閑話
「さぁリーナとノエルロールさんを確保しに行きますわよ!」
「分かったわ」「おー!」
さぁ、カイトがハーレムを飽きないように“属性持ち”を増やしに行きましょうか!
パーティーが終わった翌日、私達はカイトに悟られない様に、朝食後に早々とギルドに来ていた。
ギルドに入ると、早々に酒を飲んでいる冒険者が数人いたけど、後々しか関係無いので無視して目的の人物を探した。見渡すと、ちょうど良く受付が終わって並ぶ人がいなかったので、直ぐさま行動した。
「おはよう御座います、ノエルちゃん、エルスちゃん、リーナちゃん」
「「「おはよう御座いますロールさん」」」
「それで本日はどうしました?3人だけですか?」
ロールさんは私達の後ろに他の誰も居ないのを確認してました。因みにロールさんには王族と公爵家の人間と知っても尚、普通に接してくれて居ます。
「えぇ実はロールさんに話が会って来たのですわ」
「私ですか?」
キョトンとして首をかしげて可愛らしいわね!やはり、逸材だわ!
「えぇロールさんは現在恋人は居ないですよね?」
「い、居ないですけど、行きなりなんですか!?」
「いえ、そんなロールさんに紹介しようかと思いましてね」
「えっ!いい人居るんですか!紹介して下さい!」
目を輝かせて、可愛らしいわね、本当に。
「それは私達のカイトですわ!」
「えっ!?カイト君!?どうして?」
呆れた表情になってしまったわ。それにしてもコロコロと表情が変わって面白いですわね。
「ロールさん!この先素敵な出会いがあるか分からない恋より、身近な出会いでの恋の方が宜しいのでは無くて?」
「そ、それはそうですけど。でも、どうしてカイト君を?すでに貴方達が居るでは無いですか?」
「私達が居るのは置いといて。それよりどうですの?こんな昼間から飲んだくれている冒険者達に期待でもしていますの?」
そう言って、飲んだくれている冒険者達に聞こえる様に指差しながら言いました。ロールさんの逃げ道を塞ぐために。
「そ、それは─」「やいやい!それは俺達の事かよ!」
「あっ、バカ!その方達に絡むな!」
「ダメだ、アリャ死んだな!」
ふっ。目論見通りに絡んで来たわね。ましてや、私とリーナはともかく、ノエルの顔を知らないとは最近ここに来た冒険者の様ね。それならそれで、糧になってもらいましょうか。
「もちろん貴方達の事よ!それ以外に誰か居る?」
「あぁん!子供だからといってもう容赦はしねぇぞ、覚悟しな!」
「ふっ。掛かって来なさい!」
その他の冒険者達がノリに乗って私達に襲って来たけど、何ごともなくお仕置きをしました。ギルド内で。ギルマスのバーン様が不在で助かりましたわ。
「さぁまだ何か不満があるかしら?」
「「「「「「いえ!ありません、姐御!」」」」」」
「宜しいですわ」
ふっ。男の弱点何て脆いモノなのよ。因みに、私が姐御でリーナが姐さん、ノエルがお姉様と呼ばれてしまったわ。ノエルってば私とリーナがお仕置きした冒険者を回復させるのだからお優しい事ですわ。
私は仁王立ちになり、ギルド内に居た冒険者達を後ろに手を組ませ軍隊の様に並ばせました。
「それでは。 貴方達は一体何なのかしら!」
「「「「「「自分達はクズ野郎です!」」」」」」
「ただのクズなのかしら!」
「「「「「「力の差も分からない見境のないクズ野郎です!」」」」」」
「そんな貴方達の役目は何かしら!」
「「「「「「ロール姉さんをクズ野郎から守ることです!」」」」」」
「全員なのかしら!」
「「「「「「カイトの兄貴は別です!兄貴の女ですから!」」」」」」
「女ではない! お嫁さん!もしくは奥様よ!」
「「「「「「すみませんでした! 兄貴のお嫁さんです!」」」」」」
「宜しいですわ! そんな貴方達は私がこれからも女性の何たるかを叩き込んであげますけど、施しを、寵愛を受けたいかしら!」
「「「「「「はい!受けたいです!」」」」」」
「私に忠誠を誓うか!」
「「「「「「はい、誓います!これからよろしくお願いします姐御!」」」」」」
「私だけか!」
「「「「「「姐さんとお姉様もよろしくお願いします!」」」」」」
