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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第2章 再会、そして~
26/111

2ー12話

読んで下さりありがとう御座います

 剣魔武闘会代表者選考会の前日に、俺、ノエル、エルス、リーナ、ジアン、ルセに公爵様、護衛にバルザ隊長と俺の強さの秘密を知っている人達、ミゲルさんとケイトさん、カルトちゃんにギルドマスターのバーンさん、ロールさんにギルドの面々。そして冒険者達でサイビス村に来ていた。


 サイビス村の調査が終わり、村人達の遺体をきちんと火葬までして最後に国が慰霊碑を建ててくれていた。


 そして今日やっと弔いにこれたので来ていた。


 ミゲルさんとケイトさんが代表して慰霊碑に供花きょうかとして花束を置き、エルスが聖王陛下の代理で哀悼の意を捧げた。


 そのまま村で、あの世に安らかに死者を送る意味を込めて宴が行われた。それぞれみんなが思い思いのやり方で死者を送っていたようだ。


 それとバーンさんの話によると、洞窟の調査結果は、何もなかったが、ただただ馬鹿デカい空間があったそうだ。そんな空間のある洞窟を放置しとく訳にもいかないから魔法で潰したそうだ。あとは聖王陛下が、各村と町に騎士達を配備して今回の様なことにならない様に命令を下したそうだ。


※※※ 

 翌日、剣魔武闘会代表者選考会の開催の挨拶を学園の屋内運動場で行われるため、全校生徒が集まっていた。


 参加者は事前に申し込みをしているため、その参加者数で試合形式が決まるそうだ。今回の参加者数は200人。なので試合形式は、乱戦でひとグループ2()2()()9()()に分けられて、4日間で1()0()()を決めて、そこからトーナメント形式で試合を行う。


 参加者は主にSクラスとAクラスが多く、エルスだけは王族の王女様と言う理由だけで参加が出来なかった。エルスはそのことに不満を抱いて、ぶつくさ言っていた。

 あとの参加者は各クラスから5、6年の上級生が主に多かった。

 そして、全Eクラスの中で5、6年を抜かせば下級生の1年で参加したのが俺、ノエル、ジアン、ルセのメンバーだ。

 それぞれが動きやすい訓練着に着替えていた。


 まぁ、鑑定スキルで上級生のステータスを視た限り、ノエルは余裕だし、ジアンとルセには腕試しの相手にはちょうど良い連中だと思っていた。

 ジアンとルセはこのひと月でメキメキと力を付けていたから、本当にちょうどよかった。

 それにジアンとルセは、エルスとリーナが恐ろしいほどの成長をしたもんだから、自信喪失になっていた。まぁ、俺が訓練から修業に変わったときにステータスは視ないように、と言っていたから尚更なんだけど。


 ジアンとルセには依頼の時に、二人より強い魔物と偶に戦わせレベルを上げていたから、結構な強さになっていたのだけど、俺とノエルがすでにジアンとルセより()()()()()しエルスとリーナが恐ろしいほどの成長をして、そのメンバーの中で修業をしていれば自身が強くなって無いと錯覚を起こすのは当たり前だ。

 なので今回ジアンとルセには強制的に参加をしてもらった。


 学園から試合のルールの説明があり、要約するとこんな感じだった。


 最初の1()0()()を決める乱戦の試合場所は外の運動場で国が保有している特別な結界アイテムがありその中で起きたケガは結界から出ると無くなるという優れもののアイテムを使い行われる。

 試合中は刃物類はを潰した模造刀の武器類、魔法の使用が認められるが、魔法の使用は中級までとされている。

 試合の決着は、対戦相手を場外に出すか、一定のケガを負わせるか、最後は審判である学園の教員の判定で決まる。なお、どんなに爵位が高い貴族の子どもであれ反則行為をしたと分かったらサナア学園長の権限で国に報告してその家に厳しい罰を与えるとのこと。

 なので純粋に、己の強さの身で闘うことになる。

 こうして剣魔武闘会代表者選考会が開催された。


 剣魔武闘会代表者選考会の時は、選手や参加してない生徒は観戦してもしなくても問題無く生徒の自由になっており、参加してない生徒の半分はいなかったが、選手の生徒はほとんどが観戦をする様だ。

