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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第2章 再会、そして~
30/111

2ー16話

【ルセ視点】


「ルセ、俺だって上級生に勝てたんだ、勝ってこい!」

「うん、私だってジアンに続くよ!」


 私は試合の準備をするために一足先にみんなと別れた。その際にジアンが一緒に付いて来てくれた。


 そんな私に喝を入れてくれたジアンは最後に拳を向けて私は応えるように拳を作り、ジアンの拳に合わせて舞台に上がった。


「それでは、第四試合、5年Sクラス、イト・タラン対1年Eクラス、ルセの試合を開始する!」


ナリア先生が声を高らかに張り上げて宣言していました。


「それでは、始め!」


「1年でもSクラスならともかく、まさかのEクラスの人が2人も勝っているから、私は油断なんてしないからね後輩ちゃん?」


 防具は見た限り白ローブのみに、10cm大の魔石を先端部分にはめ込んだ杖を持っている先輩が、短剣に胸当てのみの私に開始早々に言ってきた。


「むしろ最初から全力でお願いしますよ先輩!」


 最近出来るようになった、詠唱無しで【水球ウォーターボール】を10個を作った。


「っ!?いつの間に詠唱をしていたの!?」


 その様子を見ていた先輩が驚いている間に【水球ウォーターボール】を放ち、それを少し反応が遅れていた先輩は腕をクロスにして防ぐ構えをして魔法を受けていました。

 水しぶきを上げて先輩の姿は見えなくなりました。


少しして水しぶきが落ち着いて現れた先輩はダメージが無い様でした。


「やれやれ、油断しないと言っていた傍から、このザマかい。私は何処かでまだEクラスだからって侮っていた様だね!」

「それでもさすがですね先輩!まったくダメージが無いなんて!少しは与えたと思ったのですけど」

「先の後輩ちゃんの闘い方は見ていたからね、魔法が主体の様だったから、その対策のおかげだよ」


 先輩はローブを指差していました。


 なるほど、あのローブは魔法耐性が高いのですね。だからダメージを与えられなかったのか。


「さて、後輩ちゃんはまだ、何か隠している様だからね、今度は、私からいかせてもらうよ!──風よ、刃となれ!【風刃ウィンドカッター】」


 先輩の詠唱と共に杖の先端の魔石が光り、10個も【風刃ウィンドカッター】が現れて、そのまま私に向かってきました。


「障壁となり、立ち塞がれ【大地壁グランドウォール】」


 私は手を下にかざし、魔力を高めて土属性の上位魔法の地属性の魔法を発動して、私の眼前に、私が優に隠れる高さに、両の手の平を合わせた程の厚みがある四角い形の地面が盛り上がった。


─ドゴォ!ドゴォ!ドゴォ!─と音がまだ続いていました。


「なぜこれ程の魔法が使える子が、Eクラスにいるのかしら!」


 先輩が音が鳴り止んだときに、言ってきました。


「それは、教えてくれた人が厳しい人でしたから」


 【大地壁グランドウォール】の陰から出て、先輩に言った時に、先輩がナリア先生を見ました。


「私では無いぞタラン!ルセが言っている人物は、シトエンの相手で、この舞台の結界を壊した人物のことだ!」

「っ!?」


 ナリア先生が言った言葉に、先輩は目を見開き驚いた顔になり私の方を見ました。


「ハハ、ハハ」


 乾いた笑いが出てしまいました。


「ちなみにタラン。ルセは入学当初は本当にEクラスの実力しかなかったんだぞ!」

「えっ!?そ、それじゃあ、ひと月そこそこでここまでの魔法を身に付けたってこと!?」

「ハハ、ハハ。ナリア先生の実技授業中の指導は()()()優しいです」

「ルセお前もか。ジアンも言っていたが、アイツはお前たちにどんなことをしていたんだ?」


 先輩も興味があったらしく、杖を下げて攻撃の意志がなかった様でした。


「それはもうヒドいですよ!ある時は私とジアン二人でかなり強いグリフォンと戦わせたり、カイトくんが作った学生寮程の大きさの大岩を魔法のみで壊してみろって言われたり、それが出来なかったら、ひたすら走らされたり、組み手の時も最初は優しいのに徐々に厳しくなっていくんですよ!それに比べてノエルちゃんは優しく教えてくれるのに!だからナリア先生の指導はノエルちゃんみたく優しい方ですよ!」

「そ、そうか、ありがとう」


 あれ?ナリア先生と先輩が若干引いてる?


