2ー18話
「それにしてもデッケぇ城だよなぁ~」
「そうですわね、なんてったって王都で一番の敷地を有していますから、当然ですわね」
王城に着いて見た俺の呟きに応えたのは馬車の中での甘えた感じから一転して凛とした雰囲気に戻ったリーナだった。それにしても切り替わりがスゲェな、恐るべし。
「カイト、リーナ」
呼んだのはエルスで手招きをして呼んでいた。エルスの傍には執事服を着た長くも無く短くも無い白髪をオールバックにして良い感じにシワと鼻の下に白い髭を生やした精悍な顔立ちの長身の男性がそこに居た。
「お初にお目に掛かります。私は王城にて執事筆頭をさせて頂いてます、執事のアルフと申します。以後お見知り置き下さいませ、ナリア様、カイト様、ノエル様、ジアン様、ルセ様。リーナ様はご壮健で御座いますか?」
最後に優雅なお辞儀をしてきた。隙が無いほど洗練された佇まいが印象的な人だ。
「はい、大変健やかに過ごしておりますわ、爺や」
「それは何よりで御座います」
リーナは最後にスカートの裾を軽くつまみ上げ挨拶をして、アルフさんが又、優雅なお辞儀を返した。
「改めまして、お初にお目に掛かります。私はナリア・ヤハウェと申します。教師をさせて頂き、この度はエルスティーナ王女殿下とこの子達の引率を任されました。よろしくお願いします、アルフ様」
ナリア先生は最後に優雅なお辞儀をしていた。見事としか思えない佇まいだった。アルフさんもお辞儀を仕返していた。
その後にこちらからも名乗ることにした。ジェイド兄ちゃんとセリカ姉ちゃんに教え込まれた作法で。
「改めまして。お初にお目に掛かります。私はカイトと申します。エルスティーナ王女殿下とは親しくさせて頂いております。拙い所がありますがよろしくお願いします、アルフ様」
そして最後にお辞儀をした。
「お初にお目に掛かります。私はノエルと申します。私もエルスティーナ王女殿下とは親しくさせて頂いております。拙い所が御座いますがよろしくお願いします、アルフ様」
最後にスカートの裾をつまみ上げ挨拶をした。
「は、初めまして!お、俺は、じゃ無かった!ぼ、僕はジアンと言います!よ、よろしくお願いします!」
最後に手を両脇にピンと伸ばして腰を曲げ頭を下げていた。緊張の為過ぎでガチガチな挨拶になっていた。
「は、初めまして!わ、私はルセと言います!よ、よろしくお願いします!」
ルセもジアンと同じく腰を曲げ頭を下げていた。それにしてもこの二人、同じ感じに行動が似てるよな、面白い位に。
「ご丁寧にありがとう御座います。ですが、緊張の為過ぎですよ。特に淑女は頭を深く下げて挨拶をしてはいけませんよ?」
「は、はい!」
アルフさんから諭されたルセは緊張気味で返事を返していた。
「それと私のことはアルフ、又は爺やで構いませんよ?エルス様から散々聞かされていますから皆様の事は」
アルフさんはイタズラな笑みをこぼしていた。
「みんなの事は包み隠さず話していますから大丈夫ですわよ?特にカイトは私の婚約者と言い触らしておりますから」
「そうで御座いますね、反対しているのは陛下位ですかね?」
エルスの爆弾発言を援護する様にアルフさんがとんでもないことを言っていた。既に帰りたい気分になってしまった。
「それと特にカイト様には爺やと呼ばれとう御座いますなぁ。失礼ながらエルス様の事は孫の様に接しさせて頂いてますから、その旦那様になられる素晴らしい方には呼ばれとう御座いますなぁ」
何だろう。所々、強調して言われているのは俺の気のせいだろうか?