 もちろん俺は観戦するのだから当たり前にノエル、ルセ、エルス、リーナが一緒だった。

 ジアンは本日試合があるから他の選手達と別の場所にいた。

 選手の生徒達はそれぞれに武具を装備していた。


 そんな中、エルスが不満顔で俺の腕に絡みついていた。まぁ、それで少しでも機嫌が良くなるならいいのだが、公衆の面前でそんなことをやっていれば周囲から結構な囁き声が聞こえていた。

 なんせ落ちこぼれクラスのEクラスと優秀クラスのSクラス、王族と何の名誉や武勲も無い平民が腕を絡めていれば当たり前の反応だ。

 もうどうしようも無いこの状況と周囲の人達を無視して観戦をすると決め込んだ。


 そして本日最初の第一試合は6年Sクラスの背中まである濃い青髪をひと結びにして整った顔立ちに中肉中背で胸がふくやかな、シャルト・リューゼという女生徒が勝った。彼女は槍と水魔法を駆使して槍の死角を水魔法でカバーして見事勝利した。


 次の第二試合は5年Aクラスの薄緑のショートヘアーに優しそうな顔立ちに中肉中背のユング・シトエンという男子生徒が勝った。武器は手甲で風魔法を駆使して自身と手甲に風を纏わせ、手甲に纏わせた風魔法で中距離までをカバーして勝利した。


 そして本日最後の第三試合はジアンの出番になった。ジアンの武器は片手剣と()を使用した。ジアンは俺との手合わせで片手剣だけではダメだと思いたったらしく盾を使い始めた。

そのスタイルがジアンにあっていたらしくそこからメキメキと力を付けていった。

 第三試合の始まりは、ジアンも一対一で半分の11名に残っていたが、他の選手が認識を改めたのか他の選手が協力して、二対一でジアンに挑んでいたが、ジアンは()()()()()()()()()()()()()()()()()で自身の能力を魔力で底上げして対応していた。

 無属性魔法の身体強化は己が強くなる、又は強くなっているイメージが無いと、どこにどれ位の魔力を巡らせたらいいか分からないといけないのがこの魔法だ。それを試しにジアンに言いやらせたら、結構良く出来ていた。

 ジアンにも魔力操作の鍛錬はしていたから、その甲斐もあり身体強化がジアンに嵌まった様だ。

 それは既に、ジアンが自身の目指す強さを持っていたから出来たことの証だ。

 そんな身体強化の魔法を使いジアンは見事勝利した。


 そして本日の試合は終了した。

 俺達は本日選手で出ていたジアンのもとに近寄った。


「お疲れ様、ジアン」

「あぁ、本当に疲れたよカイト」


 だいぶ緊張もしていた様で、余計に疲れた感じに見えた。


「でも、自信がついただろ?」

「あぁ、カイトの言った通りだったよ。でもさ、ステータスを視ていないから、さすがに信じられなかったよ、ここまで出来るなんてさ」

「あ~それは、ルセの試合も終わった時に視ようか」

「あぁ、分かったよ」


 その日の鍛練は、ジアンには軽めのメニューをしてもらった。

 翌日にルセのグループの試合があるから同様に軽めのメニューをしてもらった。


 翌日、最初の試合の第四試合は5年Sクラスの肩までの長さをひと結びにしたくすんだ赤髪に可愛らしい小顔が特徴的でやや低身長でややスレンダー気味のイト・タランという女生徒が勝った。武器は杖だが、おもに風魔法と火魔法を使い風と火魔法を複合して見事勝利した。風と火は相性が良くそれを活かした戦法で攻めていった。


 次の第五試合はルセの出番になった。ルセのときも一対一になっていて、ルセは短剣を使っていたが魔法で対応していた。光魔法【光球ライトボール】を使い一瞬だけ発光させて目眩ましをして水魔法【水流ウォータースロー】で相手を場外に飛ばしていた。まぁ、場外の近くに誘導していたからな。残り半分のときはジアンのときとは違いまだ一対一での対戦で同じ戦法で対応していたが、最後に三対一になったときにルセが土魔法の【土壁アースウォール】を使い対戦相手達を囲み一人づつ倒して勝利した。