 話しを聞いたナリア先生と先輩は口元がヒクついて見えた。


「ナ、ナリア先生、確かグリフォンの強さって?」

「冒険者で言う所のBランクの上位の強さだったはずだ。どうしてアイツに教えを請うてそんなことになったかは、知らないがな!」


 何だか、二人だけで話し始まっていました。


「後輩ちゃんの魔法の話しまでで、その子に魔法の指導を受けたかったけど、詳しい話を聞いたらその子には、あまり関わりたく無くなりました」

「その方が賢明かも知れないぞタラン」



「それじゃあ後輩ちゃん!こっからは本当に全力で魔法をぶっ放すからね!」


ナリア先生と話し終わった先輩が急に私に言ってきました。


「はい!」


「火よ、飛礫つぶてとなれ【火球ファイアボール】」


先輩が杖をかざして、現れたのは20個の【火球ファイアボール】でした。それがそのまま私に向かってきました。


 手をかざし、私が隠れるほどの【水盾ウォーターシールド】を発動して、【火球ファイアボール】が次々と【水盾ウォーターシールド】に当たる音が聞こえました。


「──さぁ、これはどう防ぐの、後輩ちゃん!【火竜巻ファイアトルネード】」


 先輩が【火球ファイアボール】を放った間に詠唱が終わったらしく、風が無数に渦巻いて火を纏ったそれは、舞台上に細長く上部がやや広くなって、ゆっくりとだが私に向かってきてました。


 これはかなりヤバいかも!?残りの魔力を使って防ぎきれる!?それとも、何とか躱してみる!?


「後輩ちゃん、その魔法を防ぎきったら私の負けを認めてあげるよ」

「っ!?」


 先輩が私が躱すことを思ったのかそう言ってきて、その一言で私の中から、“躱す”という選択が消えました。


 私が迷っている間も先輩の魔法が段々と近づいてきていました。


 よし!私にやれることをやろう!


 両手をかざし、残りの魔力で練り上げた【水盾ウォーターシールド】を眼前に発動しました。


 そして、先輩が放った魔法が私の作った【水盾ウォーターシールド】にぶつかり合いました。


 こ、これは、結構キツいかも!私の魔法が先に切れそう!


「ルセーー!負けるなぁーー!」


 不意に私のことを応援する声が聞こえてきました。

 振り向く余裕が無く必死な私は、誰が言っているのか分からないでいました。


「ルセーー!負けるなぁーー!ルセー!」


 その声は途切れ事無く、私を応援していたのです。その声に耳を澄ませたら、聞き覚えのある声でした。

 

 ジアンの声だ!これはジアンの声に間違いない!ジアンが応援してくれているんだから、この魔法を防ぎきって勝利してみせる!


 ですが、私の思いとは違い、魔法が次第に発動が終わる感覚が分かりました。

 この感覚もカイトくんとノエルちゃんの指導のおかげで身に付きました。


 残念だけど、私は代表になれなかったなぁ。ジアンがせっかく応援してくれたのに。でも温かくて優しさを感じたよ、ジアン。


そして、私の魔法が切れたのでした。



 と、思ったら急に力が溢れて魔法が威力を上げて、先輩の魔法を打ち破ってしまったのです。


「*********」


 何が起こったのか分からずにいたら不意に私の耳に、声?が聞こえてきました。


「*********」


 戸惑いしかないです。どうにも私の傍で話している?のですが、どうにも聞き取れません。一体、何なのでしょう?


