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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第2章 再会、そして~
52/111

2ー36話

『ヒック…………ヒック…………ヒック…………』


 ん? 誰かが泣いている?


『おとうさん…………おかあさん…………どこに行ったの?…………ヒック…………』


 声からして子供のようだ。 でも、どうして子供の声が?


『ひとりに、しないでよ……………』


 すごく寂しそうな声だ。 他に誰も居ないのか?


『だれか……………たすけて……………』


 それなら俺が──


※※※


 手を差し伸べていた。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()() 


 そして、維持出来なくなり手を降ろした。


 目を開くと知らない?モノが確認出来た。

 いや、知っている。天井だ。

 しかも、()()に泊まった時に見たシンプルだけど、高級感漂う造りの天井。


 先程のは一体? それに………


「どうして王城に?」


 確認するように、呟いていた。


 しかも、()()()()()()()をだいぶ前に経験したな?


 と、言うことはどの位の時間が経ったのだろう。


 まぁ、身近な所から確認するか。


 選考会が終わり、初めて王城に来て泊まった部屋とは違う、天井だけで無く余計な装飾品が置かれていない、シンプルだけど高級感漂う造りの部屋のようだ。



「なぁ!?」


 そして次に確認したのは、先程重たいと感じた手だ。


 信じられない事に()()()()()()()()()()

 最低限の肉が付いているだけで、骨の後が出ている位に。


「どうしてこんなに痩せ細っているんだよ!?」


 しかも、両腕共に。


 身体もだるく思うように動かない。


「参ったなぁ。 俺の身体に一体何が起こったんだ?」


 身体を起こして状況把握でもする為にと思ったのに、あまりの怠さにどうする事も出来なかった。


 でも、覚えている限りではアグルを逃し、ノエルは無事だったはずだ。

 それに、リーナとエルスも来ていたはず。



 と、大体覚えている限りの事を思い出し終えた時に、扉が開いた。


 現れたのは、陶器らしき桶を持ったノエルであった。



「おはよう?になるのかな?」

「カイ君!!」


 ノエルは直ぐさま近寄り、桶をベッドの脇にある机に置いて、抱きしめてきた。


「良かったよぉ~カイ君! 二十日も目覚め無いから心配だったんだよっ!!」


 二十日も!? 思っていた以上に眠っていたみたいだな。


「それよりもノエル、結構苦しいから離れてくれよ?」

「あっ!? ご、ごめんね」


 離れたノエルは涙を流していた。


「で、色々と状況が分からないのだが。 まず知っているなら教えてくれ。かなり身体が怠く、手も痩せ細っているんだけど何か知らないか?」

「えっ!? う、うん、ちょっと待ってて」


 そう言ってノエルは自身のマジックバッグから、手鏡を出して俺を映した。


「えっ!?」


 手鏡で見た俺自身の顔は何と、手と同じ最低限の肉を残して痩せ細っていた。

 そして()()は肩位まで伸び、毛先の部分のみが()()に染まっていた。


「ノ、ノエル! 俺の身に何が起こったんだ!?」  

「う、うん。それはね──」



※※※


「と、言う訳なの」

「…………………」



 どうやら俺はあの聖なる力で容姿、と言っても髪が伸びた位で、その強大過ぎる力の反動で、魔力が足りなかった所為か身体の肉がそげ落ち(エルスの推測)、しまいには十日間熱を出し、目覚めるまでの十日間は熱は引いたが意識が戻らなかったようだ。



 つまり、魔力が充分にある中で使えば、身体が痩せ細る事も無かったって事か?



 そして都市の方は、魔物が暴れ廻った所為で建物はほとんどが壊れてしまい、魔物にケガを負わされたり、避難の時にケガをしたりした住民のケガは、ノエル、リーナ、エルスの3人が俺の覚醒?に伴い、眷族の加護の能力が向上したらしく、3人で都市全体に行き渡る程の回復魔法をかけてキズを治したとの事。



「それで他の皆はどうしてるんだ?」

「エルスちゃん、リーナちゃん、先生はグラティウルで復興の手伝いをしているよ。王様達もその関係で忙しくしているし」

「ん? ジアンとルセは?」

「ん、うん、まぁ……………」


 ん?どうしたんだ。随分と歯切れの悪い返事をするな?