 ルセは観戦していた俺達のところに来てた。


「お疲れ様、ルセ」

「ふぅ~、本当、最後の方は疲れたよ~!まさか、三人して来るとか思わなかったし!」

「あぁ、そうだな。だけど、落ち着いて対応していたからの結果だよ」

「ありがとう。二人の教えが良かったからだよ。『ピンチの時こそ、慌てず落ちついて状況を把握すれば必ず勝機はあるから』ってね」

「あぁ、その通りだよ。魔法を使う者は冷静になれば、一発逆転の手があるんだからな」

「うん、これからも心がけるよ」


 そして本日最後の第六試合は6年Bクラスのやや刈り上げ気味の茶髪に厳つい顔立ちに筋骨隆々のジャッカル・ライクという男子生徒が勝った。武器は斧と土魔法を使い、土魔法で作った【流砂クイックサンド】で対戦相手の足元を不安定にしてその隙に攻めていくという戦法をしていた。


 そのあとは、ルセには軽めのメニューをしてもらい、ジアンには通常の鍛練を施した。

 そのあとは、寮に戻り夕食を食べてから、俺の部屋に集まってもらった。


「さぁ、お待ちかねのステータスを視る時間だぞ!ジアン!ルセ!」

「えっ、カイト、なんでそんなに笑顔でテンション高いんだよ」

「私達のことでカイトくんがそんな状態の時ってとんでもないことになっている時だよね」


 おっと、いかんいかん。二人の驚く顔が分かると思うと浮かれてしまった。


 二人に言われて初めて、笑みをこぼしていたことに気付いた。

 気を取り直して二人にステータスを俺達にも視える様に開かせた。


【ジアンのステータス】


名前 ジアン 10歳 男 Lv 50

種族 人族

職業 学生 冒険者 騎士

称号 Cランク


体力   3500┃3500

魔力   1500┃1500 


筋力   2000  

守備力  1200 

魔法力  600  

魔法耐性 800    

知力   200 

素早さ  350 

運    25 


スキル  剣術Lv5 盾術Lv3 体術Lv3 火属性Lv3 無属性Lv4


【ルセのステータス】


名前 ルセ 10歳 女 Lv50

種族 人族

職業 学生 冒険者 魔法士 格闘家

称号 Cランク


体力   3500┃3500

魔力   4000┃4000


筋力   1000

守備力  1000

魔法力  2000

魔法耐性 2500

知力   300

素早さ  250

運    25


スキル 弓術Lv4 剣術Lv3 短剣術Lv3 体術Lv5 水属性Lv4 土属性Lv4 光属性Lv4 無属性Lv4


「「・・・・・・」」


 ジアンとルセは自分達のステータスを視て固まっていた。


「おーい、二人共?」

「──うん、まぁ、カイトのテンションの高さから大体は察していたけどさ」

「うん、まさか、ひと月余りでこんなになっていたなんて」

「まぁ、この成長の仕方は二人が挫けずに努力した結果だよ」

「そうだな。あのキツい修業でこんなに上がったもんな!」

「そうだね。あんなこといくらナリア先生でもやらせないものね!」


 あれ?二人があさっての方向を見て現実逃避をしているぞ。おかしいな、最初に二人に聞いたのにな。


 二人はこのひと月近く、訓練から修業に変わったときにカイトから、より一層キツく厳しい状況、環境を強いられて二人で協力して乗り越えてたのでした。


「ま、まぁ、そうゆう訳で二人は実際に強くなった。上級生の人達の一回り強く、今の二人は先生達とそんなに変わらない強さになっている」


 ここまで言った時に二人は頷き返事をした。


「今回の乱戦は、俺達のことを最低ランクだと相手が油断したから、今回は勝てた」

「あぁ、正直最後の方は危なかったし」

「私もまさか三人を相手にすることになるなんて思わなかったし」

「そうそこなんだ。知恵のない魔物相手だとあっちから闇雲に仕掛けて来るが、知恵のある魔物、人が相手だと協力したり、フェイントを掛けて攻撃してくるから、いくら格下の相手でも負けることがあるから─」

「油断するな!だろ」

「っ!あぁ、その通りだよ、ジアン」


 二人に散々言ってきたから、覚えたらしく最後は言われてしまった。 


 ジアンは先に言ってやったぜ、と言わんばかりにドヤ顔をしていた。ルセはただただ頷いていた。


「それと明日はノエルの出番だな」

「うん、頑張るよ」

「あ、うん。程々にな」


 ノエルが意気込んでいたが、正直、俺かジェイド兄ちゃんかセリカ姉ちゃん以外に負けるなんて微塵も思わなかった。なんせ能力が俺と同じ限界を超えてしまったのだから。

 