「参ったわね、本当に防ぎきるなんて。私の全力だったのに」

「えっ、あっはい。私もまさか防ぎきれるとは思わなかったですよ。自分でもビックリしています」

「ん?……ま、まぁ、それは置いといてナリア先生」


 先輩が私が言ったことが分からない様でした。私も実際、何がどうなったのか分からないから説明してと言われても困りますけども。


「後輩ちゃんとの約束通り、私は降参します」

「───分かった」


 ナリア先生が先輩をしばし見てから言いました。


「イト・タランの降参により、ルセの勝利とする!」


──ワァァァァァァ!─── 

 ナリア先生の宣言に歓声が沸き上がり、試合終了になりました。


「私が力を付けたらまた手合わせして欲しいよ」


 先輩が最後に手を差し伸べてきた。


「はい!私でよければ!」


 先輩の手を取り握手を交わして、先輩が舞台から降りて行きました。


「ルセ」

「はい、先生」

「見事だった!おめでとう!」

「ありがとうございます」


 ナリア先生に挨拶をして、私は舞台を降りました。


「ルセ!やったな!」

「ジアン、ありがとう」


 舞台から降りて通路に入った先の途中でジアンが一人でいました。


「最後まで魔力が保たないんじゃないかと思ったよ!」

「ハハハ、私自身でもそう思っていたんだよ。でも最後に急に力が湧いてきたんだ」

「ん?どうゆうことだよ、ルセ?」

「私も、まだ混乱しているから上手く説明出来そうに無いから、カイトくん達と合流してからにしよう!」


 私が先に歩き出し、ジアンが少し遅れて付いて来た。


※※※

【エルス視点】


「それで、先ほどいたカイトとノエルのもう一人の弟子か?」

「そうですわ。あの子もお父様が興奮するくらいの魔法を使いますわよ」

「も、もう何が起きても驚きはせんわい!」


 あらあら、お父様ったら少し子供のような扱いをされて拗ねて、痩せ我慢をした喋り方になっておりますわ。


「それでは、第四試合、5年Sクラス、イト・タラン対1年Eクラス、ルセの試合を開始する!」


ナリア先生が試合開始の宣言をしていました。


「それでは、始め!」


「開始早々、先制攻撃か。詠唱速度が速いのぉ」

「いいえ、違いますわよお父様。あの程度の魔法は、ルセの努力の甲斐あって無詠唱ですわ」

「あの子まで!?」


 あっ!いけませんでしたわね。そう言えば学園長に注意されていたのでしたわね。


 学園長の驚きの声を聞いて、学園長から無詠唱を注意されていたことを思い出しました。


「直撃したぞ!?結構なダメージになったのではないか!?」

「う~ん。多分大丈夫だと~思いますよ~陛下~」

「どうゆうことじゃ、セリカよ?」

イト・タラン(あっちの子)が着ているローブは~私の読み通りなら~かなり高い~魔法耐性を~付与されて~いるんでは無いでしょうか~?」


 そしたら予め、先の乱戦でルセが魔法主体と理解した上での対策をしていたってことですわね。厄介な相手ですわね、ルセ?


「おぉ!セリカの言った通り、やはり無事の様だの!」


 イト・タラン(あの方)中々やりますわね!ルセも相当強くなりましたのに、()()()()()()()()()()()()()()()()


「おぉ!今度は沢山の数を出しおった!」

「あれは~杖にはめ込まれている魔石の~力もありますね~。魔石自体に~魔力が蓄えられていますから~よく魔法士が補助に~よく使われますから~」


 なるほど、それで一度にあの数を出せるのですね。()()()()()()中で、中々にやりますわね。


「オッホォッ!今度はなんじゃ!」

「さすがです~!ルセ(あの子)は風に相性が良い~土属性を更に魔力を高めて~上位の~地属性まで~発動できるなんて~!」

「当然ですわ!私のカイトとノエルが鍛えたのですからね!」

「そうでしたね~エルス様~。さすがエルス様の~カイくんでしたね~」


 ()()が褒められるとやはり嬉しいですわね。


「姫様、ひとつよろしいですか?」

「どうしました、学園長?」

「いえ、この短期間でカイトはジアンとルセ(あの子達)にどんな事をしたのか気になりまして、知っていたのでしたら教えてもらえないかと……」


 学園長もやはり気になっていたのですね。カイトの()()()()()()()を。


「いいですわよ。ただ、ジアン君とルセ(あの子達)の立場になって想像したら()()()同情する羽目になりますので」

「は、はい」

「──まず、指導では無く修業と言っておきますわね。ただカイト式ですけど。カイトはあの子達に走り込ませてから、剣術などを交えた組み手をしたり、カイトが作りました学生寮程の大きさの大岩を魔法のみで壊させることをされて、出来なかったらまた走り込ませたり、あの子達より強いグリフォンの相手を容赦なくあてがったり、と大まかに言えばこんな感じですわね」