「い、いえ、流石にいきなりは……」
「おぉぅ。エルス様、アルフは悲しくなってきました。エルス様の旦那様になられる方に爺やと呼ばれるのが夢でしたのに!(チラッ)」
「爺や、悲しまないで下さいまし。カイトは照れているだけですのよ(チラッ)」
アルフさんは目元を手で隠しながらこちらを見ているのだが。何だろう、また強調している部分があり、今度は芝居掛かった様になってきている。
「……………リーナ、ちょっと来て」
「何ですの、カイ?」
確かめたいことが出来て、リーナと一緒にみんなから離れた。
「(なぁリーナ、アルフさんていつもどんな感じの人なんだ?)」
「(基本的にあんな感じですわよ。と言うより城で働いている方達はノリが良いですわよ)」
「(マジかー。あー、それと反対しているのは陛下位ってどう言うこと?普通、王妃様や宰相、イヤな貴族も居て反対するんじゃ無いの?)」
「(あぁそれは、8歳の頃に『私には心に決めた好きな人がいます』と言ってまして、それを子供の戯れ言と馬鹿にした宰相やイヤな貴族の方は、エルスが恐怖を植え付けをしたらエルスに逆らえなくなり、宰相に至っては内政問題を片っ端から解決されて本当に頭が上がらなくなってしまってますの。だから、この王都には貧困者や孤児がいませんのよ。王妃様は特にエルスには甘いですからエルスのやることには賛成する方が多いですわね。ですから、実際の支配者はエルスですわね。裏の帝王ならぬ裏の女王ですわね。因みに、お父様は陛下の手腕と勘違いしていますわね)」
「……………」
とんでもないことをしていたよ、あの人は。本当言葉にもならないよ? 公爵様もいい加減気付いた方が良いですよー。って会ったときにでも言いたい。
「ほら、みんな待ってますわよカイ」
リーナに手を引っ張られみんなの所に戻ってきた。
「何を話していたのかしら二人して」
エルスが内緒話を気にして聞いてきた。正直、リーナに聞いた話の後だと、エルスに逆らったら色々とヤバくね!としか思えないよ。
「い、いやーちょっと……」
「まぁ大体予想は付きますけど。それでカイト。爺やと呼んで上げないの?悲しんでいるのよ(チラッ)」
「うぅぅ(チラッ)」
「は、はい!呼ばせて頂きます!じ、爺や…………さん」
「うぅぅ。残念で御座います。やはり私の想いは届かなかったので御座いますね、うぅぅ(チラッ)」
…………………………………はぁぁ~。面倒くさっ!
「分かりました。これからよろしくお願いします、爺や!………これでどうですか!」
「大変結構で御座いますよ」
呼ばれた途端、小芝居を止めやがったよ、この人は!
「出来れば、ノエル様にはお爺様、ジアン様には爺ちゃん、ルセ様にはお爺ちゃん、ナリア様にはお義父様か義父さんと呼ばれたいですなぁ。わたくし、子供がおりませんのでそう呼ばれるのが夢でしたので」
アルフさんは上と言うより空を見ていた。
「ちなみに爺やに子供が居ないのは本当の事よ。ね、リーナ」
「はい。ですので遠慮無く呼んで上げた方がよろしいかと」
「それじゃあ、私から。お爺様」
「うぅぅ。優しく言って下さりありがとう御座います、ノエル様」
「つ、次、俺が。ア、アルフ爺ちゃん!」
「おぉ!ただ、爺ちゃんとは呼ばず、アルフ爺ちゃんと呼んで下さるとは、何と言い響きでしょう!流石です、ジアン様。ありがとう御座います」
「つ、次は私が。アルフお爺ちゃん!」
「やはり、言い響きですなぁ!ありがとう御座います、ルセ様」
「う、うむ。最後は私だな。お、お義父さん。これは恥ずかしいな!」
「お義父様でも義父さんでも無くお義父さんときましたか!ナリア様も流石で御座います!エルス様、爺はもう思い残す事は御座いません!」
「あら、私達の子供は見たくありませんの?」
「おぉ、そうでした!そうでした!また夢が出来ましたなぁ!ハハハハハッ!」
もう何なのこの人、すっげぇー疲れる。マジで帰りてぇー。
その後はアルフさんが満足したらしく、王妃様が一緒に昼食を食べたいと言っているとの事で、俺達を王妃様が居る部屋に案内をするとの事。
移動中、エルスは寄り添い、恋人つなぎをしてきた。リーナはやらないとして、ノエルもしてこなかった。その状態の俺とエルスを見た他の執事の人やメイドの人の生暖かな視線を浴びながらいた。普通なら恥ずかしいと感じるはずなのだが、エルスだから良いか、と思えてきている自分がいることに気付いてしまっていた。
目的の部屋に着いてアルフさんが扉をノックして中から返事が聞こえてから開けた部屋の中に入った俺の目の前に信じられ無い物があった。畳があったのだ。
その畳は二十畳分敷かれており、その畳に座布団が置かれて、陛下とその隣に背中位までの金髪ストレートにティアラを乗せ、胸元両肩出しの胸の谷間が見える純白の上品なドレスで、エルスを大人の魅力的な女性にした美人な顔立ちの女性、離れた位置にジェイド兄ちゃんに、隣にはセリカ姉ちゃんが中心にある大きい丸テーブルを囲う様に座布団に座っていた。
「お帰りなさいエルス」
「ただいま帰りましたわお母様」
っ!?マジか!スッゲぇ若いんだけど!?エルスのお姉さんと言ってもおかしくない位、若いんですけど!?