「宜しいですわ!それでは今日は飲んでよろしい!後は他の冒険者達にも徹底するように!解散!」
「「「「「「はい!」」」」」」
ふぅー。流石に疲れましたわ。慣れないことはするモノじゃ、ありませんわね。
「さぁロールさん、どうしますの?このギルドに居る内は、絶対出来ませんわよ?」
「ど、どうしてそこまでしてカイト君を勧めるのですか!アナタ達の大切な人では無いのですか!」
「私達に取って大切な事だからですわ!それにロールさんもいつ結婚出来るかも分からない相手を待つよりは、確実にお嫁さんに貰ってくれることが決まった方が宜しいのでは無くて?」
「で、ですが、私、こう見えて21ですよ?カイト君が成人して結婚する時には27の行き遅れですよ?そんな相手はカイト君はイヤじゃ無いですか?」
「ふっ。ロールさん、私達のカイトを甘く見ては困るわね!そんな些細な事を気にする人では無いわ!現に一人、ロールさんと同じ年齢の人を婚約者にしましたから!」
「だ、誰ですかその人!? ど、どんな人何ですか!?」
やっと食い付いてくれたわね。
「私達の学園の教員で、カイト達のクラスを受け持っている先生よ」
「学園の教員でクラスを受け持っている?………」
「その人は真っ赤な髪をポニーテールしてモデルの様なスタイルをしているわ」
「真っ赤な髪………ポニーテール………モデルの様なスタイル………」
「その人の名は、ナリア・ヤハウェ先生です!」
「ナリアちゃん!?」
あ、あれ?思っていたのと違う反応をしてくれましたわ。
「ナリア先生をご存じなのですか?」
「ご存じも何も、私の幼馴染みだよ!ナリアちゃんがギルドでの依頼で失敗した時は慰めてあげたよ!」
「ま、まぁ、そう言う訳でナリア先生はカイトの婚約者になりましたから、それでロールさんも如何かしら?」
「えー。ナリアちゃんが本当に承諾したの?ちょっと信じられないなぁ!本人の口から聞かないことには、幾ら姫様でもちょっとなぁ」
「分かりましたわ。それなら本人を連れて来て、確認が取れましたら、ロールさんもカイトの婚約者になって貰いますわよ?」
「い、良いですよ!カイト君の婚約者にでも愛人にでもなってあげますよ!あの、男は近寄るな、の雰囲気を依頼を失敗してから出していたナリアちゃんが本当にカイト君の婚約者になって居たらですけどね!」
ふっ。勝ちは見えたわね!
「それじゃあ、ノエル申し訳ないけれど、王城に行ってナリア先生を連れて来てくれ無いかしら?通門でパパッと」
「オッケー!…………それじゃあ、直ぐに戻って来るね!」
ノエルは手かざして、光の塊である通門を出して入って行った。
通門はそのままになっており、少ししてからノエルがナリア先生を連れて戻って来た。
「お待たせー!」
「こ、ここは本当にギルドなのか!?」
まぁナリア先生が驚くのも無理は無いですわね。
「ナリアちゃん」
「ん? ロ、ロール!?そしたら本当にギルドに一瞬で王城から来たのか!?」
「そうですよ」
一応、ノエルから説明を受けていただろうけど、自身で体験しないと納得しないモノですからね、こればかりは。
「それで先生、ロールさんに言って欲しいのですけど?」
「な、何を?」
「??? ノエルから説明は受けましたか?」
「イヤ何も。ただ、付いてきて欲しいとだけ」
ノエルの方を見るとあさっての方を向いていましたわ。面倒くさがりましたわね。
「それでは説明を。ロールさんにナリア先生がカイトと婚約したことを言って欲しいのです!ロールさんがナリア先生の口から聞かないと信じられないと言い出しましたから!」
「ナリアちゃん!本当にカイト君と婚約したの!姫様が言っているのは本当なの!」
あらあら、先生ったら顔を赤らめ出しましたわ。
「ほ、本当だ!カイトにわ、私を貰ってくれる様にい、言ってカイトが承諾した!」
「そ、そんなナリアちゃんが婚約する何て」
ロールさんったら、絶望の表情を浮かべていますわ。
「し、仕方ないだろ!カ、カイトに聞いたら、大切にしてくれるって言われたら、じょ、女性として嬉しいじゃ無いか!」
「─────する。そしたら、私もカイト君と婚約する!カイト君のお嫁さんに私もなる!」
よしっ!ロリ巨乳属性ゲット!