【ノエルのステータス】


名前 ノエル 10歳 女 Lv200

種族 人族

職業 転生者 学生 冒険者 創造神の加護を受けし者 一流魔導師 凄腕格闘家

称号  Aランク 全属性を使える者 限界を超えし者


体力   10000┃10000 

魔力   12000┃12000


筋力   8000

守備力  9000

魔法力  12000

魔法耐性 12000

知力   1200

素早さ  3500

運    100


スキル 隠蔽Lv7 鑑定Lv4 剣術Lv5 体術Lv7 短剣術Lv4 杖術Lv3 槍術Lv3 火属性Lv7 水属性Lv7 風属性Lv7 土属性Lv7 光属性Lv7 闇属性Lv7 無属性Lv7 雷属性Lv7 氷属性Lv3 念話 創造神の加護【中】


 翌日、第七試合はノエルの出番であった。

 よく見たら、あのランド・ホージウム(馬鹿)の傍にいた茶髪の方の取り巻きその1がいた。


 その取り巻きその1がノエルと話しており、少ししてからノエルが手をかざしたその時に、光魔法の【光球ライトボール】を出し全員が目を開けられない位まばゆく光らせ、光が収まって目を開いた時にはノエルただ一人が立っていた。

 

 他の選手は場外に出ていた。審判をしていた教員は何が起きたか分からずにいた。

 そこにサナア学園長が出て来て、ノエルに話を聞いていた。

 少しして話が終わったときにサナア学園長がその場でノエルの勝利を宣言した。


「ノエル、一体どうしたんだよ?」


 ノエルがこちらに戻って来たときに先ほどのことを聞いた。


「聞いてよ!あの人、落ちこぼれのクセにってバカにしただけじゃなく、ジアンくんやルセちゃん、カイくんに終いにはルカお姉ちゃんの悪口を言ってきたんだよ!本当、あの人ムカつく!」


 おぅ。ノエルがここまで怒りを表すなんて、よっぽどムカついているんだな。


「それで私、頭にきたから、突風を吹かせてみんな場外に出したんだよ。それを学園長に説明したら納得してくれた」

「そうだったのか、そんなことがあったのか」

「だから、カイくん慰めて!」


 隣にいたジアンが空気を読んでか、ノエルに場所を譲りノエルがジアンに感謝をしてから隣に座り腕に絡みついてきた。

 俺はちょうど空いていたもう片方の手でノエルの頭を優しく撫でた。


「えへへっ。ありがとうカイくん」


 ノエルが感謝を言ってきた。

 今回も隣にいたエルスは優しそうな笑みを浮かべただけで大人しかった。


 次の第八試合は5年Bクラスの金髪のショートカットにややつり目が特徴的な顔立ちに長身痩躯のヒュム・クライスラーという男子生徒が勝った。

 武器は片手剣に無属性魔法の身体強化を使い力技で勝利した。この人の身体強化を見た限り、まだまだ荒っぽく魔力の消費が激しいのが見て取れた。


 次に本日最後の第九試合はリーナの出番であった。

 リーナはレイピアに風を纏わせ対戦相手を攻め続け、最後に土魔法【土塊アースロック】を相手の懐に喰らわせて気絶させた。そのあとに取り巻きその2がリーナに挑みかかるも、リーナが先ほどに見せた【土塊アースロック】を一廻り大きくして取り巻きその2に喰らわせて場外まで吹っ飛ばした。その後は一対一の状態が続いていき、リーナが勝利した。


 そんなリーナに俺達は近寄った。


「お疲れ様、リーナ」

「えぇ本当に疲れましたから、カイの温もりで癒して下さいな」

「はいはい」


 リーナの頭を優しく撫でてあげた。

 そんなリーナは顔を赤らめていた。


「ありがとう、カイ。もう大丈夫ですわ」


 しばらく撫でていたがリーナが気が済んだようなので、俺達はそのあと軽めのメニューをしてその日を終えた。


 翌日、本日の試合は、特例で俺とランド・ホージウム(あの馬鹿)の一対一の決闘をナリア先生が審判で行うことになっていた。

 ルールは一対一の無制限だが、刃物の類いは刀身を潰した物を使用する位だった。

 そんな三人しかいない中でナリア先生が開始の合図を出した。


「おい、キサマ!なぜ何の武器も持たない!それに防具もしないで!」

「あぁ、テメエをぶちのめすのに素手で充分だからだよ。防具も必要ないしな」

 