「リーナちゃんもお帰りなさい」
「ただいまですわ、オバ様」
っ!?えっ!?王妃様をオバ様扱い!?ちょっとちょっとリーナさん、貴方、怖いんですけど!?
「それでエルスが寄り添っている貴方がカイト君ね?」
「は、はい。お初に─」
「あっ、畏まらなくて良いのよ。この部屋は王族が公式の場では言えない様な事やプライベートで過ごせる様に、ってエルスが作った場所だから簡単な自己紹介で良いのよ」
「えっ!?ですが……」
「うーん?………それじゃあ、私から自己紹介するわね。私はラヴィエス・グラン・ド・グラキアス。王妃をしてます。愛称はラヴィでよろしくね。………っと、こんな感じで良いのよ、皆さん」
王妃様、スッゲぇ気さく過ぎますよ!最後にはウィンクしてたし、いくら何でも自由過ぎない!?
「お母様!私のカイトを誘惑しないで下さい!お母様にはお父様が居るではないですか!」
「だってエルスの愛しの旦那様にやっと会えたんですもの、第一印象は大事かと思って、ね?」
「そう言うことでしたら分かりましたわ。ですが、カイトのハーレムにはお母様が入る余地はありませんからね!」
「なんだ、残念」「エ、エルス!?」
「エ、エルスたん!?それにラヴィも何で残念がってんの!?クソッ!カイトめっ!」
おいおい、一体何を言っちゃってるの!?俺だけじゃ無く陛下も驚いて、しかも憎まれているじゃんか!恐ろしいこと口走んないでよ!
「っとまぁ、お父さんイジメはこの位で、皆さんの自己紹介の続きをしましょう」
「そうですわねお母様」「二人共ヒドい!」
その後は、それぞれ自己紹介をしたのだが、俺は二人の所為で陛下に終始睨まれていた。そして、座布団に座ることになって位置が陛下から時計廻りに隣が王妃、エルス、俺、ノエル、ナリア先生、セリカ姉ちゃん、ルセ、ジアン、ジェイド兄ちゃん、リーナとなって、アルフさんは傍らに控えている。
そして、疑問に感じていることがあった。
「それでお母様、テーブルに何も無いのが気になってましたけど、料理は?」
エルスの言う通りそうなんです。昼食をすると言っていたのに全く料理が無いのです。どうゆう事?
「エルス、お父さんから聞いたわ。アイリと同じ味付けの料理があるそうじゃない?」
「えぇ確かにそうですわね。お父様がどこまで約束を破ったか知りませんけど?」
「イヤイヤ、エルスたんとの約束は守っているよ。けど、ラヴィとアルフも一緒にアイリーンの料理を食べていたから、そこは仕方ないじゃん」
エルスに睨まれて、陛下が慌てて弁明していた。
「それでね、私も出来れば久しぶりに食べてみたいなぁ、って。ダメ?」
「………まぁいいですわ。ノエル」
「はいはい」
返事をしてノエルはマジックバッグから料理を出した。出した料理はノエル特製カレー、白飯、ポテトサラダ、野菜サラダ、卵スープ、果実水。
「この匂いは、懐かしいわ!」
「そうで御座いますね、ラヴィ様」
「ん?この食欲をそそる匂いは?」
王妃様スッゲぇ喜んでアルフさんも嬉しそうに笑みを浮かべて、ナリア先生は初めてもあり匂いを堪能していた。
ノエルとルセが皆にカレーを装い配っていたがその際にエルスが女性陣の分は少なくする様に言っていた。何か大事なことでもあるのかな?