「……………それならジェイド兄ちゃん達はどうなった? 居るのか?」

「ううん。居ないよ。 念話も繋がらない。 王様もお姉ちゃん達の行方を調べる為に、騎士や魔法士の人達で編成した捜索隊を、とりあえず二人で対処しないといけないと報告があって向かった場所に探しに行かせているの」


 捜索隊が見つけられなかった時は、やはりアグルが言っていた場所に居るのか?



──グキュゥ!──


 ずっと眠っていた所為せいで腹から音が聞こえてしまった。


「と、すまんノエル。 何か食べさせてくれないか?」

「うん。 今の身体の状態のカイ君が起きた時、何時でも食べられるように、お粥を作っておいたから、今出すね」


 ノエルはまたマジックバッグから陶器の器を出した。


「食べさせてあげるね?」

「あぁ手間をかける」

「いえいえ、好きでやっているので。はい、アーン」


 と、言われたので口を開いて食べさせてもらい、ノエルは満面の笑みを浮かべいた。


 あぁ、空きっ腹に染み渡る。 ほんの少し味付けしてあるから美味しいし、改めて生きてると実感したよ。


「相変わらず美味しいよノエル」

「ありがとうカイ君。はい、アーン」


 その後も食べさせてもらい、腹が満たされた俺は眠気がきて、眠りについた。


※※※


 翌日、満足に動けない俺の世話をノエルが甲斐甲斐しくしてくれた。


 そして気になった事を確かめたくて、ステータスカードを久しぶりにノエルと共に視た。


【カイトのステータス】


名前 カイト 10歳 男 Lv ???

種族 神族

職業 転生者 冒険者 学生 創造神 神聖剣士 神聖魔導師 戦神から祝福されし者

称号 Aランク 剣武神 超越者 極めし者 全属性を使える者 戦神からの祝福


体力     1000┃50000(現在低下中)

魔力    50000┃50000


筋力      50(現在低下中)

守備力     0 (現在低下中) 

魔法力   50000

魔法耐性  50000

知力    ???

素早さ   5000

運     ??? 


スキル 剣術Lv10 短剣術Lv5 体術Lv10 槍術Lv5 火属性Lv10 水属性Lv10 風属性Lv10 土属性Lv10 光属性Lv10 闇属性Lv10 無属性Lv10 雷属性Lv10 氷属性Lv10 隠蔽Lv10 鑑定Lv8 念話 創造神の御業みわざ神力しんりきLv5 神力しんりき付与Lv5 神力しんりき経験値アップ【極】 眷族への加護【大】 体力・魔力回復【大】 神格化】 アイテム創作 戦神の祝福


 案の定。とんでもないことになっていたよ。


「…………………」

「…………………」


 ノエルも流石に黙っているよ。


 ふぅ~。 まぁ気を取り直して調べてみるか。まずは──


神族・・・【複数居る聖なる神、悪しき神、又は眷族が分類される。】


 うん、まぁ当たり前なのかな?


創造神・・・【この世界を創りし神・最高神】


 前に視た時にあった、どの位の力かの継承が無いところを視ると、完全に俺の力になってしまったみたいだな。 不本意ながら。


神聖剣士・・・【神族が剣を扱う事に優れている】


神聖魔導師・・・【神族が攻撃・回復魔法を扱う事に優れている】


 うん、これも普通かな?


戦神から祝福されし者・・・【戦闘系スキルでどれか一つスキルLvを最大にした者。に贈られる】


 うんまぁ、次いでに一緒に視てみるか。


戦神からの祝福・・【自身より高位の創造神様を祝福したかった】


 あ、ありがとう御座います?かな。


戦神の祝福・・・【戦闘系スキルLvを最大まで上げた褒美に、魔力、魔法力、魔法耐性を除く、身体能力の上昇をかなり上げる・常時発動型】


 なる程。これが戦闘中の時に力が高まった正体か。


剣武神・・・【剣術と体術を極めた、神、又は眷族の事】


超越者・・・【限界を越え、数値で表せない程の者】


 と、言うことは能力値の数値が出ないのはそういう事か。


 そうすると、現在低下中ってのは俺が痩せ細っているからと言う事になるのかな?