「「「「・・・・・・」」」」


 あら、みんな私の話を聞いて固まってしまいましたわね。よく見ると口元がヒク付いていますわ。


「カイト。俺はそんな教え方していないぞ」

「カイくんって~実はスパルタ教育者~?」

「あの子達が可哀想になってきたわい。今度、労ってやらねばな」

「はぁ~。そんなことをしていればこの短期間でここまでの成長をする訳ですね。ここはやはり……」


 ジェイド様、セリカ様、お父様、学園長がカイトの()()()()()内容を聞いてそれぞれ小声で言っていました。


「オッ!動き出したぞい!」


 私が話している間、動かなかったルセ達が再び魔法で攻防を仕始まった。


ルセは【水盾ウォーターシールド】を出し【火球ファイアボール】を防ぎきっていた。  


「うぉ!?なんじゃあの魔法は!?」


 お父様がそう言うのも無理はありません。カイトでも使ったことの無い魔法でしたから。


「あの魔法は火と相性の良い風を複合した魔法ですね。その威力は単独で使う魔法の三倍近くにまで膨れ上がります!」


 学園長の話が本当だとすると、ルセは魔力量からするとギリギリ、防ぎきれるってとこかしら?

 

「あれをまともに喰らったらどうなるんじゃ、セリカよ!」

「結界内での過剰の負傷は結界から出てもかなり残りますから、ヤバいかもしれませんね!」


 セリカ様が流暢りゅうちょうに話し出す程の危険性なのですのね。


「セリカが流暢に喋る程の危険性を持っている魔法か!これはマズイのでは無いのか学園長!?」

「そうですね!それにナリアはなぜ止めないの!?」


「落ち着いて下さいまし、皆さん!」


 みんなが慌て初めていたので、私が制止を掛けました。


「私のカイトとノエルが鍛えたあの子を信じて下さい。ナリア先生はそれを承知で試合を止めないのでしょうから」


 そう言いナリア先生の方を指差して。

 ナリア先生は万が一のことを考えて、ルセの邪魔にならない程の近くの距離にいました。


「それに、聞こえませんか?愛の叫びが!」

「「「「???」」」」


 四人は最後は分からずにいたが、その声は次第に大きくなっていた。


「ルセーー!負けるなぁーー!ルセー!」


 ジアン君がルセを応援していたのです。


「愛しの人からの声援を受けてルセが負けるはずありません!」

「エ、エルスたんが言うのであればひとまず信じよう。……ちなみにあの二人は恋仲なのか?」

「えぇそれはもう()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「そ、そうなのか?い、今時の若者は随分と早いな」


「エルス様、あの子の魔法、もしかするとそろそろ切れるかもしれませんよ!」


 セリカ様がお父様との戯れを止めて私に言ってきました。


 ルセの魔法が切れる瞬間でした。



 と思っていたら、ルセの魔法が耐えきり、強大な魔法に勝ったのです。


「まさか防ぎきるなんて!?一体何が起こったの!?……もしやあの子…………」


 セリカ様が驚愕して、最後に何やらブツブツと言っていました。


「見事!実に見事だった!あちらの子も、その魔法を防ぎきった弟子も!あの子の名前は……」

「ルセですわ。もう一人がジアンですわよお父様」

「ルセにジアン………ルセにジアン………よし!覚えたぞ!」


「これにて本日の試合は終了とする!明日が最後の試合になる!選手は充分に英気を養って試合に備えて欲しい!最後に教員は私の元に集まって欲しい!以上!」


学園長が声を高らかに張り上げて、宣言していました。


「それでは皆様方、また明日ご機嫌よう」


 私の挨拶に皆さんがそれぞれ挨拶を返してきて、それからカイト達の元に行きリーナの屋敷に向かいました。


 その後は、今日のジアンとルセの代表入りと、明日のノエルの激励を兼ねたプチ祝勝会をしました。

 その際にルセが試合の最後の出来事を話してくれて、カイトに言われたルセはステータスをみんなに視える様にして確認したら、称号欄に“精霊に愛されし者”スキル欄には“精霊の加護”が現れていました。詳しく視たら、ルセが最後に感じた力は精霊の力による物と分かり、現状、精霊に関する情報や手立てが無くこのことはとりあえず私達だけの秘密ってことに決まりました。