それまで傍らに控えていたアルフさんは陛下に言われて陛下の隣に座った。
「それでは皆様頂きましょうか」
エルスが配り終わったのを見計らって、代表して言っていた。
「「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」
「ん!この程良い辛さと味付けは本当にアイリの料理と同じね!美味しい!」
「全くで御座いますな!久しぶりにアイリ様の料理を食べた様です!」
「あ、ありがとうございます」
ノエルは王妃様とアルフさんから褒められて照れ臭そうにしていた。だけど気になるのは二人が発言した内容だよな。やっぱりノエルの母親が転生しているのは間違いないな。
「美味い!なんだ、この程良い辛さの料理は!今まで食べたことが無いぞ!この料理はノエルが作ったのか!」
「は、はい!」
ナリア先生が初めてカレーを食べての感想は興奮状態になる程の衝撃さだったみたいだ。
「ナリア先生、余り食べ過ぎると後からの衣装合わせで大変ですわよ」
「そうなのですが、ここまで美味い料理は初めてなので今の内に堪能しようかと思いまして、これから先、食べれそうにないでしょうから」
エルスが注意をする位、あっという間に一皿を平らげてしまったよ。確かに美味いけどさ、先生って結構食べるみたいだ。
「うーん?……………それなら、ひとつ確認ですが先生は将来一緒になる相手って居ますの?」
「??? いえ、居ませんけど、それが何か?」
何だかイヤな予感がして来たぞ!エルスの考えることだ、ロクでも無いに違いない!
「いえね、ナリア先生もカイトの五人目の婚約者になって貰おうかなと思いましてね」
「っ!?」
やっぱりロクでも無いことだったよ。先生驚いて、2杯目食べていた手が止まっちゃったじゃないか!しかも、皆も手が止まったし! それに今、五人目って言わなかった? ルセはジアンだし、一体誰だ?
「エルス質問が─」
「カイトは黙っていて下さい!貴方の将来の為です!」
「は、はい」
エルスさん、コワいです!スッゴく真剣な眼差しでしたよ。しかも、俺の人生設計を決め出し始めているし。
「ひ、姫様!?な、何で急にそうなるのです!?」
先生の返答はごもっとも!どうしてそうなるんだ、全く!
「それは、ノエルの手料理がいつでも食べられますし、ノエルの指導を受け自分でこの味付けを出来る様になります。因みにリーナと私も只今、ノエルの料理を越えようと日々精進しています」
「エルスの手料理!?食べたい!」「エルスたんの手料理!?食べたい!」
「お父様、お母様、いずれ披露しますから黙っていて下さい!」
「「は、はい」」
だからエルスさん、コワいですって!どうしてそこまで真剣になっているの。
「そしてその手料理をどうせなら誰かに食べて貰った方がより上達が早いですわ」
「ま、まぁそう……です……ね」
先生、エルスの言葉に惑わされないで!誘惑に負けないで!
「先ほど馬車で私が言っていた事がよりスムーズに行きますわよ?カイトは大切に、大事になった人はちゃんと守ってくれますから」
「そ、それは………」
先生、負けないで!意思を強く持って! それにしても馬車で何があったのさ?
「あっ!そうでした。いくら何でも私はカイトより11歳も年上ですし、もしカイトが16歳で成人になり結婚するにしても6年後には27のオバさんになっていますから流石にそれはどうかと………」
この世界では、女性は25歳までには大体の人が結婚をするんだけど、その歳を過ぎると行き遅れと言われている。因みに男性は特に無いらしい。
先生が懸念するのも納得だな、うんうん。
「それには及びませんわ!カイトはそんな歳何て気にしませんので!」
エルスさん、どうして勝手に俺の方針を決めるの?
そしてそれを聞いた王妃様がイタズラ心が出たであろう、手をそっと挙げ様として、エルスさんに無言で睨まれて引っ込めちゃったよ、恐ろしい。
「それにこの先、付き合ってみて最低な相手と不幸になったり、相手が見つからずに居るよりは、早めに決めて更に女らしさを磨けばよろしいのでは無くて?カイトは包容力もありますし、絶対幸せにしてくれますわよ?そしていずれ大物になりますわ!」
「……………」
先生、同等黙ってしまったよ。 それに何でエルスはここまで先生を婚約者にしようとするのかね?訳が分からん。
「そしたら先生、これからのことを聞いたら素直に喜んで下さいましね。カイト」
「は、はい」
急に話し掛けてくるからおかしな返事になってしまったよ。
「率直に聞きます。ナリア先生の事は好きですか、大嫌いですか!どっちか選んで下さい!」
何、その質問は!普通は好きか嫌いかじゃないの!?大嫌いってなにさ、質問の仕方がおかしかったよ!?
