1ー3話
「すみません。聞きたいことがあるんですけど、ギルドにアデル村の近くに出る凶暴な魔物の調査、又、討伐の定期依頼として来たのですけど、何か変わったことってありましたか?」
白を基調とした少し立派な服装に腰に収まる袋を付けた金髪の青年は少し早い食事にきて席に座わり、カイトの父、料理人の格好をしたミゲルが注文をとりに来た時に聞いていた。
「うーん、そうですねー。私の知る限りいつもと同じで特に変わりは無いはずですよ?村長ならもっと詳しいはずです」
「そうですか。ありがとうございます。後で行ってみます」
そう言って青年はミゲルに注文をするのだった。
「父さん、ただいま」
ミゲルが注文を受け厨房に行くときに、カイトたちが戻って来た。
「おぉ、カイトお帰り。村長からカードを貰えたか?」
「うん!ちゃんと貰えたよ。この後、ノエルちゃんと遊んでくるね」
「分かっていると思うけど、危ないことはするなよ」
ミゲルはそう言って、厨房に入って行った。
「少年、カードを貰ったと聞いたが?」
二人の会話を聞いていた青年は、何気にカイトに話かけていた。
「うん、そうだよ。今日、7歳になったんだ。それに僕の名前はカイト、こっちの子はノエルちゃんだよ。おじさんは?」
「あぁ、すまない。俺の名前はジェイドで冒険者をしている。それとおじさんはやめてくれ。せめて、お兄さんと。まだ20歳だからね」
ジェイドはカイトに聞き返され、前半は普通に後半は苦笑いながら答えていた。
「うん、分かったよ、ジェイド兄ちゃん。ジェイド兄ちゃんは冒険者って言ってたけど、冒険者って何するの?」
「うん?あぁ、まず、貴族や平民に関係なく国民が、例えば………………魔物や盗賊に困っているとする。それを依頼として受ける施設がギルドだ。ギルドは他の国にもあるんだ」
ジェイドはカイトにここまでは良いか?と確認するように、一旦区切った。
「で、ギルドが受けた依頼を討伐してくれる人達が、冒険者って訳だ。あと、討伐だけでなく、他の国や街までの護衛や素材集め、探し物などもあるな」
そんな話を聞いたカイトは、少しウキウキ気分になっていた。
「へぇ~、おもしろそうだね。それでジェイド兄ちゃんはどうしてここに?」
「あぁ、この村の定期依頼を受けてきたんだ。あとで、村長に話を聞きに行くんだよ」
それを聞いたカイトは僕が村長の所に案内する、と言い出しジェイドは少し考えたのち、カイトに案内を頼むのだった。
三人でそんな話を、終わった頃に厨房からミゲルが料理を持ってきて、ジェイドは料理を食べながら、カイトとノエルに冒険者として廻った他の国や街の話を楽しく話していた。
その後、ジェイド、カイト、ノエルの三人は宿屋をあとにして、カイトとノエルは、ジェイドを村長宅に案内するのだった。
「こんにちはー。村長ー居ますか?」
村長宅に着いた三人は、カイトが扉をノックしながら大声で呼んでいた。
「うん、何だ?カイト、何か忘れたか?」
村長は扉を開けその人物を確認した。
「ううん、違うよ。ジェイド兄ちゃんを連れてきたんだよ。村長に聞きたいことがあるって」
「ジェイド兄ちゃん?」
村長はカイトから知らない人の名前を聞き返した。
「すみません。私のことです。ギルドから定期依頼を受けて来まして、その依頼の確認に来ました。」
「おぉ、そうでしたか。それでは中に」
村長はそう言ってジェイドたちを家の中に招き入れた。
村の近くにある森は山に囲われており気軽に村人達が魔物を退治して素材になる部分を採ったり、薬草採りに来る位の森だったのだが、その森に他の場所からの凶暴な魔物が流れて来て、腕に覚えがある村人達が凶暴な魔物を退治しようとしたが負傷してギルドに依頼をして退治して貰っていた、との話だった。
その後、ジェイドは村長から情報を貰っていつも道理の感じだと思い、そのまま調査に向かうと告げた。
それを聞きカイトが僕も行くと言い出し、ジェイドがダメだ、と言ったが、村長がしばらくの定期依頼と村人達からの報告で最近は凶暴な魔物が居ないし、凶暴な魔物が現れる前はたまに連れて行っていたから、案内位大丈夫だと言い許可させるのだった。
渋々ながらもジェイドは了承して、二人に、俺の言うを聞くんだよ、と念を押していた。
その後、村を出る際にジェイドは、腰に付けているマジックバッグから、ミスリルで出来ている飾り気がないシンプルな片手剣に、少し凝った模様があるミスリルの盾。片方の肩から胸を守るミスリルプレートを付けて出発した。
道中何の問題も無く三人は、村から歩いて1時間位の距離の森に来ていた。
三人は森の中を調査していき、途中、一匹で襲って来たウルフやベアーなどを難なくジェイドが討伐していき、調査が大体になり終わろうとしていた。
「うん、今回も凶暴な魔物はいなかった様だね。そろそろ戻ろうか。───うん?」
ジェイドがそう言って辺りを見渡した時に、そこに洞窟があり怪しい人影が二人、入って行ったのを見つけていた。
「なぁ、カイト。あそこに洞窟があるんだけど何だ?」
「え?洞窟?……………ノエルちゃん、あそこに洞窟何て無かったよね?」
「うん。無かったよ」
それを聞きカイトはそちらの方を見て、ノエルに確認した。
「二人共、コレを持って、今すぐ村に帰るんだ!この剣を二人に。そして、この瓶に入っているのはポーションだ。傷や体力を回復してくれる。この赤い石は、魔石、と言って呪文を唱えると火の魔法が出る」
ジェイドは怪しい二人がその洞窟で何かをしていると感じ、二人にマジックバッグから、自分と同じミスリルの片手剣2本と、青い15cmの細長いガラス瓶に入った液体ポーション4個に、10cmの大きさの赤い魔石1個を渡した。
「え!?ジェイド兄ちゃん!?どうしたの!?」
「え!?お兄ちゃん!?何が起こったの!?」
二人はジェイドがいきなり矢継ぎ早に言ったので、戸惑いながら物を受け取ったけど、何が起こったのか分からずにいた。
「あぁ、すまない。俺は今からあの洞窟を調べる。何かイヤな予感がするんだ。だから、二人は今すぐ村に帰るんだ。」
「う、うん分かったよ」
「じゃあ、良いか?その魔石の呪文は、火よ、来たれ。だ」
そう言い放ちジェイドは、近くに魔物の気配を感じ無いのを確認すると、二人に帰るのを催促して、二人がその場から見えなくなったのを確認してから洞窟に入るのだった。
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