 確か、女神様からの知識によると精霊は私達の身近に居るが、姿形は見ることは出来ないが自然と共に生活をしているエルフは精霊の存在を見て感じることが出来ている。となっていますわね。それにしてはルセに現れた現象はどうゆう事でしょう?………まだまだ、精霊に関する事がありそうですわね。




「カイト、ノエル後でリーナの部屋に来てちょうだい。話したいことがあるの」

「分かった」「うん」


 明日に備えてお開きとなり、部屋に向かう二人に声を掛けました。


 しばらくしてからカイトとノエルが部屋に来て椅子にかける様に促しました。


「それで話って?」

「えぇ、もしかするとミリテリア(こちらの世界)()()()()()()の転生者が居るかも知れない話よ」

「もしかして王様がノエルの料理を食べて興奮していた」

「えぇそうよ。ノエルの努力の甲斐あって日本(あちらの世界)の料理の再現をした料理がすでにされていたのよ!しかも、ノエルと同じ味付けだったそうよ!」

「「「っ!?」」」


 やはり驚くわよね。私はあの場ではスルーしていたけれど。


「エルス、それって……」

「リーナが思った通り、と私は睨んでいるわ」


「まさか………お母さん……」

「ノエル……」


 リーナの言葉にノエルが思ったことを出していた。


「あっ!そうすると由香里おばさんだけでなく弘一郎おじさんもこちらの世界に転生しているかも!」

「どうゆうことカイト?」


 カイトはどうやら私の知らない情報を持っていた様ね。


「ジェイド兄ちゃん達との修業の終わりにこれを貰っていたんだよ」


 カイトは自身のマジックバッグから()()()()()()()()()()()刀の【虚空】を取り出して見せました。


「これを貰った時に、その人が元々持っていたのをジェイド兄ちゃんが貰ったって言っていたんだよ!つまり、この世界には存在しないこの刀のことを知っていた人物が弘一郎おじさんの可能性が高いってこと!」

「カイト、その方の名前は?」

「ギルドでも聞いたと思うけど、ガリアーノって言っていたはず」

「ガリアーノ………。因みに由香里さんの可能性の人物の名前はアイリーンって名前だそうよ。その人は学園長とセリカ様の師匠でもあったそうよ」


 まさか、この世界で二人の存在の可能性が出てくるなんて、女神様はどうして黙っていたのかしら?


「確かギルドで聞いた限りでは、ガリアーノさんは現在行方不明になっていたはず」

「それだけでは無いわよリーナ。アイリーンさんも行方不明だそうよ」

「うん、俺もジェイド兄ちゃんに聞いた話はそうなっていた」


 さすがに二人が行方不明になっていて、国では捜索をしていて、それでも見つからない様子だったし、打つ手無しね。


「ごめんなさいね、ノエル。期待させてしまって」

「ううん、二人が居る可能性が出てきただけでもうれしいよ!エルスちゃん」


 先ほどまで俯き、話を聞いていただけのノエルが頑張って笑みを作っていた。


「お詫びにカイトをしばらく独り占めしていいからね。何ならカイトにおねだりをしてみるのもいいかもね」

「「エルス!?」」

「フフフッ!気遣いありがとうエルスちゃん。そうしてみるよ!」


 あら、いつもなら否定をするのに返してこなかったわね。


「キスまでは許して上げるわよ?」

「エルス!?」「エルス、本当に良いの!?」

「分かった」


 あら、失敗しちゃったわね。言い過ぎたかしら?



その後はカイトとノエルが部屋に戻って行った。


「エルス、本当によかったのカイのファーストキスは?」

「良いのよ、カイトのはダメでも私のがあるからね。それはリーナも同じでしょう?」

「なんだバレていたの」

「もちろんよ!何たって私達元双子なんだから!」

「むしろ前より双子っぽさが身に付いているけれどね!」


私はリーナとベッドで眠くなるまで話し合った。

 

そして翌日──


お読み下さりありがとうございます。

面白いと感想もありがとう御座います。

次回の投稿は日曜日です。

それと2章が終わってからタイトルを変更します。

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