「因みに普通と言う選択肢は無いですから、ね!」
先手を打ってきたよ!しかも笑みを浮かべているが、目が笑っていない状態です!コワい。
「す、好き……です……」
「──さぁ先生はどっちですか!カイトは素直に言いましたよ?因みに嘘を言いましたら、後悔する様なことをしますので悪しからずに」
エルスさん、それは脅迫と言う物ですよ!
「──す、好き……です……よ……」
「なら、決まりですわね。ナリア先生もカイトの婚約者と言うことで」
エルスさん、眩しいほどの笑顔を見せてくれるのは良いですけど、一体どんな裏があるんですか? 一度腹を割って話合わないといけないよな。
先生は完全に手が止まり料理を食べ無くなってしまったよ。済みません、先生!って、後でキチンと謝らないといけないな。
「それとナリア先生」
「な、何です。まだ何か?」
「これから先も出来るだけ教師を続けて欲しいのです」
「??? そ、それは構いませんが、どうして?」
そうだそうだ!しかも、教師って所だけ強調して言っていたぞ!
「いえ、ただ単にカイトに将来必要ですので深い意味はありませんわ」
「は、はぁ」
イヤ、絶対裏があるに決まっている!エルスの事だから!
「それでは食べてしまって、女性陣はパーティーの為の衣装合わせをしに参りましょうか」
「「「「「「は、はい」」」」」」
王妃様もエルスの脅迫めいた所を目撃したものだから一緒に返事をしていたよ。 それにしても本当に何が目的なんだ?
その後は、女性陣はさっさと食べ終えて衣装合わせに向かった。
残った俺達、男性陣はまだその場にいて談笑してた。その時に陛下が慰めてくれましたよ、あのエルスさんの脅迫じみた事を目撃したから、だと思いたい。
その後、ジェイド兄ちゃんが男性の衣装合わせはすぐに済むからと言うので、食後の運動と言う名目でジアンがジェイド兄ちゃんに稽古を付けて貰う事になった。俺とジェイド兄ちゃんはやらない様にと陛下に何度も言われてしまった。稽古の範疇を超えるだろうからと。『約束を違えたら、王様止めるよ!』と言われてしまったら流石に出来ないですって。監視にアルフさんを付けるし、アルフさんはアルフさんで“爺や”、“お爺ちゃん”と言わないと全く返事為ないし、思っていた王族や王族関係者は自由過ぎるしでこの先、どうなるんだろう、本当に。それにノエル、エルス、リーナ、ナリア先生とあと一人は誰何だろうな、婚約者は?
※衣装部屋に着いたエルス達は──
【エルス視点】
「ねぇエルス、さっきのはどう言う事なの?いくら何でも少し強引じゃ無い?」
リーナがノエルと傍に来て先ほどの事を聞いて来た。ルセ、ナリア先生、お母様はメイド達と一緒にドレス選びをしていますわね。
「確かに強引なやり方なのは認めるけど、考えがあっての事よ」
「聞かせて貰いましょうか、エルス」
「まだ先の事だけど、カイトと結婚したら“アレ”があるじゃない?」
「確かにエルスの言う通り“アレ”があるわね!」
ノエルも頷いてきた所を見ると察した様ね。
「そう、その際にコスプレでの“教師風”より“本物の教師”のほうが萌えると思った訳よ!」
「た、確かに!私達だけだと“教師風”止まりにしかならないわね!」
「うんうん!」
「そう言う訳で、それらしい“属性持ち”を今の内に確保為とこうと思った訳よ!リーナもそう思ったからあの子を確保しているのでしょ?」
「もちろんよ。それにしてもなるほど!……そしたら、次のターゲットは?」
流石リーナね!話が早くて助かるわ!