「なっ!?ロ、ロールもカイトの事がす、好きだったのか!?」
「私だって、カイト君が初めてギルドに来たときは可愛らしくて良いな、と思っていたけど、ノエルちゃんが居て、終いにはエルスちゃんやリーナちゃんまで現れてカイト君とイチャイチャとしている様が羨ましかったのよ!」
つまり、嫉妬していたのですね。
「落ち着いて下さいまし二人共!カイトは身内のケンカはイヤがりますわよ!」
私の呼びかけに二人は落ち着きを見せた。
「晴れてロールさんもカイトの婚約者になれた事ですし、これからもよろしくお願いしますわ」
「は、はい!よろしくお願いします!皆さん!」
フフフッ。これで六人目ですわね。まだまだ増やしますわよ! 私の胸騒ぎ?予感?らしいモノがそう告げていますから!
その後は、また冒険者達を集めて、ナリア先生を紹介してそのまま先生の呼び名になり、冒険者達をもう少し教育してから目的は果たしたので皆でノエルの通門で一気に王城に帰りました。
※一方、お昼頃のカイトはと言うと─
【カイト視点】
セリカ姉ちゃんからアイテム創作の話が聞けたし、これでジアンとルセに俺達と同じマジックバッグが創ってやれるな!いつまでもギルドからの報酬で貰った金貨で買った市販の大して容量が大きくないマジックバッグを使わせておくのもどうかと思っていたからな。
はぁー。午後から何しよう?ジアンはジェイド兄ちゃんと稽古して俺は王様にジェイド兄ちゃんとの稽古は止められているし、ノエル、エルス、リーナは朝食後に何処かに出掛けたらしいし、終いにはナリア先生もいつの間にか何処かに行ったみたいだし、セリカ姉ちゃんはルセに何か用があるみたいだしな。久しぶりに暇になった。
そうだ!明日出発だからギルドに挨拶だけでも為とこうかな。
よしっ!そうと決まればさっさと行くか!
ギルドに行く途中、せっかくだからまだ公で無いにしろいつの間にか婚約したノエル達に指輪を5人分を買うためにアクセサリー屋に寄り、王都では一番の店で、その店で最高の品のガーネットが嵌めてある指輪を買ったがイマイチな出来な物であった。店員に話を聞いたら、そういう事に長けているドワーフが居ないためとのことだった。そう言われると武具がイマイチな出来しか無かったりしていた。
俺はいざって言うとき刀の【虚空】が有るから余り気にしなかったけど、かなり重要な事だったんだと今更ながら思った。
まだ先の事だけど、こんなイマイチな指輪を結婚指輪にしたくないからどうにかしないとイケナイと思っている内にギルドに着いた。
ギルドに入った時に、違和感を感じた。いつも飲んだくれている冒険者達がいるのだが、その姿勢がおかしかった。
いつもだらけて飲んでいるはずなのだが、何故か姿勢正しく飲んでいたから。しかもそこに居た冒険者全員が。
「「「「「「あっ!」」」」」」
俺の姿を確認した顔見知りの冒険者達が他の冒険者達にも声を掛けてから、冒険者全員が一斉に俺の眼前に手を後ろに組み、軍隊の様に並んでいた。
「「「「「「お疲れ様です、兄貴!」」」」」」
「………………………はぁぁぁぁぁぁあっ!?」
一体どういう事!?いつもなら無視しているのに。それに兄貴って何だよ!
「「「「「「兄貴!ロール姉さんが待っております!」」」」」」
そう言って、ロールさんが居るであろう受付までの道を冒険者達が左右に別れて作った。イヤ、一体何があったの?
「あの~一体何があったの?」
「「「「「「自分達の事は良いので、お構いなく! それよりロール姉さんが待っております!」」」」」」
スッゲぇ気持ち悪い位、声が揃っているよ!
どうしようも無く仕方ないのでそのまま進んだ。
「カイト君!」
ロールさんが満面の笑みを浮かべていた。
「こ、こんにちは。 あの~これは一体何があったのです?」
「ウフフッ!カイト君これからもよろしくお願いしますね!」
イヤだから、一体何があったのさ! 後ろの方では冒険者達が拍手喝采しているし、どうなっているの!
「あの~一体何があったのです? 全く理解出来ないのですけど?」
「??? エルスちゃんに言っていたのでは無いの?私もカイト君のお嫁さんにしてあげるって言っていたよ?」
「…………………………はぁぁぁぁぁあ!?」
「えっ!?」
オイオイオイオイ!?一体何がどうなってロールさんをお嫁さんと言う話になるんだよ!