 それにスキルの大半が最高値まで上がっているしな。


 そして肝心要の神格化は…………


神格化・・・【神聖な波動の魔力を纏い、人ならざる者、神へと至る事が出来る・任意発動型】


 はぁ~。やっぱりか。


「…………カイ君、名実共に本当に神様になっちゃったんだね」

「そうみたいだ。 ノエル達はどうなんだ?眷族扱いだったはずだよな?」

「うん、おかげさまで私()も神族になっていたよ」


 私達もか。リーナとエルスも神族になったと言う事だな。


 そう言ったノエルは、ステータスカードを出して視えるようにしていた。



【ノエルのステータス】


名前 ノエル 10歳 女 Lv 500

種族 神族【眷族】

職業 転生者 学生 冒険者 創造神の眷族 神聖魔導師 一流武闘家 最強の家事婦

称号 Aランク 全属性を使える者 限界を越えし者 極めた者 


体力    20000┃20000

魔力    40000┃40000


筋力    10000

守備力   12000

魔法力   20000

魔法耐性  20000

知力    2000

素早さ   5000

運     200


スキル 隠蔽Lv10 鑑定Lv7 剣術Lv5 体術Lv8 短剣術Lv4 杖術Lv3 槍術Lv3 火属性Lv8 水属性Lv8 風属性Lv8 土属性Lv8 光属性Lv8 闇属性Lv8 無属性Lv8 雷属性Lv8 氷属性Lv8 念話 創造神の加護【大】 家事全般Lv10


 

「ノエルのステータスも変わってる所があるな?」

「うん。 ほとんどがその名前の通りみたいだけどね。能力値だけで無くスキルLvも上がったからかな」


 眷族だから、魔法のスキルLvも人の使える限界を越えたんだな。


「それでこの“家事全般”と“最強の家事婦”と“極めた者”ってなに?」

「あぁ、それはね」


 詳細を視せてくれた。


家事全般・・・【料理や掃除など家庭的な事が出来る・補助系スキル】


最強の家事婦・・・【家政婦の最上位。家事全般だけで無く戦闘までこなせる最強の存在】


極めた者・・・【補助系スキルLvを最大まで上げた者】


「改めて視た時にいつの間にか増えていたの」

「でもコレってどういう事?」

「うんとね、これもエルスちゃんの推測らしいんだけど。カイ君がもし創造神の力を完全に継承したら、カイ君が思っている事が現れたからじゃないかなって。 どう心当たりある?」


 確かに以前そう思った事があったけど、まさか!?


「まさか!? もしそうだとするならほとんどの事が可能だぞ!?」

「それともう一つ。極々小さな変化もたらす位じゃないかなって言っていたよ」


 あぁ、それなら納得かな?


「でもそういう事は、カイ君が全快になってから色々試した方が良いからね?」

「あぁ、分かったよ」



 それから雑談をして過ごしたが、ジアンとルセの事を聞いてもはぐらかされてしまった。


 アイツらに一体何が起きたんだ?


※※※


 目覚めて三日目にエルスとリーナが顔を見せに来た。


「御免なさいねカイト。 ノエルから貴方が目覚めたのは聞いていたのだけどすぐに来れなくて」


 動きやすい服装のエルスとリーナは二人して、申し訳なさそうな表情を浮かべいた。


「仕方ないよ。 ノエルから聞いていたけど、被害にあったグラティウルの復興の手伝いをしているのだろ?」

「ありがとうカイ。まぁ、それだけじゃないけどね」


 リーナは含みのある笑顔を浮かべいた。


「それはそうと、ジアンとルセはどうしたんだ? ノエルに聞いてもはぐらかされるんだが?」


 ノエルは苦笑いを二人に向けてしていた。


「それは私が口止めをさせていたからよ。 聞いたら今の貴方が無理をするからね」

「……………どういう意味だ、エルス?」

「私達が魔神信仰教団の者と戦ったのは知っているわね?」

「あぁ、ノエルから聞いたよ」

「その時にジアン君達も遭遇したらしいのよ、教団の者に」


 もしかして!?


