトちゃん。 使い魔のカルマと紅鬼。


 そしてカルトちゃんがこの数日の間に召喚した、紅鬼の嫁、鬼姫を喚び出して、やりたい放題の紅鬼を抑制してくれている。と、言うより、鬼姫もとい織姫をめちゃめちゃ恐れているのだ。 いや、紅鬼よ、お前一応鬼の王様だろ?


 そんな小型状態の使い魔達を含めたメンバーが、俺の家族を捜す組になっている。


 そして俺達を見送る為に集まったのが、エルス、ジアン、ルセ、ナリア、ロール、セシリア、聖王陛下(義父さん)王妃(義母さん)、執事長のアルフ(爺や)、カサドラさん、バーンさん、騎士王様と王妃様と使い魔達。 


「それじゃあジアン。 俺が留守の間、よろしく頼んだぞ」

「あぁ、任せてくれ。 どうしようも出来ないときは連絡はするから」

「あぁ、そうしてくれ。 それとな、ジアン達に俺から渡すモノがあるんだ」


 俺は収納魔法から、2本の刀と1本の小太刀を取り出した。


 それを、ジアンには刀身が薄く黄色味が掛かった刀を。


 ナリアには、薄く赤味が掛かった刀を。


 ルセには、薄く緑色をした小太刀を渡した。


「俺からの祝いだ。 よくここまで強くなってくれた」

「……………カイト……………あぁ、結構きつかったけど、楽しかったってのもあったよ」

「うん、私もジアンと同じかな。 キツい時もあったけど、カイト君って何だかんだで、付きっ切りで面倒見てくれていたし」

「ははは」


 改めて言われると、おかしな話だけどな。 なんせ、普通の人の限界を軽く超えているんだから。


「それらは紅鬼に頼んで造ってもらったんだ。 どうやら鬼族はその刀を造ることに関して秀でていたから」


 カルトちゃんに織姫と共に抱っこされていた紅鬼は、そっぽを向いて、照れているのを隠していた。


 ジアン達はそんな紅鬼にお礼を言っていた。



「それでカイト君。 これを」


 今度はカサドラさんが俺に、白銀の色をしたタグと、ギルドカードを寄越してきた。


「カードは分かりますけど、このタグの色は?」

「そのタグの色は、この世界で初めてSSSランクになった証よ。 リーナちゃんとエルスちゃんと話し合って決めたの。 そしてジアン君達SSランクには、金色のタグね」


 そう言ったカサドラさんは、ジアン達にタグとカードを渡していた。


「ちなみにSランクは銀色にしているから、誰かが見間違ってもSランクの実力者って事だから、よっぽどの事がない限り大丈夫でしょ」


 よっぽどって、かなりアバウトだな……………


「これで私の仕事はお終い。 これからはナリアちゃんが私の代わりに、ギルドマスターと他のギルドマスター統括を担うわ。 同じ都市に居るから、分からないことがあれば、遠慮なく聞きに来て良いからね?」

「はい、どこまで出来るか分かりませんが、頑張ります」


 きっとナリアなら大丈夫。


 そしてそれぞれ挨拶を交わして、他のみんなと別れた。


 エルスは、もう少しで内政の事をアレク義兄さんに引き継ぎが終わると言っていたから、それが終われば、リーナの魔力を辿って【ゲート】で合流すると言っていた。

 

 移動手段は馬車で、俺に懐いていた雄馬オスウマのシュナイダーに雌馬メスウマのリンス、その夫婦馬の間に生まれた雄馬のコニーの3頭で馬車を引いてもらっている。


 御者ぎょしゃはもちろん俺。 でも、カルトちゃんもやってみたいと言っていたから、やらしてみるつもりだ。


 で、長旅をする上で肝心な馬車は、リーナが特注で造ったため、とんでもない性能をしている。


 馬車の外見は至ってシンプルに造られているのだが、普通に見ただけでは分からないほど、徹底的にしているのだ。


 自動車に使われているサスペンションなどを組み込み、荒れた道路などの衝撃を軽くしたりと、自動車並の座り心地になっているのだ。


 そして1番の驚きが、シンプルに造ったそこら辺で見掛ける大きさの普通の外見の馬車の中は、小さな家の部屋のスペースをしているのだ。


 神になったから出来る荒業。 小さな家を異空間内に閉じ込め、そしてそのまま異空間を馬車の中に保管したって言うのだから、初めて聞いたときは恐れいった。


そして俺達が向かう先は帝国。 ドライア帝国。


 エルスの話で、今の帝国は何やらキナ臭い状態になっているみたいで、帝国の内情を調べて見て欲しいと言ってきたので、ひとまず帝国を目指している。


 だがその前に、帝国との国境付近に建ててある砦を目指している。


 その砦には、アレク義兄さんの弟、王位継承順位第2位のユークリッド義兄さんが居る。

 俺がベッドから動けないときに、義父さんから紹介されていたのだ。 そしてユークリッド義兄さんにも嫁が居て、それがティアのお姉さんだった。


 ティアのお姉さん。ゼシカ義姉さんはティアの事をかなり溺愛している。 

 ティアが婚姻したと聞いて、俺に問い詰めほど。 正直怖かったよ、まともに動けないから逃げることも出来ないから…………だけど、それほどまでティアの事を大切にしているって事が分かった。