「えっ?ち、違うの?エ、エルスちゃんがカイト君のお嫁さんはどうって強く押して来るし、ナリアちゃんもカイト君と婚約したって聞いたから……」
最後の方は力無く発していた。
「色々聞きたいですけど、まず“ナリアちゃん”ってナリア先生の事知っているのですか?」
「う、うん。ナリアちゃんとは幼馴染みなんだよ」
「それがどうしてナリア先生が話に出て来るのです?」
「だ、だって彼女が10歳の頃に両親が病気で亡くなり、それから彼女は私がここのギルドで働くまで会うことが無かったけど、彼女がギルドの依頼を失敗した時は慰めてあげたんだよ。それから男の人は近寄るなって雰囲気を出していたそんなナリアちゃんが婚約したって言うから、行き遅れの年齢になってもカイト君なら絶対に貰ってくれるって言うから………それなら………私も………って………」
最後はまた力無く発していた。
ふぅー。全ての元凶はエルスだな!王城に帰ったらお仕置きしないとイケナイな。
「カ、カイト君が………だ、ダメなら………ヒック………わ、私……ヒック………も、もう………ヒック………一緒………ヒック…………独り身です………ヒック………」
あーー。大体の事情は分かってしまった。エルス、逃げ道を塞ぎやがったな!冒険者達の言葉使いと雰囲気がおかしい理由がその証拠だ!ロールさんが泣き出す位の仕打ちをしやがって!
「ロールさん」
「は、はい………ヒック………」
「俺で良いんですか?」
「は、はい、カイト君が良いです!………ヒック……」
「分かりました。そしたら左手を出してくれますか?」
「??? は、はい」
ロールさんは分からずにいたが、素直に左手を出してくれた。俺はそっとロールさんの左手を掴み先ほど買った指輪は薬指にはめた。
ノエル達と同じ指の太さで良かったぁ!まだ見ぬ婚約者よゴメン!
「こ、これは!?」
「俺からの婚約指輪です。先ほど買ったものがまさか最初にロールさんにはめるとは思わなかったですけどね」
「カ、カイト君!ありがとう御座います!私とっても嬉しいです!」
ロールさんは先ほどまで泣き顔だったが、左手にはめた指輪を満面の笑みを浮かべながら見てお礼を言ってきた。そして後ろではまた冒険者達の一部涙ぐむ者がいたが拍手喝采をしてきた。
「それでロールさん、首謀者はエルスでしょうけど、他は誰が居ましたか?」
「ノエルちゃんとリーナちゃんです。ナリアちゃんは私が本人の口から聞かないとって言いましたからノエルちゃんが事情説明に連れて来ましたけど」
「分かりました、ありがとう御座います。そしたら後ろに居る冒険者達はエルスが?」
「はい、エルスちゃんが主に教育していきました」
はぁー、やっぱりか。そんな騒ぎを起こしたらバーンさんがエルス達を叱っているはずなのに、それが無いところを見ると不在の時に問題を起こしやがって、考えただけで先がコワいよ。
「それでカイト君、今日はどうしたのです?事情を知って来た訳では無かったみたいでしたけど?」
「あぁ、忘れるところでした。実は明日からグラティウルに向かうことになりまして、その挨拶を。まぁ何かありましたら通門で戻って来れますけどね」
「どうしてグラティウルに?カイト君まだ学園の授業がありますよね?」
「実は、今回の剣魔武闘会の代表者になりまして、それで学園長と王様がここに居ても仕方ないとの判断で」
「あぁ~なるほど!」
「そういう訳でしてしばらく王都を離れますので」
「はい、分かりました。それでは気を付けて行って下さいねカイト君」
「はい」
「「「「「「兄貴!お気を付けて!」」」」」」
お前らまだ待機していたのかよ!
その後は、すぐに王城に帰りエルス、リーナ、ノエル、ついでにナリア先生を捕まえてエルス、リーナ、ノエルの目の前でナリア先生の左薬指に指輪をはめて見せびらかして、自分達もしてくれると期待していただろうが、ギルドでの事があったからお仕置きをするために3人にはしてあげなかった。
先生は照れながらも素直に受け取ってくれた。
3人は絶望的な表情を浮かべて、終いには泣き出し、勝手な事はしないと約束させてから3人に指輪をはめてあげた。その際にケロッと泣き止んだから、嘘泣きだったかも知れなかったと改めて思った。
もう少し、お灸をすえたら良かったかもしれなかった。俺もまだまだ甘いな。
お読み頂きありがとう御座います。
次回は連休中に投稿予定です。