「次のターゲットは、ギルドの受付嬢のロールさんよ。あの完成されたロリ巨乳属性は私達では絶対に到達出来ないと思っていたから。ノエル、あの人の情報は何か無いかしら?私とリーナより顔見知りだから何か知っていたら教えてちょうだい」
「もちろん知っているよ!ロールさんわね、背が低いけど靴で高く見せたい、大人らしく見られたいけど顔は幼い、そんな怒った顔もかわいい、胸は巨乳、こう見えてももう21歳、現在彼氏募集中、って筋骨隆々の180cmはある体格にスキンヘッドに堀が深い目が特徴のコワい顔立ちにピチピチの赤のタンクトップにベージュのズボンに脛まである茶色のブーツを履いた人物でゴメスさんって人がご丁寧に力説していたよ」
「い、意外な人物からの情報提供だったわね」
ノ、ノエルもよく覚えていたわね。流石の私でも驚いてしまったわ。
「それなら明日、ロールさんを確保しに行くわよ!」
「分かったわ!」「うん!」
それに絶対将来必要になりそうな予感?胸騒ぎ?がするのよね、女の勘かしら? でも何だか違う様な気がするのよね、何なのかしら?
そして皆の様子を見た次の瞬間私の目に信じられない光景があった。
「ね、ねぇ二人共アレ」
「どうしたのよエル……ス……」「どうしたのエル……スちゃ……ん………」
私が指差した方向を見た二人も衝撃的だったみたいね。無理も無いわ、私もまだ目の前の光景が信じられないのだから!
「もしかしてノエルのよりデカい?」
「うん、私よりデカいね」
「本当に10歳の体型なの!?」
リーナの言う通りなのだけど、私達はトータルすると精神年齢はオジサン、オバサンの年齢なのだけどね。まぁそれは置いといてやることは一つ。
「リーナ」
「もちろんよエルス」
「えっ?二人共何するの?」
「「それはもちろん、裏切り者ルセの双房を揉みしだくのよ!」」
メイドが採寸をするために制服の上着を脱がせたワイシャツ姿のルセの胸の膨らみは私達に比べると突き出ていたから。
「さ、流石にそれは……」
「邪魔をするなら貴方の双房を揉みしだくわよノエル」
ふっ。我が身可愛さに友達を売ったわね。 賢明な判断よ。
さぁ、ノエルが手でどうぞどうぞ、しているから行きましょうか!
その後は私とリーナが絶妙な力加減を駆使してルセが艶っぽい悲鳴を上げたのは言うまでも無いわね。10歳の体型にしては、結構な揉み応えだったわ。どおりでややブカブカの服装だったり、公爵家の屋敷での寝泊まりの際、一緒にお風呂に行かなかった訳ね!10歳にして見事な双房を持っているのだから!
それにしてもお母様ってば巨乳の体型に結構大胆な下着を付けていたのね。黒の胸までのコルセット、黒の際どいレースのショーツを今日は身に付けていたなんて! きっとそんな姿を見せたらいくらカイトでも野獣になってお母様を襲っていたに違いないわね!早めに先手を打っといてよかったわ!
ナリア先生の双房は体型にあった大きさで美乳と言ってもいい位何だけど、下着はシンプルな赤いブラとショーツだったわ。今度リーナと一緒にセクシーな下着を選んであげないといけないわね。
ノエルは下着はシンプルな黄色のブラとショーツだったから、ノエルの分も選んであげないといけないわ。
ルセもシンプルなピンクのブラとショーツを身に付けていたから一緒に選ばないと。
リーナは紫のビスチェに際どいレースのショーツ、私は白のビスチェに際どいレースのショーツを今日は付けていた。いつでもカイトに見せられる様に準備は怠ってはイケナイからね。
そして一番私がドキドキして仕舞ったのはセリカ様がとっても際どすぎるセクシーな下着を身に付けていたことで、ついつい襲ってしまったわ。艶めかしい声を上げられて私の中の獣が目覚めてしまいますますヒートアップしようとしたら、お母様が一緒になって襲ってしまったからセリカ様がイカせて仕舞い、お母様と一緒にメイドまで巻き込み次々と襲い、お母様の最後のターゲットが私に代わり、襲われている時に『私、カイト君の愛人になりたいな』と真剣な眼差しでそんな事を言われお母様に抵抗出来ずにイカされてしまいました。
流石、人妻なだけはあるから、まさかカイトでは無く、お母様にイカされるとは思わなかったわ。それにお母様、王妃は愛人にはなれませんのよ?
そしてイカされてしまった私達はパーティーが始まる時間までお母様の手腕に為す術なく襲われてました。
お読み下さりありがとう御座います。
次回も日曜日です。