※※※


 王都から砦まで馬車で三日掛けて着いた。


 道中、魔物にも遭遇したが……………まぁ、問題なく魔法で退治していた。 ちなみに瞬殺です。


 宿泊は1日目に村があったからそこで泊まって以降は、馬車で過ごした。 ぶっちゃけ家を移動させてるからまったく不便は無かったけど、寝るときだけは困ったものだ。


 何てったって、ベッドが一つしか無いから。 しかも特大サイズのベッドが。


 ノエル達、女性組だけで寝るように言ったのだが、カルトちゃんが『一緒に寝てくれないんですか?』と、上目遣いと涙目のコンボで言ってくるから、OKをしたら、直ぐに笑顔に変わった。

 あぁ、カルトちゃんも女の武器を最大限に活用しているな。と、思った。


 そんな事もありつつ、砦に着いたのだ。


 国から国に行くには色々と手続きがあり、観光だったり、商人なら仕事だったりと申請をしないといけない。


 それをやるのが帝国との境近くに造った砦。


 騎士王国みたく友好条約を結んでいたら、詰め所程度で住むのだが、友好条約を結んでいる訳でもないから、砦がその役割をしている。


 そして砦に着いた俺達はその手続きをする訳なんだが、せっかくなんでユークリッド義兄さんに挨拶をしようと、兵士の人に言って、ユークリッド義兄さんに会えるようにしてもらって、今まさに会っている所。


 ユークリッド義兄さんは金髪の長身で中々のイケメン。 しかも性格も穏やかだが、訓練や戦闘と言った時は好戦的に変わるらしい。


「あぁ~ティアナ、しばらく見ない内にキレイになって!」

「あ、ありがとう御座います、お姉様」

「しかも、その髪型は何! とても可愛くて似合っているじゃないの!」

「ありがとう御座います、お姉様。 だから、少しだけ離れて下さい、息が………」

「あ、あぁごめんねティアナ。お姉ちゃん、ティアナがあまりにもキレイになっていたから嬉しくなっちゃて」

「嬉しいですけど、お姉様のお腹にさわりますから」


 と、まぁ、妹を溺愛する強烈なゼシカ義姉さんも居て、熱烈な歓迎を受けていたのだ。 ティアだけ。


 ゼシカ義姉さんは、銀髪の長身でスタイルの良い美女。だが、現在妊娠をしており、お腹が膨らんでいる。

 こちらの性格も普段は穏やからしく、訓練や戦闘と言った時は好戦的になるらしい。 そしてティアが絡む事になると超好戦的になるのだ。


 これほど似た者夫婦は居ないけど………


「と、まぁ、久しぶりだねカイト君。 初めて父から君の事を王城で紹介されて、会った時以来かな?」

「そうなりますね。 あの時はベッドから失礼しました」

「いやいや、気にすることないよ。 時期も時期だったしね。そして今は帝国の内情が怪しくて、ここから動くことも出来ないからね」


 やはり、帝国からの最前線であるここでも、警戒はしとかないとイケナイほどなのか……………


「それなんですが、何か分かったことがあれば教えて欲しいのですけど?」

「ああ、エルスから念話で話は聞いているよ。 どこまでエルスから聞いているかな?」

「噂で、現皇帝が亡くなったとか。 現皇帝を殺した人が新皇帝になったとか、その程度ですね」

「あぁ、私の方もそんな感じの情報しか無いね。 20日前に帝国の情報を集める様に、数人の兵士に密偵をさせているから、そろそろ何か新しい情報が入ってくる筈なんだが」


 と、ユークリッド義兄さんが言い終わったタイミングで、部屋のドアを誰かがノックをしてきた。


「どうぞ」

「ハッ! 失礼します!」


 入ってきたのは、ラフな格好をした男性。 だが、敬礼が板に付いていたから、先ほど密偵をさせてあると言った兵士だろう。


「失礼します! ユークリッド様、ご報告があります!」

「では、聞こう」

「ハッ! ですが…………」


 その兵士は俺達を見ると報告をせず渋っていた。


「あぁ、彼らは私の弟とその婚約者達だ。 それに帝国の内情の話だろ?」

「はい、そうであります!」

「なら、彼らにも関わりがある。 だから構わず報告してくれ」

「はい、分かりました!」


 その兵士は再度敬礼をしてから、両手を後ろ手にして、足を肩幅位に開いた体勢を取った。


「ではご報告します! 現皇帝だったエドワード・ナルニア・ドライア皇帝が崩御なされて、新皇帝にランス・チャールズなる人物が帝位に就きました!」


 噂が確実なものになってしまった瞬間だった。


「………………確か、ランス・チャールズは帝国の騎士団長だったはずじゃないか?」

「はい! しかもその騎士団長は、皇帝がとても信頼していた人物で、実の娘と婚姻させたほどです!」


 そんな人物が反乱をしたのか………………信頼していた人物からの裏切りはとても心にくるな……………


「分かった、ご苦労さま」

「ハッ!」

「では引き続き情報を集めてくれ」

「分かりました!」

「今度は私の弟、カイト君達と共に帝国入りをして」

「分かりました!」

「と、言うわけでカイト君。 彼、ロイ君と共に帝国に入ってくれ」

「分かりました。 帝国の事はエルスも気にしていたので、自分も調べて見ます」

「そうしてくれると安心出来るな。 よろしく頼む、カイト君」

「はい」


 そして俺達は、情報を持ってきたロイさんと共に帝国領に入った。

お読みいただきありがとう御座います。

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