 相手は片手の長剣と盾、胸当て、籠手を装備していたが、俺は素手で防具は無く訓練着のままの状態だった。


「キサマ!ふざけるなよ!」

「御託はいいから掛かってこいよ」

「ふん!後悔するなよ!潔く、俺様にあの女を差し出せば痛い目に遭わなかったのにな!」

「あん!?」

「まぁ、キサマを痛めつけている様を見たら素直になるだろうがな!」


 開口一番にそんなことを言ってきたので、俺は速攻で終わらせる積もりだったが、これからのことが決まった。 

 絶対的な恐怖と絶望を与えることにした。



 ランドは最初はまかり成りにもフェアでやろうとしていたのであろうが、俺の言葉を受け、すぐに切り掛かってきた。

 そんな俺は右手右足を前に左手左足を後ろにした構えをとった。


 ランドは俺の首元を狙っていると分かる位、実直な剣筋だった。

 そんなランドの長剣が中々の速さで俺の首に当たる20cm位の位置まできていたが俺は右手の甲で長剣の剣身に当てて払い除けた。


「なっ!?………………くっ!」


 ランドは信じられなかったのか、驚きながらも攻撃をしてきた。

 次は払い除けた右腕を先ほどより更に速く狙ってきたが、今度は強めに左手で剣身目掛けて殴った。またも、ランドは驚いていた。それで、たかが外れたのだろうか、見境無く頭部や胴体、脚を容赦しないような攻撃をしてきたが、すべて払い除けた。


 そんな見境の無い攻撃をしてきたランドが息を切らしており、最後の攻撃は顔面を狙ってきていた。その攻撃を躱して、右手で長剣を飛ばす勢いで剣身を殴ったとき、剣身が二つに折れてしまった。


「なっ!?……………バカな!?いくら刃を潰しているとはいえ、ミスリル製の剣だぞ!?それを素手で!?」

「だから言っただろ。テメェの相手は素手で充分だ、と」

「ふ、ふざけるな!」


そんなランドは手をかざしていた。


「火よ、貫き灼けろ【火槍ファイアランス】」


詠唱したランドの手の周りに6本、槍の刀身部分のような鋭さを持った40cmの長さの物を火で作った。


「ガハハハっ!これでキサマはお終いだ!」


 そんな【火槍ファイアランス】が次々に俺に向かって来ていた。

 俺は魔力を高めて両手に流して、ランドの放ってきた【火槍ファイアランス】を正面から手で殴り相殺していった。


「バ、バカな!?ぼ、僕の魔法が素手だけで!?」

「こんなもんなのか、テメェの実力は?全力で放ってこいよ!」

「ぼ、僕をバカにするなぁー!」


 またランドは手をかざした。


「炎よ、障壁となりて灼き尽くせ【炎壁フレイムウォール】」


 今度はありったけの魔力を込めたらしく、火から炎に性質を変えて、その魔法は3mの高さに横に10mに伸びた炎の壁が、俺の方に向かって来ていた。ナリア先生は魔法を使い始めた時からかなり距離を取っていた。


 俺は魔力を右足に流して、俺の射程内に入った【炎壁フレイムウォール】を右足を右から左に蹴り入れた。

そして【炎壁フレイムウォール】は横に裂けて消失した。


「なっ!?バ、バカな!?僕の全魔力で作ったのに!?」

「もうお終いか?お坊ちゃま?」

「バ、バケモノめ!」


 まぁ、否定はしないさ。さすがに一般人の強さを遙かに超えているのだからな。


「こ、こんなバケモノの姉弟の身内だ、さぞあの女もバケモノに違いない!」

「あん!?」


 なんだコイツ、見当違いもはなはだしいな。


「そんな女は所詮、バケモノ好きの貴族に飼われるさ!」


 それを聞いた途端、俺は気付いたらランドの顔面に右ストレートを入れる瞬間だった。


「ブベェッ!!」


 そんなうめき声を上げランドはそのまま場外に飛んでいった。


「人の家族をバカにする様な奴は、たとえ貴族だろうとぶっ潰す!」


 聞こえていないだろうランドに言っていたのだが、代わりに観戦していた生徒達が目を見開きながら何度も頷いていた。


「え~勝者カイト!」


 ナリア先生が終了と言わんばかりに宣言していた。


 そしてトーナメントに出る人選が決まった。


 ナリア先生が昼食を挟み、午後から、一対一で対戦相手を選ぶ抽選を行うと言っていた。

次の更新は日曜日の予定です。

申し訳ありません。

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