プロローグ
『───────フム。どれくらいの時間が経った?』
そのモノは、永き眠りから醒めた。
『残り少ない力でよくもまぁ、頑張ったものだ』
そのモノは、自らの傍らで目を閉じて磔られているモノに向けた言葉であった。
『──────力も対して持っていなかった様だしな』
そのモノは、闇を纏っている状態の異形の手を握ったり、開いたりして、闇を操っていた。
『コイツの………………神の力を授かりし者から奪うだけの事』
そしてそのモノは、磔られているモノの拘束を解いた。
磔られていたモノは、目も開かずに直立不動のままで居た。
『とりあえず、コイツで様子を確かめるか』
そのモノは、闇を纏った異形の手を、直立不動のままで居るモノに闇を放ち、そのモノを包み込んだ。
そして闇が、直立不動で居るモノの中に入っていく。
闇を取り込んだそのモノは、金髪が漆黒の髪になり、漆黒のローブを纏っていた。
そして目を開いたその瞳は、漆黒で虚ろな瞳をしていた。
『こんなモノだな』
そのモノが、闇を纏った異形の手を軽く振り払うと、闇を取り込んだモノは、闇を足元から出して、姿を包み込み姿を消した。
『さて。神の残りの力を手に入れたら、こんなクズ共の居る世界は消滅させなければな』
そのモノは、遠くを見ていた。
そのモノは、魔神。
永き眠りから醒めた世界を滅ぼす存在。
そのモノの根源は──
お読みいただきありがとう御座います。
3章のはじまりです。