「相手は獣人族だったそうよ」

「獣人族って確か…………」

「えぇ、人族より身体能力が格段に高いわ。 そしてジアン君の相手はスピードに特化した獣人だったそうよ」


 まさか…………ジアンの奴…………… 


「そうよカイ。 貴方が思った事をジアン君はしてしまったのよ。 それでルセはジアン君の世話をしているの」

「…………………どうしてジアンは俺との約束を破ってまで…………」

「きっと、貴方の為と思ったのね。 ジアン君本人は無意識で気付いていないみたいだけど。 あの子、直感が優れているから、その相手が厄介になると思ったんじゃない」


 エルスの言う通りだけど………………アイツ…………


「………………ジアンはどこに居るんだ?」

「どうするつもり、カイト?」

「俺がジアンを治す! きっと神格化した状態の魔法なら治せるはずだ!」

「ダメよ! 今の状態の貴方の身に何が起こるか分からないのよ! 危険だわ!」


 エルスだけで無く、リーナ、ノエルも悲しそうな表情を浮かべいた。


「頼む」


 エルスの瞳を見て強く願った。





「………………………やっぱりダメだったわね」


 しばしの沈黙を破ったのはエルスであった。


「御免なさい二人共」

「仕方ないわエルス。昔からなのだから」

「そうだね。 昔から、“こう”っと言ったらどうしても貫き通す性分だからね」

「カイト。 今、ジアン君を連れて来させるわ」


 エルスは扉に向かい、外に控えていたメイドさんに話していた。



 それからジアンが来るまでの間は、3人して昔話を持ち込んで俺をイジってきた。


 いや、本当御免なさい。勘弁して下さい。



 そんな雑談をしている内に、扉をノックする者がいた。 

  

 どうやらジアンを呼びに行かせたメイドさんが戻って来て、ジアンとルセが部屋に入ってきた。


 ルセに支えられながら、目の位置の頭部に包帯を巻いたジアンがいた。


「カイト君……………」


 ルセは悲しそうな表情を浮かべいた。


「よぉ、カイト。 無事か?」


 目が見えない事を微塵も感じさせない程、明るい声音だった。


「ジアン、お前………………」

「ん? どうしたんだよカイト。元気ないな?」


 そして二人は近くに腰掛けた。


「カイト君……………」

「心配するなルセ。 俺が何とかするから」

「ん? 何をするんだよカイト?」

「ルセ、ジアンの目元に巻かれている包帯をとってくれ」

「うん」


 ルセはジアンの目元に巻かれている包帯を外していった。


 そして包帯が取れたジアンは目を開いた。

 開かれたその瞳には、光が無く暗かった。失明しているのが嫌でも分かった。

 

「カイト、一体何をするんだよ? 流石のカイトでも魔力による失明は治せないだろ? 前に言っていたじゃ無いか?」


 ジアンは悲しみを感じさせない程に、明るく話してきた。


「いや。今の俺なら治せるはずだ!」 

「どういう意味だ?」


 そんなジアンを余所に、エルス、リーナ、ノエルの3人を見渡して、頷いてきたのを確認した。


「カイト君?」


 目を閉じ深呼吸して、身体の内側を探った。


 どの属性よりも明らかに異質、力強く神聖な波動の魔力に手を差し伸べ掴むような感じで、その力を解き放った。


「カイト君!? その姿は!?」


 ルセの驚愕の声が聞こえた。 


「ど、どうしたんだよルセ!? 一体カイトに何が起きたんだよ!?」


 目が見えず、状況が分からないジアンは、やや身構え始めていた。 


「心配するなジアン」


 神聖な魔力を纏った手をジアンに向けてかざした。


 状態異常回復魔法【キュア】を使った。


 白銀の光を放ちながらジアンの身体を包み込んだ。


「カ、カイト君!? コ、コレは!?」

「この姿の状態の魔法ならきっとジアンの目を治し、再び見えるようになるはずだよ。それに右腕も、な?」


 ルセは心配な表情を浮かべ、胸の前で祈るように両手を合わせていた。


 ジアンの身体を包み込んでいた光が収まった。


「どうだジアン?」


 その言葉を聞いたジアンは驚愕の表情をしていた。


「カ、カイト!? お前、カイトなのか!?って俺、見えてる!? 見えてるよ!? それに、右腕も治っている!?」

「無事に治せて良かったよ」


 無事にジアンの目と右腕も治せたのを確認して神格化を解いた。

 右腕も魔力による過剰負荷で、動かないと聞いていたから本当に良かった。


「あ、ありがとうカイト君! ジアンの目を治してくれて!」

「あぁ、よかった──」


 よ。と言う前に、意識を手放した。


お読みいただきありがとう御座います。

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